血栓症の初期症状について
※ずっと血栓症と記載していますが、ここでいう血栓症は静脈血栓塞栓症を指しています。
日本国内の医療機関でピルを処方されている方であれば、
初めて処方された時に、
”服用者携帯カード”もしくは”患者携帯カード”を受け取っていると思います。
↓左:ピルの服用者携帯カード
右:月経困難症治療薬として処方されている保険薬の患者携帯カード
どのカードにも、
・次のような症状があらわれた場合には、すぐに救急医療機関を受診してください。
突然の足の痛み・腫れ 手足の脱力・まひ 突然の息切れ、押しつぶされるような痛み 激しい頭痛・舌のもつれ・しゃべりにくい 突然の視力障害(見えにくいところがある、視野が狭くなる)など |
と記載されています(※受診については次回書きますね)。
また、静脈血栓症を疑う初期症状の頭文字をとった
”ACHES(エイクス)”というのもよく知られています。
A:abdominal pain(激しい腹痛)
C : chest pain(激しい胸痛,息苦しい,押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye/speech problems
(見えにくいところがある,視野が狭い,舌のもつれ,失神,けいれん,意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み,むくみ,握ると痛い,赤くなっている)
下肢の血栓症の症状は、血栓がある方の静脈に沿った片側の腫脹(腫れ)、
熱感増加や皮膚の発赤、立位または歩行時に感じる下肢疼痛・圧痛
(ACHESの説明については、OC/LEPガイドライン 2020年度版 p76より一部抜粋)
下肢痛のみ太字にしているのは、
上記の症状の中で下肢の深部静脈血栓症の割合が1番多いからです。
(参考データはリンク参照。
全ての静脈血栓症のうち、深部静脈血栓症+(肺塞栓症+深部静脈血栓症)が、61.7%を占めています)
また、激しい胸痛や息苦しいとなると、普通に過ごすことはできないので救急
となりますが、下肢痛ってその他の症状と比べて、
変だな?変だな?ドッカーン みたいな。
ピルで足というのもピンときにくいですし、
何科に受診してよいのかもわかりにくいですよね。
(→循環器内科や心臓血管外科になります)
色々書いてますが、
未だかつて起きたことがない症状が出現した時、
あれ?これって?血栓症の症状かも?
と思ってもらえたら、最悪の事態は免れることができるはず。
ピルには血栓症のリスクがあるということと、
その初期症状については知っておいてもらえたら、と思っています。
※服用者携帯カードを失くした方は、次回の処方時に
「もう1回ピルの携帯カードもらっていいですか?」と言ってもらっておきましょう
もらったら、保険証もしくはお薬手帳と一緒にしておいてくださいね