たかが従姉妹との恋
著 中西鼎
イラスト にゅむ



読了しました。





兄から、
「2巻で主人公がビンタされるところまでは読んでくれ」と言われて読み始めた本ですが……



ぶっちゃけ、
「お兄ちゃんがオススメする本、
そんなわたしの趣味じゃないんだよな」


と思って読み始めたものなのです。



が!




今回は「アッ 好きかも……」






わたしが本を読むとき、
文体検定が入るのですが、
この本は悠々合格でした。


書き出しが


『初キスはレモンの味だと巷では言われている。

たぶん嘘だ。俺の場合はコーヒー味だったからだ。』


で始まって、合格しないはずがない。



そして、章の終わりが、
「〜だった。」でひとつも終わっていないのは、個人的にポイント高いです。


ポイントが低くつくのは、
「俺はため息をついた。」
で終わる小説なのですが、


この本は、章を
「えっ、ここで終わるんだ!」
という気持ちで終わらせてくれて、
しかも、「次の展開はこうだろうな」と
期待を抱いて次の章へと進むことができました。(というより進まされた)


嬉しい。
これが本を読む醍醐味というもの……!




「安達としまむら」や「涼宮ハルヒの憂鬱」が試験問題になったように、
この本も国語の試験問題に出してもいいんじゃないかと思う。


たったの34ページ目で、

『柔らかな春の日差しに照らされて、目の前にある隅田川は真っ白に輝き、波たちは暗緑色のくびれを残して跡形もなく消えていった。そのそばから群青の襞が作られてダイヤモンド形の残滓を残した。(一文中略)四月なのに今日は暖かいから肌に当たる波風も気持ちがよくて、陽光の照り返しの中にある透き通るような凪夏の髪の色がきれいだ。』


印象的な情景描写。
好き。



でも、文学チックな文章なら、
文学小説を読めばいいじゃないと思うけれども、
このお話はとてもテンポが良く進む。
1巻で4人もヒロインが出てくる。

いや、ラノベならそのテンポが普通なのですが、
文学チックな文章で、
ラノベのテンポがある本ってあんまりなくない?


しかも文学チックな文章がずっと続くわけじゃないんですよ。


でも、ユーモアのある文章って、
その文脈でのノリも大きいので、
ここでは紹介できないのです……。
(ネタバレになりそうなので)





だから、結論。


読んでほしい。


わたしも兄に布教されて読んだ本だけれども、

いつもは「現代青春小説とか(笑)」
みたいなわたしが!!




というわけでお願いします。


来年の「このライトノベルがすごい!」に載っていたらわたしはとってもハッピー。