2014.6.10 

 昨日の続きです。私が再び「想像の翼を広げる」ことの楽しさを知ったのは、生徒とのスクイッグルです。多くの中学校では、テスト前の部活動休止期間を利用して「相談週間」を設けていました。(今でもたぶんあると思います。)生徒にしてみれば、早く家に帰りたいのに教師に順に捕まえられる。教師に「何か先生に相談したいことがあるか。」と聞かれても答えるわけはありません。

そもそも中学生ともなればよほど困ったことがなければ親や教師に自分から相談なんかしないものです。私にとっても「相談週間」は苦痛なものでした。しかし、同一歩調を求められる学校という世界では私のクラスだけしないわけにはいかない。

そこで、「相談週間」を生徒との信頼関係づくりの時間と位置づけました。困ったことがあり、自分たちで解決できないことがあれば、私で良かったらいつでも来てくださいというメッセージを伝えたいと思いました。

最初は生徒の興味を持っている話を聞きました。マンガやアニメ、テレビゲーム、タレント等々。しかし、困ったのは向き合うとまったく話ができない生徒が何人かいました。その生徒との時間は一方的にこちらがしゃべるだけで終わってしまい、これでいいのかなあという気持ちを残しました。

 そこで取り入れたのが、スクイッグル(なぐり描き)です。スクイッグルの中でも山中康裕先生*の「交互なぐり(ぐるぐる)描き物語統合法(MSSM)」を取り入れました。まず、A4の紙を生徒にサインペンで6つの部分に区切ってもらいます。次にサーバーとレシーバーを決め、サーバーはその枠の中に交互に誘発線となるなぐり描き(ぐるぐる描き)をします。レシーバーはその線から見つけたものをクレヨンで絵にしていきます。サーバーとレシーバーと交互に5回交代した後、できた5つの絵を使って物語を作り、一つ残った枠の中に書いていくという方法です。

 私は絵が下手ですが、それが幸いしました。私がレシーバーで描くへたな絵にほっと生徒の緊張感が緩むのを感じました。生徒の描いたぐるぐる描きから様々なイメージが広がっていきます。逆に私のぐるぐる描きからは、私の予想もしなかった絵が出現し、生徒のイメージの豊かさに感心しました。お話は原則として一緒に作っていきます。そして、できた物語を生徒に書いてもらい、可能ならば声に出して読んでもらいます。終わった後は、一緒に一つの作品を作り上げたという充実感を生徒と共有することができました。そして、その作品の中からたくさんの情報を得ることができました。

 こうして、「相談週間」での生徒とのスクイッグル(MSSM)を通して、再び「想像の翼を広げる」ことの楽しさを知ることができました。その後、さらに生徒たちから「想像の翼を広げる」ことの楽しさ、大切さを教えられることになります。

 続きはまた明日。ごきげんよう。さようなら。(^^

*山中康裕

 精神科医 元京都大学教授 京都大学定年退官後世界中の川を巡り歩き、自称「カワンセラー」 代表的著書「少年期のこころ」、近著「こころをよむ~心をつなぐ川を訪ねて」