「お腹すいたね。」
 「すいたー!」
 「はいはい。家に着いたら作るからもう少し頑張れ。」

 明葉と音葉がうちで生活するようになって一週間。
 すでにそれは当たり前のような光景になっていた。
 
 今は買い物の帰り。
 
 この光景も既に当たり前のようになっていた。
 今夜の夕飯は鯖の味噌煮。
 煮物は久々だから腕がなる。

 そう思っていた矢先のことだ。
 音葉が路中に建っている掲示板を見ていた。

 「パパ、これなに?」
 「これはお祭りの連絡だな。」
 「お祭り?」

 もうそんな時期だったのか。

 「そうだよ。屋台とかならんで、たこ焼きや綿雨食べて、最後に花火も上がるんだよ。」
 「音葉花火好き!」
 「そっか。なら一緒に見に行くか?」
 「うん!」
 「なら浴衣も着ようよ、私は小母さんの借りて、音葉ちゃんのやつは明日買いに行こうか。」
 「うん!」

 家についてからも祭りの話題は絶えなかった。
 
 毎年なんだかんだと明葉と二人で行って、友達に会うとちゃかされて。
 でも毎年楽しいんだ。
 今年は音葉もいるからきっともっと楽しくなるはずだ。

 「ほい、ご飯できたからテーブルに運んでくれ。」
 「はーい。」

 元気に返事をしたのは音葉だった。
 落とさないように両手でお皿を持ってテーブルまで運ぶ。
 運び終わったところで「ふ~っ」っと息を吐いた。

 「頑張ったな。」

 頭を撫でてやると「えへへ」と言って笑い、ほのかに石鹸の香りがした。

 「ふ~、いいお湯だった。」

 音葉と一緒にお風呂に入った明葉だったが、どうやら音葉は先に上がったらしい。
 まぁそのおかげでこうして音葉が手伝ってくれたわけだ。

 「ちょうど飯の時間だ。夏とはいえ夜なんだ。湯冷めしないように上にもう一枚何か羽織ってこい。」
 「はーい。」

 返事だけすると、タオルで髪を拭きながら二階に上がっていった。

 「ママ、すぐくる?」
 「おう、戻ってきたらご飯にしような。」
 「うん。お魚おいしそう。」