わたしは「見取り図」という漫才師のコンビの盛山さんが好きで、劇場やテレビ番組などでのご活躍を拝見しています。

その「見取り図」が、「第59回上方漫才大賞」の「奨励賞」を受賞しました✨


「上方漫才大賞」とは、上方の漫才を育て顕彰する目的で1966年(昭和41年)に設立された、漫才の最も古い歴史を持つ、漫才関係ではとぉっても権威のある賞です。第一回の大賞受賞者は、なんと、かしまし娘という歴史の深さです。

「大賞」「奨励賞」「新人賞」の3つの賞があり、見取り図は、主に中堅の漫才師を対象にした「奨励賞」を受賞しました。


第59回上方漫才大賞が放送された昨日から翌日の今日まで外出しているのですが、移動の合間などに奨励賞受賞の記事を読み返してニコニコし、「奨励賞受賞 見取り図」などとテロップの入ったテレビ番組の画像を眺めてニコニコし、当人やマネージャーの方の奨励賞受賞報告のSNSを読み返してニコニコしています✨


「見取り図」という漫才師のコンビは、「ABCお笑いグランプリ」を受賞し、「M-1グランプリ」決勝に複数回進出するといった経歴のある、実力のあるコンビです。しかし、これまで、漫才関係の賞の受賞はなく、そのことがコンプレックスであると発言してきました。

わたしは、このことについて、「ABCお笑いグランプリ」の受賞や、「M-1グランプリ」決勝進出という経歴だけでも十二分に実力が認められている上に、見取り図は常に劇場に立ち、漫才で多くの人々を楽しませ続けているので、受賞という外形的なことにこだわらなくても、良いのではないかなと思ってきました。

しかし、実際に、「上方漫才大賞」の奨励賞という、漫才の本場の上方の歴史ある賞を受賞すると、とってもうれしいです✨


わたしは、親族に出身地の地方銀行やインフラ企業の役員が多く、女性の親族の一人は東京大学出身で、東京の大手企業の執行役員をしています。

わたし自身も、慶應義塾大学を卒業し、ずっと東京で、総合職として働き続けてきました。

相手のジェンダー観に違和感を抱かないですむ日本人男性は、母親が大学教授や専門職、管理職などのため、女性を知性と意思ある存在、お飾りではなく、社会における実質的な意思決定に参画する存在として幼少期から認識し続けてきた人だけで、結果的に、結婚してもいいと思うことができて、結婚していたことのある相手は、母親が教授や専門職、総合職の役員などの、小学校から慶應義塾だったり、麻布中高出身者などの(なぜか、開成出身者より、麻布出身者の方が断然話が合います)、東京都出身の堅い職業の育ちの良い男性だけでした。

当然のことながら、西の出身の、吉本興業所属の芸人である見取り図とは、ジェンダー観や倫理観に非常~~~~に!!!!乖離があり、違和感を抱くことも多いです。(見取り図だけでなく、テレビ業界や芸能界全般に対して違和感を感じています。)そのため、全ての発言や行動を肯定しているわけでは決してありません。


しかし、「見取り図」の盛山さんには、漫才師として、芸人として、テレビスターとして、人間として、素晴らしい点、魅力的な点が多くありますので、その魅力を記載していきます。


1 相手の魅力を引き出すMC

盛山さんは、性別問わず、後輩の芸人など自分より立場の弱い人たちに優しく、慕われている様子がテレビ画面を通してでも伝わってきます。

盛山さんの、太陽のように暖かく、明るく、優しい雰囲気や言葉がけ、突っ込みの上手さが、最も活かされるのが、テレビ番組の司会、MCです。

「ABCお笑いグランプリ」は、まだ芸歴の浅い、テレビ慣れしておらず、気合いが入りすぎて空回りしたり、緊張しすぎて上手く話せなかったりする若手芸人が大勢出演し、司会者の力量が求められます。

盛山さんは、この、「ABCお笑いグランプリ」の司会をつとめられていました。

盛山さんは、気合いが入りすぎて空回りしたり、緊張しすぎて上手く話せなかったりする若手芸人たち全員に、優しく接しながらも、突っ込んだりさりげなく軌道修正してあげて必ず面白くし、きっちりテレビ番組のスケジュールに合うような時間配分で進行をしていました。

さらに、若手芸人たちの特技や長所が披露できるように気を配り、相手の魅力を引き出していました。

「ABCお笑いグランプリ」は主に芸人が相手ですが、アイドルや俳優などにも、同様の接し方をされています。

今後も、冠番組をもち、MCとして活躍していっていただきたいです。


2 言語感覚、ファンタジーの発想、音楽性

即興で韻をふむフリースタイルラップや「あたおか」と行った造語に表されるように、言語感覚が優れています。

夏の、頂きに雪のない富士山を、「すっぴんの富士山」と表したのが、特に素晴らしいと思った盛山さんの表現の例です。

冬の「雪化粧」に対比して、夏の山肌の露出した富士山を「素顔」であるととらえる季節感とファンタジーの発想、さらに、それを「すっぴん」と飾らない言葉で表す言語感覚が素晴らしいです。

リズムのある言葉遣いに加えて、体内で音が十分に反響した、重層感のあるかすれたブラックミュージックに最適な声を持っているため、漫才やテレビ番組でのコメントはもちろん、ラップなどの音楽にもこれらが活きると思います。


3 漫才にも反映される人間性、叙情性

「南大阪のカスカップル」は、もちろん、ある属性の対象を観察し、その観察結果に基づき構築された、一定の距離を置いた笑いという前提があります。演者と演じられる者が不可分に一体というわけではなく、主体として客体を観察する視点が存在します。

しかし、それだけではなく、自分自身の属性に関わらず、2人の関係性の中に、若い頃の、社会的側面を一切考慮せず、本能的に惹かれあった交際を思い出す、普遍的な郷愁と切なさ、叙情性があります。

そのようなものを描き出せる人間性と感性が、漫才に活きています。


4 最高に面白い漫才師

今回の、「上方漫才大賞」奨励賞の受賞という結果は大変に素晴らしいものですが、真に讃えられるべきものは、その結果ではありません。2人の過程です。 

M-1決勝進出後、東京と大阪を行き来し、テレビ番組やイベントに多数出演する多忙な中でも、常に劇場に立って漫才をし、多くの人々に、笑いを与えてきました。

また、単独ツアーでは、新ネタをつくり、複数の都府県で、ネタを変えていました。

常に漫才、笑い、観客に向き合い、試行錯誤してアップデートしてきた結果が今回の受賞です。

「見取り図」と聞いて、一番に連想する言葉は、「面白い」です。

受賞の有無に関わらず、「見取り図」は、常に、最高に面白い、唯一無二の、漫才師です。


(番外編:AKIRAに聞け!

漫才に向き合い続けてきたことは、素晴らしいことですが、吉本興業内部の狭い世界の異常な価値観に染まってしまい、違和感を感じられなくなるという弊害も懸念されます。見取り図や見取り図と共演の多い芸人さんより、地頭の良さと、一般的な視点で自分たちがどのように観られるか把握する客観視の能力が数段上なのが、麒麟の川島明さんです。弊害の打破のためには、自分自身が勉強し、視野を広げることに加えて、「AKIRAに聞け!」ということを記載しておきます。また、民放キー局やNHKの女性プロデューサー、ディレクター、記者などの、率直な意見を聞くことができる機会があれば、聞いておいた方が良いと思います。利害関係者だと、意見に忖度や遠慮が入る可能性があるため、外資系企業の総合職の女性などにヒアリングできるとなお良いです。)