『御手洗潔のメロディ』 | えにーの読書感想文

えにーの読書感想文

読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。



『御手洗潔のメロディ』

島田 荘司、講談社文庫、2002年



「信じられん、これこそは神の暗号だ!解るかい石岡君、神が暗号を使って、ぼくにこの事件が何であるかを報せてくれたんだぜ!」


平成2年3月、御手洗 潔の下を訪ねてきた高明な声楽家の依頼は消えた美女の捜索だった。
レストランのアルバイト店員からは男子トイレの同じ便器ばかり3度も壊されて持ち去られる出来事の相談を受けた。さらには公園の木の枝が切り落とされたニュースを目にした御手洗は、殺人事件が起こることを予言するが。(『IgE』)

1960年代、アメリカ・ボストンで大学生活を送っていた御手洗は、自動車工場の文字看板に複数の銃弾が撃ち込まれていた出来事に興味を持ち、学友のビリーと共に調査に乗り出す。そして彼は近々開校予定の美術学校のオーナーが殺されたことを明言する。
やがて何もなかったはずのマンションの一室から突然、ひとつの死体と壁に彫られた絵が現れた。(『ボストン幽霊絵画事件』)

ほか2編の短編を収録。


   



御手洗 潔の短編集。今作は事件もの2つと、謎解きではない2編が収録されています。


事件ものは、これぞ島田流といった意味不明な出来事同士が繋がっていくミステリーと、御手洗潔の大学生時代の事件がまたさすがといったところ。

ほかは石岡氏が学生のコンサートにお呼ばれされて、そこに何とか御手洗氏を連れてこようと奮闘するものと、ハリウッド女優・松崎 レオナを中心にした物語。
謎があって解決していく類ではないですが、じっくり読ませてもらえる作品となっています。