入院する前日は眠れなかった。

でも、これでこの状況から逃げ出せる。

早く明日になってほしいとすら思っていました。


睡眠薬を飲んで就寝。

いつも旦那とは別々の部屋で寝てたけど、この日は一緒に寝た。



入院の日、旦那と義理の母が付き添ってくれました。

私は自分の母とはうまく行ってなくて…入院中、来なかった。



入院の手続きをして、個室へ。


ハイリスク妊婦か、私のような患者しか、受け入れないせいか、病棟は静かで赤ちゃんの泣き声もない。

ただただ、静か。


荷物を置いて着替えて早速処置。


周産期科の先生は年配の男の先生。(たぶん、1番偉い人?)

若めの男の先生。

私より少し上ぐらいの女の先生。



子宮口を広げる処置の前にまたエコー検査した。


動いている。

元気いっぱいだった。


でも、私はしっかり見れなかった。

現実から目を背けていた。



早く処置して産んで早く退院して……


そんな事ばかり考えていました。



子宮口を広げる処置は想像以上に痛かった…。


その間、看護師さんがずっと手を握ってくれた。


泣きながら部屋に戻る。

旦那はその度に慰めてくれた。



その日から先生に頼んで心療内科の先生を呼んでもらって睡眠薬と安定剤をもらう。


そのおかげで睡眠はしっかり取れました。



予定だと次の日に陣痛を起こして出産する予定だった。

しかし、初産のせいか、なかなか子宮口は広がらず、もう1日、子宮口を広げる処置をすることになった。



早く退院したかったのに!と1日泣いていました。



この時も赤ちゃんは生きていたのに。

胎動もあった。

でも、もう自分の事しか考えられなかった。

どうして、もっと赤ちゃんのこと、考えてあげられなかったんだろう。



睡眠薬を飲んで寝て次の日、陣痛を起こした。

ひどい生理痛のような痛みから

腰をハンマーで叩かれてるような痛み。


今まで味わったことのない痛みに泣き叫ぶ私を旦那と義理の母は腰をさすってくれたり、手を握ってくれた。


何でこんな思いをしなきゃいけないの?

ただ妊娠しただけなのに!

頑張れって何を頑張ればいいの?

どうせ、生きて産まれてこないのに!

どうして私を苦しめるの?

早く出てきてよ!!



本当に母親としてひどいことばかり考えていました。









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診察の予約日、旦那と紹介状を持って、大きな病院へ。


ここに新しく出来た周産期科に受診しました。


こども病院なので待合室は子供だらけ。

でも、ここにいる子は開業医から紹介された子たち。

健康に見えても何か疾患があるんだろう。

私の子も無事に生まれたら、ここで手術してもらって入院、通院するのかな。

無事に生まれたら、どんな姿でもどんな病気を抱えててもいい。

とにかく、生きて生まれてきて欲しい。


そんなことを考えながら待合室のテレビを観ていると芸能人の出産報告が…。

嬉しそうに話す芸能人パパ。


旦那が

『チャンネル、変えてもらおうか?』

と言いましたが、断りました。


こんな事を気にしてたら、この先、やっていけない。と思ったからです。


周産期科は空いていて、比較的すぐ呼ばれました。



先生は周産期科の1番偉そうな年配の男性。


紹介状読み、じゃあ見てみましょうと腹部エコー。


私はエコー画像を直視することが出来ずにいましたが、しっかり見ていた旦那は赤ちゃんの頭のコブがわかったと言っていました。

エコー中、先生から


つわりはひどかった?

ご飯は食べれた?


といくつか質問されました。


エコーが終わり先生からの説明。


Dr.『恐らく、脳瘤という病気です。頭の骨がうまく形成されず、脳が出てきています。皮膚のおかげで外に出てないでコブのようになっています。
あなたの場合は脳のほとんどが出てきている。
この子は生きて生まれることはできません。大体はお腹の中で死んでしまう。また、生まれる時に死んでしまうか、生きて生まれたとしてもすぐに死んでしまいます。
母体の事を考えてもなるべく早く、特に人工中絶が出来る22週までに中絶した方がいい。
明日から入院出来ますが、どうしますか?』



私は

あぁ、ネットで調べたやつだ…

やっぱり、ダメなんだ。


と意外と冷静に聞いていました。



旦那が

『どうしてこうなってしまったんですか⁈』

と。先生は

『妊娠初期の葉酸不足が原因であることがありますが、つわりも軽かったようだし、食事も出来ていたようなので、それは考えにくいです。原因はわかりません。』


私は妊娠発覚したその日から葉酸のサプリメントを取っていた。


でも、もっと早くから葉酸を摂取しなくちゃいけなかったのか…?

あの時、安定剤や睡眠薬を飲んだから?

私のせい?

私のせいでこの子は病気になっちゃったの?


もう何も考えられなかったけど、早くこの状況から逃げ出したかった。

早く普通の生活に戻りたかった。

妊娠なんてするんじゃなかった。

妊娠前のように仕事して友達と遊んで…そんな生活に戻りたかった。


私『明日から入院して処置します。お願いします。』


この時、赤ちゃんのことなんて何も考えてなかった。

とにかく、早く終わらせたかった。



帰る前に採血と少し検査します。と別部屋に。

旦那はその間に会社に電話。

私が入院する間、仕事を休んで付き添うようにしてくれた。



採血されている時、看護師さんに明日からの流れを説明されました。


麻酔を使わず、お薬を使って陣痛をおこして出産すること。

まだ、週数が早いので、子宮口もそんなに広げなくてもいいこと。


最後に

『生まれたら赤ちゃんに会いますか?』


と聞かれました。


私は

『えっ…。いや、いいです。』

と答えました。


看護師さんは

『(私)さんの場合は頭だけの奇形だし、顔はきっと綺麗ですよ。今まで会って後悔した親御さんはいませんが、会わなくて後悔した方はたくさんいます。赤ちゃんに会ってあげてほしいです。後悔をしてほしくないから。』



この時、この日初めて涙が出ました。

ボロボロ泣きながら



私は赤ちゃんに会えるのか?

会いたいけど…怖い。

見れないかもしれない。

気持ち悪いって思ったらどうしよう。



でも、看護師さんの言葉に

『はい。わかりました。会います。』

と答えました。



その後、自分の職場に電話。

これまでの経緯と明日から入院すること、しばらく仕事に行けないことを伝えました。


本当だったら、あと数ヶ月で辞める予定だった。

もう引継ぎのファイルも作り始めていた。


私、仕事に戻るのかな?

このまま、辞めるのかな?

でも、辞めて何をすればいいの?




もう、赤ちゃんの事なんて考えず、自分の今後のことばかり考えてました。


赤ちゃんはまだお腹で生きていたのに。


入院して産んだら死んじゃうのに。


私なんかよりずっと辛いのに。


ごめんね。

だめな母親だね。








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6ヶ月検診の時。


5ヶ月の検診の時の違和感なんてすっかり忘れて、私は性別が気になってしょうがなかった。


エコーの前に先生に

『そろそろ性別わかりますか?マタニティスイミングに行ってもいいですか?』

とかのんきな質問をしていました。



ベッドに横になりエコー検査。


心音は聞こえる。


あ、元気だ♡



……。


エコー検査が長い。


先生がやけに長く見ている。



性別見てるのかな?



『はい、終わりです。』


看護師さんに起こしてもらってた時、先生が他の看護師さんに

『紹介状ここだっけ?』

という声が聞こえてきました。


私も医療機関に勤めていたので


…?紹介状?

何で?

どこに紹介されるの?


とただ事ではないことを察しました。



先生がエコー写真を見せながら

Dr.『赤ちゃんは元気です。心臓も動いています。ただ、頭に大きなコブのような物があります。ここでは詳しことはわからないので、大きな病院へ紹介状を書くので行ってください。』

私『コブって…。どういうことですか?』

Dr.『調べないとなんとも言えません。生まれてから手術して治るかもしれないし。とにかく、大きな病院で調べてもらってください。』



頭が真っ白になり、冷や汗がダラダラ流れてきました。


旦那に電話。

私『赤ちゃんの頭に大きなコブがあるんだって。』

旦那『…本当に⁈』

私『紹介状書くから大きな病院行ってくれって』

旦那『わかった。とにかく、一回家に帰るから、(私)ちゃんも気をつけて帰ってきて』

私『わかった…』



紹介状をもらってその後、どうやって帰ったか、ちゃんと覚えていません。



確か、高速で事故があって一般道が渋滞してて…

いつもなら車で10分ぐらいなのに30分以上かかって、旦那は家で心配してて…



家に着いたら旦那が居て

先生の話をして

そしたら、また後日、一緒に話を聞きに行くって言ってて…。



旦那が仕事に戻った後、ひたすらネットで検索しまくりました。


胎児 頭 コブ


これといったのがヒットしない中、やっと、見つけたのが


『脳瘤』



頭蓋骨がうまくくっつかなくて、そこから脳が出てしまっている病気。

脳が出てきてる量にもよるみたいですがほとんどが生まれる時に死んでしまうか、お腹の中で死んでしまう。




紹介状の病院の予約日までの間の1週間、旦那とネットで検索。

助かる方法はないのか。

ただ、頭の形が悪いだけではないのか。


信じたくない気持ちとどうしてこんな事になったの⁈という気持ちでぐちゃぐちゃになり、検索している時以外はひたすら泣いていました。


ご飯も食べられず、体重は2kg減。


そんな時


ピクピクッ


胎動でした。


ちゃんと食べてよ!お腹すいたよー!

と言われた気がして。

『私、妊娠してたんだ。まだ、この子は生きてるのに。しっかり栄養を与えなきゃ!』

その後はご飯を食べました。



病院の予約日の前に旦那と犬とドッグランへ。


もしかしたら、家族で出かけられるのが最後かもしれないから…。


そんな思いでした。



楽しかった。


犬も楽しそうだった。


赤ちゃんも楽しかったかな。







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