『ウォールデン森の生活』
ヘンリー・D・ソロー
※極力手を加えずに自然と共に生活することはどんなに素敵なことか、を滔々と書いた本。
物を持たないで豊かに生きるという考え方には共感できるけど、森での暮らしの経験による具体例が多く冗長の感あり。と、私は思ったので、斜め読みしました。(笑)
が、ソローの眼を通した自然に関する記述には鋭い感性を感じさせるものがあり、評価が高いのではないかと思う。
以下、気になった点、なるほどと思った箇所を抜き出しました。()内の数字はページ数、「→」はそれについて思ったことです。
1 経済
・自分に合ったものだけが、真に役に立つ
例 服
・御者
自分についての自分の考え・世が下した評価の奴隷。
人は自分をどう考えるかで、自分を方向づけている。
・ミンクとマスクラットの勇気
「罠に脚を挟まれたのが三回目のマスクラットを捕らえたことがあるが、脚を噛み切ったものの、最後の一本の脚では走りようがなく、罠の脇で死んでました」by猟師メルビン
→3回も同じ罠にかかるなんであほなのかな?って思ったけど、逃げるために自分の脚を噛み切るのはすごい勇気ある!
・人の可能性を、過去の人が成し遂げたことを基準にして推し量ろうとしても、できるはずがありません。(19)
・贅沢なお金持ちの暮らしは、快適に暖かく暮らす必要をはるかに超えて、暑いのです。
・ふたつの永遠、すなわち過去と未来の合わせ目にある今(27)
・この階層(注:鉄道建設に従事した、アイルランド人労働者)の労働によってようやく、現代を現代たらしめた多くの仕事が成し遂げられたことを考えれば、この階層に報いてこそ、真の公正が保たれます。(48)
○この時代(初版は1854年)に差別はよくないという考えを持っていることがすごいなぁと思う。
・1インチ=2.54cm
・1フィート=30.48cm
→だいたい30cm!大きい足だ。(笑)
・悪魔の弁護士(65):弁護士は相手の欠点をついて、人格の評価を落とす役割をとるという意味。
・ピラミッド
威張りくさった間抜けな者の墓を造るのに、多くの人が一生を台なしにするほど品位を下げていたという事実こそ驚異です。本来なら、ピラミッド造りに働いた一人たちが、間抜けな者をナイル川に投げ込んで犬に食わせたら、男らしく賢明、と称賛されるところです。(75)
→辛辣だな…(笑)
・絶望や病気なら、伝染するのを防いだほうがいいのです。(98)
4 音
・板戸のブラインドの隙間から部屋に射し込む一条の光は、私たちに深い印象を刻みます。けれど、いったん板戸が開け放たれると、もはや思い起こすことすら難しいのです。(142)
→例えば、朝の空の色とか。毎日少しずつ違ってきれいだなと思うけど、だんだん記憶は薄れる。
5 独り居
・私は、劇を見て心を動かされることがあります。劇よりずっと関わりの深い現実の出来事に心を動かされないことがあります。(173)
・オールド・パー:享年152才といわれる。(177)
11 法の上の法
・熱いコーヒーで希望に満ちた朝を台無しにし、紅茶で夕方をだめにするのは、おぞましいことです!(276)
12 動物の隣人たち
・ふたつのアリの種の間の戦争(292)
赤いアリと黒いアリ
13 新築祝い
→やっぱり「長いことで知られるソローの文章」(310 頭注)だったらしい。このページの一文長すぎ!1ページ強(!)の分量。
14 昔の住人と冬の訪問者
・ソローの散歩は一日20〜30マイル(32〜48キロ)に及んだ。(337頭注)