今日は、牛乳の容器についてみていきます。


■ペットボトル入りの牛乳
みなさんは、ペットボトルまたは缶入りの牛乳って見たことありますか?
おそらく、ほとんどの方は見たことないはずです。


理由は、乳等省令という法律に使用してよい容器の規定があるからです。
規定されていないものは使用できません。牛乳に関しては、
ほかの飲料水よりも基準が厳しいのです。


実は、最近までこの規定にペットボトルが含まれていませんでした。
乳等省令が改正され、平成19年10月30日からはペットボトルが
使用できるようになっています。
(下の参考の四-(二)-(1)-1に「ポリエチレンテレフタレート」が追加されました)


ペットボトルが加えられたのは、消費量の低下やお茶市場に押されている
ことを憂えた生産者側の要望があったからといわれています。


これは、日本初のペットボトル入り牛乳です。

※元ねたは全国牛乳商業組合連合会 から

身近な食べ物からはじめる食品学-ペットボトル入り牛乳 身近な食べ物からはじめる食品学-ペットボトル入り牛乳

しっかりと公正マークも入れてきましたね。
この記事に、全国飲用牛乳公正取引協議会の承認を受けたという記述があります。


ペットボトルであれば持ち運びも楽ですし、開封してからの保存もしやすいですよね。

もちろん早く飲まなければならないということに変わりはないですけど。
これからは、ペットボトル入り牛乳が増えてくるかもしれませんね。



■缶入りの牛乳
さて、次は缶についてです。


「どこかで見たことある気がするんだよなぁ」とか
「えっ、昨日飲んだよ」と思っている人、
おそらくそれは牛乳ではありません。
確かに似てるものならいっぱいあるんです!
昔「ビタミン入り牛乳 」というものが売られていました。


乳等省令の改正により、乳飲料は「牛乳」を名乗ることができなくなった
わけですが、現在はこんなかたちで売られています。


サントリー 草原物語ミルク×30本

なぜ、缶入り牛乳がないのでしょうか?


これもペットボトルと同じく、乳等省令で定められているからです。
下の参考の四-(二)-(1)-1を見てください。
これは牛乳に関する規定ですが、こう書かれています。
「金属缶(クリームの容器として使用するものに限る。」
なんと、クリームに限定されています。


一方、四-(二)-(1)-2は乳飲料に関する規定です。そこでは、
金属缶に関する限定はありません。


つまり、乳飲料では缶は使用できますが、牛乳では使用できないのです。


昔牛乳を名乗った缶入りの乳飲料が売られていたのは、おそらく
製造業者が法律の目をかいくぐるための技であったと思います。


また、なぜビタミン入りかといえば、乳以外の何かで味や成分を

大きく害さないものとれなれば、やはりビタミンが筆頭に来るのでは

ないでしょうか。それに、ビタミンCやEには酸化防止効果があり、
缶というロングライフの商品にとっては都合がよかったのでしょう。



今回はここまでです。
次回は、ミルクコーヒーについてみていきます。


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【参考】
四 乳等の器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準
 (二) 乳等の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準
  (1) 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリーム、発酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準
   1 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳及びクリームの販売用の容器包装は、ガラス瓶、合成樹脂製容器包装(ポリエチレン、エチレン・1―アルケン共重合樹脂、ナイロン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート(以下この号において「合成樹脂」という。)を用いる容器包装をいう。以下この号において同じ。)、合成樹脂加工紙製容器包装(ポリエチレン加工紙、エチレン・1―アルケン共重合樹脂加工紙又はポリエチレンテレフタレート加工紙(以下この号において「合成樹脂加工紙」という。)を用いる容器包装をいう。以下この号において同じ。)、金属缶(クリームの容器として使用するものに限る。以下この号において同じ。)又は組合せ容器包装(牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳にあつては合成樹脂及び合成樹脂加工紙を用いる容器包装、クリームにあつては合成樹脂、合成樹脂加工紙又は金属のうち二以上を用いる容器包装をいう。以下この号において同じ。)であつて、それぞれ次の規格又は基準に適合するものであること。
   2 発酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の販売用の容器包装は、ガラス瓶、合成樹脂製容器包装、合成樹脂加工紙製容器包装、合成樹脂加工アルミニウム箔製容器包装、金属缶又は組合せ容器包装(合成樹脂、合成樹脂加工紙、合成樹脂加工アルミニウム箔又は金属のうち二以上を用いる容器包装をいう。以下この号において同じ。)であつて、それぞれ次の規格又は基準に適合するものであること。