孤独な道標 【第十五章】~逮捕~ | 二足の草鞋

孤独な道標 【第十五章】~逮捕~

【第十五章】
≪逮捕≫

会社から目と鼻の先にある寮に戻り、しばらくするとチャイムが鳴り、出てみると公安委員会の輩が数人、玄関前にいた。

「相場淳介、逮捕令状が出ています。これから家宅捜査いたします。よろしいですね。」

「罪状はなんですか?」

「婦女暴行です。それでは、20時36分。逮捕致します。」

手錠をかけられ、パトカーに乗り、警察署の留置所に入れられた。

狭い、ここから出してくれ・・・。この部屋の圧迫感。みるくの面影のない部屋。嫌だ、嫌だ、嫌だ!

1日中眠れないまま、事情聴取。弁護士と接見する前に印象を良くすることに重きを置いたが、反応はイマイチだった。

やはり、俺の喋りは男性にはあまり通用しないらしい。それが公安ともなると尚更だ。

弁護士の接見の際、弁護士から言われた言葉に愕然とした。

「相場さん、裁判になったら、懲役も覚悟した方がいいでしょう。この裁判は負けます。それより、相場さんが転職した会社から、損害賠償の請求が行われる可能性があります。もちろん、登録した転職会社からも同様の訴訟が行われることが予想されます。自分が犯した罪をしっかりと自覚し、これから行動してください。」

弁護士は、その後、家宅捜査した寮の様子を詳細に話してくれた。押収した品々で、俺がみるくにどれだけ執着していたかを立証し、その異常性を裁判で訴えるかが伺えるとのことだった。

「相場さん、あなたは前回の会社に勤めていた時、警察からの警告を一体どのように考えていたのですか?転勤になった時点で、彼女のことは諦めるべきだったんですよ。これからは、しっかり反省して刑に服しましょう。」

「ちょっと待って下さい。俺は刑に服す気はありません。」

「どういうことですか?」
「婦女暴行はしてません。同意の上での行為です。俺は争います。」

「相場さん・・・では、自分に罪はないとおしゃるのですか?」

「はい。」

「決定的な証拠が全て揃っていて、相手の女性からの訴えでこうなった事実を理解した上でのことですか?」

「はい。」

「では・・・私はあなたの担当弁護を辞めさせていただきます。」

「え?なんでですか?」

「いいですか、相場さん。先程も言いましたが、裁判になったら、必ず負けます。執行猶予も難しいでしょう。それだけのことをしておいて、争うという発言をするとは思いませんでした。今日はこれで帰ります。もう一度、よくお考え頂いて今後どうするか決定して下さい」