2作目の憂鬱(・ω・) | エンドケイプ公式BLOG

2作目の憂鬱(・ω・)

音楽にせよ小説にせよヒット作の2作目や続編というポジションは難しく、

1作目が評価されているほど、

それを超えることは難しい。

映画はまさにそんな2作目の憂鬱の宝庫である。



「レッド・ドーン」

シンプルな映画である。
他国介入ばかりで本土防衛スカスカのアメリカがあっというまに北朝鮮に制圧されてしまい、その軍と戦う若きゲリラの話だ。
これはもともと30年前の「若き勇者たち」というソ連軍がアメリカに攻め込んできた映画のリメイクだ。
初代のこの映画はとても淡々と物悲しくて、余計な演出もなく、なによりもソ連兵がパラシュートで降ってくる情景はリアリティさえあった。

だが、しかし。

ここは2作目の憂鬱。

リアリティも薄れ、演出過剰で、エンタメに走ってしまった。

時代の違いと言えばそれまでなのだが、日本版ポスターを観ても一目瞭然である。



これは当時の「若き勇者たち」ポスターだ。

同じテーマを作品にしても、こちらは悲壮感がまず漂う。もうすでに左側、死んでるのか生きてるのか寝てるのか判らないし。

たった8人の高校生がどうやってあのソ連に対して対抗するんだろうと気になってしまう。
なによりも冷戦時に制作されているから「もしかしたら起こりうる」話だったのだ。

それに対して「レッド・ドーン」は前を向いて戦おうとするアメリカの底力が全面に観てとれる。
ポスターを観ても、「まぁ、なんとかなるんだろうな」感がすごい。

まずは「若き勇者たち」を観てほしい。
全然30年前の古臭さを感じない名作である。



そして次に、




「エリジウム」

こちらは2作目でも続編でもないが「第9地区」で大当たりした監督の新作で、
格差・差別社会をテーマにした作品なので、まぁ2作目である。
「第9地区」で次作の予算が桁違いでおりたので作りましたというような感じだが、そこそこ面白かったですよ。
この映画、賞賛も不満もネタバレになるので詳しく書けないが、
相変わらずメカデザインも良くて新旧入り混じった時代背景の描き方観ても、この監督は本当にこういうの好きなんだなと判ります。

ただテーマって、やはり根底に流すのが美だと思うのですが、
「第9地区」同様テーマを露骨に本筋で表現するってスゴイなと。

吸い物を味わいながら舌の奥で隠されたカツオ出汁を感じる良さと、
吸い物のフタに「これはカツオ出汁が自慢です」と書かれているのを読んでから味わう良さの違いか。
まぁ、カツオ出汁すら感じないで飲む人も多いから、露骨に出した方が判りやすくウケるのかもね。

僕もね「このアイスクリームは天然○○を使用して」とか「この野菜は当社契約有機栽培農家の~」ってメニューに最初から書いてあるとついそれを頼んでしまうからね。

テーマの見せ方ってこの「エリジウム」くらいが最適なのかもな…