白色と黒色の戦いならばどちらが上かと聞かれれば解からないとしか答えられない。
黒色だけ、などきいたことがないからだ。
なぜなら黒色は命をも侵蝕する。それはその性質を持つ本人すら例外ではない。
だから黒色の魔術師は短命で、魔術師として完成するまえに死んでしまう。

「なんで黒色なんて色で・・・根源までたどり着けた?」

バックステップで後ろに下がり、体勢をたてなおしつつ、問う。

「簡単なことさ・・・黒色の性質は『侵蝕』・・・白色となんらかわりないが命にも働きかける。だから」

「だから・・・?」

「 他 者 の 命 を 食 ら っ て や れ ば い い だ け の こ と じ ゃ な い か 」

正気か・・・こいつ・・・。
自分の命のためだけに、他者の命をくらうなんて・・・。

「君の白色の場合、色だけだからね・・・そんな芸当はできないだろ」

先ほどの『白色と黒色の戦いならばどちらが上かと聞かれれば解からないとしか答えられない。』という問いの回答がでた。
黒のほうが上だ。
相手は問答無用で俺の白色を食らう。
だが俺の白色は覚悟が必要だ。
―――でもな・・・。
つま先で地面をトントンとける。
指を鳴らし、拳を固める。
―――負けられないんだよ!
さっきコイツは真白は標的じゃないといった。
だけど、他人の命をなんともおもわない奴がいう言葉なんて信じられない。
失いたくないのなら・・・

「自分で守るしかないだろ!!!」

不利かもしれない。でも自分で守るしかないのだ。
さっきのシキのときより、覚悟は固まった。
あとは試してみるのみだ・・・。

ジリジリと距離をつめる。
さっきのように一瞬で背後にまわられないように、アレイスターから目を離さないようにして。
一瞬のスキを、見逃さないようにして。
あいつは言った。自分は魔法であると。
ならば俺の白色で倒せるはずだ。
一瞬のスキをついて、一瞬で倒す。
それ以外俺に勝ち目はない。

「・・・・・・」

「!」

アレイスターが俺から今視線をはずした。
今しかない。
勢いをつけて数メートル離れたところにいるアレイスターにむかって一気に距離をつめた。

「これで!!!」

振りかぶり、殴りかかる。
鈍い音を立てて、アレイスターの胸に俺の右拳がめり込む。
しかし。
何も起きない。

「なん・・・だと!?」

「ふ・・・君程度が私を染められるとおもったか」

仮面から覗き込む目。
その目に見つめられただけで体が動かなくなりそうだった。
だが本能が逃げろと体につげ、体は本能に従い、バックステップでまた後ろに下がる。

「私の黒色に侵蝕されなかったことは褒めてやろう・・・しかし」

アレイスターの周りの空気ががらりとかわる。
重力がましたような、そんな重い空気がそこに漂っていた。

『 人 間 風 情 ガ 我(ワタシ) ヲ 染 色デ キ ル ト 思 ウ ナ ヨ 』

先ほどの殺意とは比べようもない殺意が言葉にこめられる。
プライドを傷つけてしまったことで、殺意がましてしまったようだった。
決めるなら今の一撃しかなかったというのに。

『ソノ考エガ如何ニ愚カ身ヲモッテ知ルガイイ』

そういうとアレイスターが足で地面を蹴りつける。
するとけりつけられた地面から黒い水のようなものが浮かび上がってきた。
黒い水が球体になり、球体は高速で回転している。

『死沼へ誘う鬼火(ウェル・オ・ウェスプ)!!!』






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