私は最近まで地元が嫌いだった。

とはいえ、嫌いな理由も今思うと薄っぺらいものだったけれど。

 

住む家は変わったけど、生まれた時からずっと今の場所で暮らしてきた。

高校卒業後に上京した兄からは

「一度はここを出て行ったほうがいいと思う」

とずいぶん前に言われたけど、結局出ていかなかった。

でも地元が嫌いだった。

 

私が住む地方は、山もあるし海もある。春には山菜、秋には松茸が取れたりもする。

私は小さい頃から、祖父と祖母がとってきてくれたおかげでそれらを食することができた。

本当にありがたい話である。

それでも嫌いだった理由は、主にないものねだり。

 

イオンがない。

セブンイレブンがない。

お店の方の接客態度が悪い(全ての店ではない)

虫が多い。

娯楽が少ない。

一時期とある理由で地元が有名になったけど、その理由になったものが苦手。

(すいません、詳しく書けません・・)

医者が少ない。

パチンコ店や薬局が無駄に多い。

田舎の人は優しい。は嘘、幻想。と思っていた。

ちなみに私の友人は、一時期家庭の事情で地元に就職していたけど、上京することを決めた時、

「狭い地域の・・なんでもすぐ噂になるところがやっぱり苦手・・」

と言っていた。

 

これだけ嫌いだったと言っている私が、地元を出ていかなかった理由も

実家を新築することになって、住まなきゃ損!と思ったからというまあくだらない理由・・。

一応地元に残る友人も何人かいたことも理由にあった。

だがその選択が浅はかだったと後悔しながら、就職した工場に従事していた。

 

 

でも結婚し、娘を出産してしばらくしてから、

「せっかく住んでいるんだから、地元をもっと知りたいな・・」

と思い始めた。

そこから、今までないものねだりというか、とにかく嫌いな理由ばかり探していたのをやめ、いいところに目を向け始めた。

 

子供の医療費が無料。(私の地域は)

地元の人が作った野菜を買ってみる。

魚が美味しい。

きのこ狩りが趣味の夫が秋になると松茸をとってきてくれる。

(一応補足しておくと、所有している山でのみ採っています)

道路が新しくなり、遠かったイオンやセブンに行きやすくなった。

保育園や子育て支援センターに助けられた。

虫がいるということは、自然が多いということ。

(それでもアブやスズメバチは恐怖・・)

水道水も美味しい。

確かに噂話する人もいる。けれど幸い私の周りには嫌な噂を流すような人はいない。

地元にはマックもモスもないけれど、地元の食材で作ったものを味わってみたり。

 

あれもないこれもない。そう言っていた私は、野菜や米を育てたこともないし、釣りもしたことない、きのこ狩りもない。

今まで自分がいかに周りに助けられていたかや、恵まれていたか考えたこともなかった。

嫌な人もいたけど、その分いい人もいっぱいいた。

言い訳になるかもしれないけど、周りに地元が好きだ!と言っている人が少なかったのもある。

地元の愚痴を言っている人の意見に流されたり、無理に合わせたこともあった。

それで嫌いになってしまったと思う。

まあ流されてしまった時点で、元々ないものねだりをしていたのだが。

 

だが休職した時、今の会社の社長が、

「私はここがすごく好きで、魚は美味しいし自然もあるし・・。だからここで会社を作りたいなって」

社長は地元で生まれ育った人だ。

私はものすごく嬉しくなったのを覚えている。

やっぱり生まれ育った場所を大事にしたい。今は何もできなくても。

これからの未来のためにも・・。

 

子供産まれると、いろいろ考え方が変わるんだね。