孤独な道標 【第七章】~拒否⑤~
【第七章】
≪拒否⑤≫
奴隷を連れてファミレスに入り珈琲を2つ頼んだ。奴隷はまだこちらを睨んでいる。
「なんでそんなに睨むんだよ。」
「だって、もう別れたのにプレゼントや手紙とかしつこいんだもん。」
「彼女にプレゼントをしちゃ悪いのかよ。」
「だから、彼女じゃないでしょ。」
こいつ、やっぱりわかってない・・・。奴隷契約書を完全に無視している。
「みるく・・・奴隷契約書の意味をわかってないだろ。」
「もう奴隷は辞めました。」
「婚姻届も10枚コピーしてるんだぞ。」
「なんでそんなことするのよ?」
「嬉しかったし、もし万が一破られてもいいように取っておいたんだよ。」
「コピーは役所に提出しても受理されないんじゃないの?」
「いいんだよ。」
いくら話しても平行線のままずるずると時間だけが過ぎていく。押してダメなら・・・引いてみるしかないのか。
「みるく、2月末から約2週間程、また出張にいくことになったんだ。出張までしばらく期間があるだろ。しばらく間、連絡を控える。でも、俺はみるくからの連絡があればいつでもメールの返信もするし、携帯にも出る。だから・・・もう一度考え直してくれ。頼む。」
しばらく沈黙があり、奴隷はゆっくりと口を開いた。
「わかった・・・考えてみる。」
ファミレスを出て2人は別々に帰ることになった。
次の日、俺は奴隷のアパートを管理している不動産屋へ。奴隷の兄妹と偽り、部屋の鍵を預かって合鍵を作っておいた。これでもう何かあっても簡単に室内に入ることが可能になった。確認の為、奴隷の部屋に入ってみると綺麗に整理整頓がされており、それから出張に行くまでの数日、奴隷がいない時間帯に何度も部屋を訪れ、奴隷に変わったことろがないか確認したが、男の影はなかった。
出張から待つこと約2週間、奴隷からの連絡はなかった。俺は仕事が全く手につかず。ミスを連発し、一緒に出張に同行した同僚からは嫌味を言われる始末だった。
まだ奴隷はぐずぐずと考えているのだろうか。ここは一つ、俺がガツンと言ってやるしかなさそうだ。
奴隷のアパート近くの公園に着くと、そこから見える奴隷のベランダ付近がいつもと違うのに気がついた。
カーテンがなくなっている。嫌な予感が頭をよぎる。俺は奴隷の部屋の合鍵を使い、ドアを開けた。部屋は蛻の殻だった。
信じられない光景だった。引っ越しをする様子など微塵もなかったはずだ。俺に何かを知らせる手紙もない。
そんなに嫌だったのか?だったらもっと早く言えよ・・・。
俺の前から突然いなくなった奴隷との思い出を振り返ろうと、いままで溜めておいた奴隷コレクションをみる為にPCを立ち上げた。
フォルダをクリックして、唖然となった。いままで奴隷の恥ずかしい写真の数々が全てなくなっている。ごみ箱も見るが消えている。まさかと思い、デジカメに入っているデータを見るが、同じようになくなっており、SDカードもなくなっていた。アルバムに収めたTDSで撮った写真も全てない。
全ての思い出がなくなってる・・・。本当に別れたかったんだな。みるく・・・。
みるく・・・本当に一体どこにいったんだ。
俺が悪かった。・・・俺はみるくがいないと駄目なんだ。もう一度やり直してくれ・・・みるく。