熱帯夜 | Chapter 2,682〜

Chapter 2,682〜

非表示にしたものも含めると2,800話くらい?
これ8章。

旅館の部屋の体は為してるものの(ていはなしてるものの=それっぽくなってる)

虫いっぱい。

蛾、甲虫、大きなとこではヘビトンボ、網戸にミヤマクワガタ(♂)が張り付いてる。

寝てると小さな羽虫が鼻に吸い込まれて咽せたりする。

我が家の『アリビング』を冷静に対処したように、昆虫耐性Aクラスの俺には何てことない気にならない。

それよりも、

 

何だろうこの独特の匂い。

 

乳臭いような。

安い牛肉、ちゃんと処理されていない牛肉を食べた時に感じる匂い。みたいな。

元々、鼻は敏感だからか、どうにも気になる。

布団に寝ると余計強く匂う気がする。

こういう所でこういうものなのだろう。

 

 

 

山で、

俺の右手に、

ん?

・・・なにやってんの?

せみ。

手の甲に「がっし」と掴まる蝉。

多分エゾハルゼミ(標高1000m以上に生息する高山性のセミ。セミはカメムシの仲間)

 

てっ。

 

いったいちゅうのっ。

 

セミは長い針のような口で樹木を刺し、樹液を吸う。

いや確かに俺の腕、日焼けしてるしゴツゴツだけどさ、

 

痛いって。

 

もぞもぞと手首〜腕と昇りながら「ちく。ちくっ。ちっく」「おっかしぃなぁ、刺さんないなぁ」

いやでも固い木の皮を貫通するんだから俺の皮膚くらい刺さらない?

いや刺さってもらっちゃ困るんだけどさ。

あちこち刺されても嫌なんで、飛んでってもらった。

 

 

 

宿にエアコンが全く無く、陽が落ちると急に気温が下がる。

「高原の爽やかさ」なんてレベルじゃない寒い。

布団掛けないと寒い。

そりゃ、東京の暑さよりいいのかも知れないが。

窓を全開にしてTシャツを胸まで捲り上げ、首と胸が汗でべとべと。虫が這ってるみたいに汗が流れて、その汗でシーツが濡れる。寝苦しい。

それでも俺はうちの方がいいや。

熱帯夜の方がいいや。

 

熱帯夜って艶っぽいよね。