ことの発端は6月初めにさかのぼる。盛岡市内に高級マンション分譲の新聞折り込み広告が7万枚配布されたという。
  
《岩手山と岩木山を取り違えたタカラレーベンのチラシ。役員が盛岡市長に謝罪する事態になった》(『産経新聞』2024年6月25日付)
  この写真では読みにくいが、左下には白抜きの説明文が書かれている。
《中津川△岩手山ビューと圧倒的な開放感を愉しむリバーフロントレジデンス》
 つまり眼下に中津川の清流が流れ、左遠方には残雪輝く岩手山を望むことができるというキャッチフレーズである。
  エエッ!!! 朝夕見慣れている盛岡市民にとってみれば青天の霹靂。
《誤りは一目瞭然で、岩手山を誇りとする盛岡市民と岩手県民の気持ちを逆なでする内容に関係者らが激怒し、盛岡市が同社に抗議する事態に発展していた。
 この日、市役所を訪ねたのはタカラレーベンとチラシを担当した広告代理店の役員合わせて5人。岩手山と岩木山の取り違えで「大変不快な思いをさせてしまい、本当に申し訳ございません」と深々と頭を下げて謝罪、取り違えた経緯を説明した。》(『産経新聞』前掲)
 たまたまのことと思うがこの直後の6月29日、渡智さんが岩木山に登っている。その折、ウエブニュースでこの事件を知った渡智さんは、途中で撮影した岩手山と岩木山の写真をFacebookで紹介して、問いかけている。
 
《土曜朝盛岡駅で新幹線下車後、バスで岩手山見ながら岩木山へ向かった私。二山の写真をしっかり撮りました。さて左右、どっちがどっちでしょう?!》
  津軽富士・岩木山は富士山型の成層火山で、山頂が2峰見えるのは外輪山であり、青森県の最高峰。

 南部富士・岩手山は西に側火山が連なっていて片流れに見えるので南部片富士とも言われる岩手県の最高峰。

 ふつうは見間違いはしないと思うのだが、くだんの広告写真にはまだほかにも問題があることが判明した。
《同席した広告代理店関係者らは、3月に撮影した岩手山の画像を初夏のイメージに加工する際に誤りがあったと説明した。インターネットで検索した画像を参考にしようとし、ネット上の岩木山の画像を取り違えて使用。……同社は毎日新聞の取材に対し、チラシに載せた岩木山が左右反転した裏焼きだったことも認めている。》(『毎日新聞』2024年6月25日付)
 この説明だけでは具体的な間違い工程がイメージできないのだが……。あるいは、単純な《イワテ》と《イワキ》のネット検索ミスから始まったのかと、想像するのだがどうだろうか。

 それともう一つ、ネット上の写真使用について著作権問題が発生するかもしれないというのは、わたしの老婆心である。