「みらいいろ‥3月11日‥」


(二)

その日、バイトは全員帰らされた。

帰り道、駅前を通ると、人の波で混み合い、通るのに時間がかかった。

何人か、携帯を取り出して連絡を試みようとしている人が居た。

恐らく繋がらないだろう。

そんな事を思いながら、僕は人波をかき分けた。

その間にも、何度かの揺れに襲われた。

駅前を抜け、見慣れた路地に出る。

そこは既に、馴染んだ場所ではなかった。

所々、塀が崩れ落ちている。

未だに揺れてる電線。

アパートに着くと、慌てた顔の大家さんが出迎えてきた。

「良かった。無事だったんだね。」

僕を見ると、安心したように息を吐いた。

大家さんの話では、どうやらアパートの住人は、全員無事みたいだ。

幾らかの安心を覚えながら、僕は部屋に戻った。