《今日10日(水)は移動性の高気圧に覆われて、ほぼ全国的に晴天が広がっています。……富士山では雪解けが進んでいて、山梨県富士河口湖町からは山肌に「農鳥(のうとり」と呼ばれる雪形が出現しているのが見えました。》(ウェザーニュース 2024年4月10日 08:59 )
 富士河口湖町から4月10日に撮影されたのが次の写真である。

《「農鳥」とは4月後半~5月中旬頃に、富士山の7~8合目あたりに現れる鳥の形をした残雪のことをいいます。昔からこの農鳥が見られる時期を農作業を開始する目安ともされていたようです。今では昔よりも農作業開始のタイミングが早まって、農鳥が出現する頃は田植えが行われるタイミングと重なることが多いと言われています。
 山梨県富士吉田市では毎年「農鳥」の出現を発表していて、昨年の出現確認は5月1日でした。もし、今日発表があれば、4月上旬に農鳥が出現するのは2015年以来9年ぶりのこととなります。》(同前)
 しかし《今日発表があれば》という10日には富士吉田市からの発表はなかったようである。いや、発表はあったけれどマスコミ各社が採りあげなかっただけかもしれない。全マスコミが、富士山北麓でこんな重要な風物詩を無視するということがあるのだろうか。
  ところがそれから2週間、いっせいに報道が始まった。
《富士山に田植えの時期を告げる「農鳥」が25日、現れました。25日朝、富士吉田市の職員が目視で確認しました。》(YBS NEWS 2024年4月25日 11:27)
《富士山に25日、残雪が羽ばたく鳥のように見える「農鳥」が現れた。……富士吉田市によると、4月に入ってから暖かい日が続き、昨年より約1週間早いお目見えとなった。》(産経新聞 2024年4月25日 18:20)
《雪解けが進む富士山の7~8合目で「農鳥」が出現したと、山梨県富士吉田市が25日に発表した。》(朝日新聞デジタル2024年4月26日 10:45)
《富士吉田市が4月25日、富士山の山肌に鳥の模様が現れる「農鳥」が確認されたと発表した。》(富士山経済新聞 2024年4月26日)
  次に示すのは4月25日、富士吉田市から撮影の『産経新聞』の写真である。

 この2週間で窪地の残雪がかなり広範囲に消えていることがお分かりであろう。
 気になるのは、この2週間の差である。富士吉田市からは、富士山は雲に閉ざされて一度も見えなかったのであろうか。雪解けが早かったので富士吉田市富士山課職員は冬眠から目覚めなかったとでもいうのか。
 目くじら立てて咎めるほどのことではないが、この間ちょっと公式記録とは何だろうと、もやもや感じたことは事実である。