
前回、子宮頚がんの検査結果について書きました。
細胞診の結果がⅡr~Ⅲaという結果を初めてみた患者さんは、
驚きと不安を隠せません


もし私自身が、自分の細胞診でその結果をみたとしても、
やっぱり驚きと焦りを感じてしまうでしょう


どういう状況なのかを解っていても、ドキッ

ただ、このⅡr/Ⅲaという結果自体は、
前回も書いたように、決して珍しいことではなく、
(現時点では)がんではありません

HPVワクチン反対派の方は、
この“今はがんではないけれども、フォロー中”の方について、
ご理解いただけているのでしょうか

確かに、HPVはほとんどの女性が一生のうちに感染し、
感染しても90%は自然に排除されるとも、
潜伏しているともいわれています。
しかし、ほとんどが正常に戻るといっても、
ただ黙って正常に戻るのを待つ訳ではありません。
大抵3~6カ月でがんに移行していっていないか検査しているのです。
進行していないか、という不安

子宮の入り口の検査ですから、下着を取らなければなりません。
もちろん、費用だってかかります

先日、Ⅲaフォロー中の20代半ばの女性から質問がありました。
彼女は、細胞診Ⅲaが続いており、HPVタイピング検査(※1)をしたところ、
16型が陽性でした。
「今からHPVワクチンを接種しても意味はありませんか?」(切実)
HPV16 に関しては、既に感染しているため予防効果はありません

HPV18型(ガーダシルの場合は、11・16型も)に関しては、
今後の感染を予防することはできるけれども、
今の16型に関しては、様子を見ていくことになります。
HPVワクチンは、16型・18型に起因する
この「今はがんではないけど、今後がんになる可能性がちょっとあるから
注意深く見ていきましょう」という状態も予防してくれます。
『もし自分がこのワクチンを接種していたら・・・』
とどれだけ多くの女性が思っているか。

しかし、子宮頚がんの99%にHPVの持続感染が認められているのですよ

もうしばらく頚がんの話が続きます。
※HPVタイピング検査について:
ほとんどの子宮頚がんは、
HPV(ヒトパピローマウィルス:性的接触で感染するありふれたウィルス)の持続感染が
あり、100種類以上あるHPVの中でも15種類程度ががんを引き起こす可能性のある
『高リスク型』と呼ばれています。
高リスク型の中でも、何型のウィルスに感染しているのかを調べるのが、
HPVタイピング検査です。
中でも16型と18型は20代の頚がんの9割

30代では8割



HPVワクチンは、この16型18型の両方の今後の感染をブロックしてくれるのです。