『新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。



『新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険』

島田 荘司、新潮文庫、2020年



「だがねワトソン、この世の真実は、その嘘の中にこそあるんだ」


真っ赤に燃えるような赤毛を持つ男が経験した奇妙な体験。赤毛組合なる団体に雇われて、一日四時間、百科事典を筆写するだけの仕事をしていたが、それが唐突に解散になったのだという。

この奇妙な謎を相談された探偵シャーロック・ホームズは、その卓越した推理で事件を解決する。


事件は一件落着したかに思われたが、その上をいく計画が進行していたのだ。

事件後、悪癖である薬物乱用によって隔離されたホームズを頼ることができなくなったワトソンは、その事実を世間に隠しつつ、単身、事件解決に臨むのだが。


堅牢な刑務所から忽然と消えた囚人たち。「新しい十五匹のネズミのフライ」が意味するものとは。そして、ホームズの帰還はあるのか。

パスティーシュ大作。




   



変な仕事をさせている間に銀行までのトンネルを掘り、強盗を決行しようとしていた『赤毛組合』事件の「解決」がなされた後、かねてからの悪癖である薬物乱用によって、とうとうホームズは発狂、隔離入院となってしまいました。

彼やイギリスの名声を守るためにもその事実は世間には隠して、襲撃を受けての入院ということにしたワトソン。しかし解決したはずの事件が新たなる展開を見せるのでした。


駄作として有名な『這う男』、科学的なツッコミどころの多い『まだらの紐』、そしてモリアーティとライヘンバッハの滝に落ちたことなど、原典の新たな解釈といったところです。

そりゃ、こうなるよなって感じで、ワトソンの苦労が偲ばれますね。


事件についてもホームズっぽい感じかなぁ。あまりホームズものは詳しくないんですけどね…。