私のお守りは黒いマジック。
イヤなものがあるとね、マジックでそれを塗りつぶすの。今日も友達とケンカして、友達の顔を真っ黒にしちゃった。もう顔を見ることもないの。すごくスッキリ。
そう。この黒いマジックは魔法のマジック。
見たくないものを塗りつぶすと、私の目にだけうつらないようになる。道ばたに落ちているゴミも、不純な看板も、公園にあるビニールシートも、たむろっている怖いヤンキーも何も見えない。私の世界は、私の好きなものだけが存在する。これほどの幸福はないはずだ。
今日も学校。教室に入ると『ごめんね』って声がした。昨日ケンカした真美の声。とっさに、『私こそ、ごめんね』って答えたけど、真美の顔は真っ黒。泣いているのか、笑っているのか、怒っているのか、悲しんでいるのか分からない。でも声はやさしい。きっと、やさしい表情をしているんだろうな。
そう思ったら、真美の顔が見たくなった。目の前にいるのにそれが見れないなんて。もう、あの笑ったときに出来るえくぼや、大きな瞳を見ることが出来ないなんて。わたしはなんて、なんて愚かなことをしてしまったのだろう。
一瞬の衝動で顔を塗りつぶしたことを後悔した。
自然に涙がでてきてこぼれ落ちた。涙はあとからあとから湧いてきた。涙がこぼれた分だけ、インクが落ちていった。サングラスを外したときのように、視界は明るくなった。そして、私の瞳が真美の顔を捉えた。真美は泣いていた。
(よかった。また見えるようになって。)
今度は嬉しくて泣いた。
その日から、私は見たくないものについて考えるようになった。
今までこの世界にあるものから逃げていたのだ。もし、その見たくないものが助けを求めていても、私には見えない。それで本当にいいのだろうか。
分からない。分かるのは、好きなもの嫌いなものあっての世界だということ。『世界の全てを知りたい』と思うなら、嫌なことをも受け入れなくてはならない。目をそらしていたら受け入れられない。でも、見ないこともひとつの選択肢だと思う。心がその重みに耐えられないのなら、見ないこともアリだ。そういう生き方も、もちろんある。
私のお守りは黒いマジック。私にとって大事なものは何か、教えてくれるんだ。
イヤなものがあるとね、マジックでそれを塗りつぶすの。今日も友達とケンカして、友達の顔を真っ黒にしちゃった。もう顔を見ることもないの。すごくスッキリ。
そう。この黒いマジックは魔法のマジック。
見たくないものを塗りつぶすと、私の目にだけうつらないようになる。道ばたに落ちているゴミも、不純な看板も、公園にあるビニールシートも、たむろっている怖いヤンキーも何も見えない。私の世界は、私の好きなものだけが存在する。これほどの幸福はないはずだ。
今日も学校。教室に入ると『ごめんね』って声がした。昨日ケンカした真美の声。とっさに、『私こそ、ごめんね』って答えたけど、真美の顔は真っ黒。泣いているのか、笑っているのか、怒っているのか、悲しんでいるのか分からない。でも声はやさしい。きっと、やさしい表情をしているんだろうな。
そう思ったら、真美の顔が見たくなった。目の前にいるのにそれが見れないなんて。もう、あの笑ったときに出来るえくぼや、大きな瞳を見ることが出来ないなんて。わたしはなんて、なんて愚かなことをしてしまったのだろう。
一瞬の衝動で顔を塗りつぶしたことを後悔した。
自然に涙がでてきてこぼれ落ちた。涙はあとからあとから湧いてきた。涙がこぼれた分だけ、インクが落ちていった。サングラスを外したときのように、視界は明るくなった。そして、私の瞳が真美の顔を捉えた。真美は泣いていた。
(よかった。また見えるようになって。)
今度は嬉しくて泣いた。
その日から、私は見たくないものについて考えるようになった。
今までこの世界にあるものから逃げていたのだ。もし、その見たくないものが助けを求めていても、私には見えない。それで本当にいいのだろうか。
分からない。分かるのは、好きなもの嫌いなものあっての世界だということ。『世界の全てを知りたい』と思うなら、嫌なことをも受け入れなくてはならない。目をそらしていたら受け入れられない。でも、見ないこともひとつの選択肢だと思う。心がその重みに耐えられないのなら、見ないこともアリだ。そういう生き方も、もちろんある。
私のお守りは黒いマジック。私にとって大事なものは何か、教えてくれるんだ。