「みらいいろ‥3月11日‥」


(三)

ドアを開けて中に入ると、部屋の中はめちゃくちゃだった。

もともと物は少なかったから、壊れてる物は無さそうだった。

僕は真っ先にギターを手に取った。

幸い、目立った傷なんかは無かった。

後で、もっとよく確認しよう。

僕は携帯を開いた。

圏外が表示されている。

しばらくは、携帯での連絡は無理かな。

僕はテレビを点けると、玄関脇に置いてある電話に向かい、留守電を確認した。

実家とカイトから連絡が入っていた。

みんなからは来ていない。

今日はみんなバイトのはずだった。

リュウは駅ビルの中にある飲食店でバイトをしている。

ヒロも駅ビルの中の雑貨屋でバイトだった。

タケは駅前の居酒屋だ。

タケは夜からだと言っていたから、まだ家に居るはずだ。

リュウとヒロも、もしかしたら帰ってきてるかもしれない。

問題はフジだった。

フジは、一駅先になるCDショップでバイトをしている。

先程からテレビで流れる、各地の被害状況。

沿岸の地域では、津波に警戒して下さい。

そうアナウンサーが、繰り返し言う。

この状況じゃ、たぶん電車は運休になる。

一駅といえど、歩いて帰って来るには、それなりの時間がかかる。

僕は受話器を取ると、フジの携帯の番号に電話をかけた。

「おかけになった電話番号は、現在電波の届かないところにあるか…。」

メッセージの途中で、僕は受話器を置いた。

再び持ち直すと、今度はフジの家に電話をかけた。

ひたすらコールが続く。

一向に出る気配が無い。

その内、留守電のメッセージが流れ始めた。

僕は受話器を置くと、溜息を吐いた。