ボストークの謎デザインをロシア人に訊いてみた | エンドケイプ公式BLOG

ボストークの謎デザインをロシア人に訊いてみた

僕は長年ロシアの時計ボストークを集めているのだが、







FbfNBS9TM7.jpg

先日来日していたロシアの広告会社ボスホート社の方々に僕が唯一調べても判らないこの文字盤デザインのボストークを見せてみた。

図柄的にはとても珍しいタイプで、オークションでも販売店でも同型を見た事がない。

彼らなら手がかりを知っているかもしれない。

ヒントはたくさん散りばめられている。

まず「50」の文字。ロシア国旗の柄。そして右下のMK3という謎の羅列。


みんな眉間に皺を寄せ合い、この時計をじっと睨みつけているとひとりが「Mはモスクワだと思う」と口にした。

なるほどMK3は頭文字なのか。

と、いう事でMは
モスクワ:Москва
で仮定しよう。

すると別のひとりが「3は工場を意味するはずだ」と。

そう3は数字の3ではなくキリル文字のзで
工場:завод
を指すらしい。だからMK3ではなくキリルの頭文字
МКз
なのだ。キリル文字ややこしいあるあるである。


ただ全員が「50とКは判らない」と。


いや、ここまで判れば逆に僕の方が解明できるかもしれない。

МКзがモスクワ〇〇工場を意味するのならば、その間の文字は時計工場を意味するものが妥当だろう。

ボストークの発祥は第2時計工場(2МЧЗ)である。ただ、調べてみてもその中にКが頭になるような言葉はない。


ボストークといえばコマンダスキーシリーズがメインな訳で頭文字は
Командирские
К
である。

モスクワコマンダスキー工場:Москва Командирские завод

これが有力候補かな。それに[М]が[モスクワ]で[з]が[工場]の頭文字と見抜くロシア人が10人もいて、誰一人【К】の意味が判らないのもこれがコマンダスキーというシリーズ名だからと考えれば納得だ。ボストークウォッチを知らなければ判る訳がない。

ただちょっと工場の名前でもないし、違和感を感じるのも正直なところ。やはり【К】はズバリ第2時計工場を意味する単語が入る気がしている。
懐中時計:Карманные часы
も生産していてその頭文字も
К
だし今後も調べてゆきたい。


では50は何か?

ロシア国旗からも記念を意味するデザインならば50は50年だろう。

そうなるとソ連崩壊1992年を50周年だと仮定すると1942年という年代が出てくる。

なんとこれはボストークが先に述べた「モスクワ第2時計工場」で創設された年なのだ。

全てが合致。だから余計に間の【К】がコマンダスキー単体を意味するのか疑問だが、ざっくりと結論付けると…


結論:ボストーク50周年ソ連崩壊していろいろ激動だけど頑張ろう記念


と、いう感じの1992年に出た記念時計な訳だ(ざっくり)。
記念時計といってもボストークはこんな感じのデザインをどんどん出していたので、一般的価値はそこまで高くはないが現存数は極めて少ない図案だと思われる。

それにしても、彼らに見せなければ「モスクワ」も「工場」も気付かなかった。

本当ありがとう。スパシーバ!!