アメリカの医者はこういうときに、淡々と医学的確率をもとに説明をしてきます。
彼らの口からは、“せっかくここまできたのだから”というような発言は絶対に出ません。どうしたらいいの?という質問には答えることは無いですが、逆に全てを踏まえたうえであなた達夫婦が決めたことには最善を尽くします。と言ってくれます。冷たいようで、でも私にはそれが一番でした。
私たち夫婦の選んだ道は、双子への減数処置。
体外受精という自然を超えた医学で命を作り出し、今度はそれを自らの選択で終わらせる。
不妊治療に踏み込んだことを一度だけ後悔したのはこのときです。
ただ、ネットで色々と情報を集めていたときに、ある不妊治療の医師が書いていた言葉。“不妊治療のゴールは妊娠ではありません。ゴールは出産して、元気に育つことです。”と書いてありました。私達にとって、三つ子は出産にたどりつくにはリスクが高すぎるというのが結論でした。
それからは、カウンティーで随一といわれるMaternal Fetal Medicineのスペシャリストに紹介をもらい、そこでも、母体の高齢化によるリスク、多胎によるリスク、減数処置とそれにともなうテストによって他の胎児に問題のでてくるリスク。全ての可能性を説明され、後は夫婦で結論を出してください。といわれました。
その頃には私達夫婦にとって”医学的な確率“というのはあまり意味が無くなっていました。だって、医学的には三つ子を妊娠する確率は0.5%だったのですが、私だけを見れば三つ子を妊娠したので確率は100%です。医学的にはどんな確率が出ていても、自分だけをみれば、0%か100%の五分五分でしかないわけで、妊娠率だって、自分にとっては妊娠しない・妊娠するのどちらかで、”20%だけ妊娠“するわけではないのですから。
スペシャリストの2度目の診断はちょうど12週目でした。その時点で彼はかなり詳しくウルトラサウンドで胎児をチェックして、子宮の上のほうからBaby C、Baby B, Baby Aと呼んで、“Baby Cには胎児後頸部の浮腫が見られるので堕胎の対象にします。その前にBaby AとBaby Bに絨毛検査で染色体異常の可能性が無いことを確認して、その結果で最終決定をします。”ということで、ここでも絨毛検査にともなるリスクの説明を受けました。
この検査は胎盤の一部を採取しての検査なので、羊水検査よりも早いこの時期でも検査が出来るということで、染色体の異常の察知は同程度です。流産のリスクは0.5-1%と高く (羊水検査は1/1600)、そのことも覚悟の上での検査でした。
4日後にでた結果では、Baby AとBは染色体異常がなく、どちらも男の子。
2日後には減胎の処置になりました。
処置室にはダンナさんは入れなかったので、最終的なウルトラサウンドで最後に3人が動いている姿を一人で見ていました。処置に入り私のほうから見えるモニターは消され、後はただ天井を見つめていたことだけ憶えています。
Baby Cは性別もわからなかったけれど、私は密かに女の子だったと思っています。
そして女の子だったらつける予定だった名前が、McKenna。