孤独な道標 【第十章】~不吉な予感⑤~ | 二足の草鞋

孤独な道標 【第十章】~不吉な予感⑤~

【第十章】
≪不吉な予感⑤≫

淳介は私を諦めるどころか、“彼女とやり直したい”というブログをせっせと更新し続けた。まるで過去を思い出し、過去の想い出と共に今を生きているかのように。

ある日、私とみるきーは仕事帰りに洋食屋で食事をしていた時、淳介のブログが更新された。

私の誕生日の時の話だった。

みるくは俺からの誕生日プレゼントをもらった時、一瞬、身体が止まり、そして目からは涙が溢れ頬に落ちた。みるくは、ただただ、涙を流して喜んでいた。この誕生日プレゼントを手配するのに時間がかかったんだ。これで二人の絆はより強固な絆となったのは間違いない・・・はずなのに、雑魚が現れたおかげで、みるくは俺との赤い絆を絶ち切った。』
私は、淳介からのプレゼントをもらって喜んでいるとみるきーに思われたくなかった。

思われたくない理由はプレゼントの物が原因だった。
なぜ、あの時、淳介からの誕生日プレゼントをもらって涙を流したのか・・・。淳介が勝手に勘違いをしているだけであって、私は嬉しくも何ともなかった。

みるきーは私にさりげなく聞いてきた。

「前にも聞いたことあるけどさぁ・・・オンゲーからの誕生日プレゼント何もらったの~?」

私はもう、隠す必要もないかなと思って、みるきーに話をした。

「実はね・・・麻縄を、私の好きなショッキングピンクに染めた麻縄をもらったの。」

「えっ!?誕生日プレゼントだよね?」かなりびっくりした面持ちだった。
「う、うん・・・。麻縄だったの。」私は、カアァーと身体が火照った。

「涙を流して喜んだの?」みるきーは淳介の書いたブログを見ながら不思議そうに質問した。

「そんなワケないじゃない!!あの時は、虚しいというか、悲しいというか・・・淳介に対し哀れに思い涙が溢れたの!」
だが、当時はその純情な心というか、一途に想うその気持ちが嬉しかったのかもしれない。もしこれが、一般的な花束とかの誕生日プレゼントを淳介がしていてくれていたとしたら、私の人生の中で一生忘れることのできない最高のプレゼントにはなっていなかったのかもしれない。如何にも、淳介らしいプレゼントだった。
「へぇ~」とみるきーは、笑ってやり過ごしてくれていた。私はそんな彼の笑顔でやり過ごしてくれる心に少し申し訳なさを感じていた。

本当は聞きたくもない過去の男との色恋話を淳介のブログによって聞かされたり、そのブログの内容によっては嫉妬したり怒ったりするのかもしれない。

私は、あまりにも寛容なみるきーに甘えすぎるほど甘えていた。みるきーがこの時、私のことをどう思っていたのかはわからない。女は過去の過ちなどを悔いることもなく、未来を見て自分で立ち直り歩んでゆくことができるというが、男は反対で、過去に拘りを持ち続けその過去以上の相手や物、地位が現れることがなければいつまでも引きずるという。
私がみるきーに対し運命を感じたように、みるきーも運命を感じたのだとしたら、いったいどこに過去以上の人に私は成れたのだろうか。
妥協なのか、諦めなのか、無関心なのか・・・私の心の中は考えれば考えるほどわからなくなった。

みるきーの寛容さはどこからでるものなのか、私には未だに理解が出来ないでいた。