久里浜港フェリー乗り場である。

  徒歩客は右手前にあるターミナルで乗船券を買って、右に見えるドーム屋根の通路から乗船する。
  8時20分出港である。テープを投げて別れを惜しむ人などいない。

 海は穏やかで、正面に房総半島が見える。ちっとも揺れないので、せっかく船に乗ったのに、なんだか物足りない。

 航路のすぐ右に海獺島があって、アシカならず釣り人が9人見える。直下型地震で津波が発生したらひとたまりもないだろう。のどかな春の海である。

 金谷港が見えてきた。右向こうにある白い柵内が徒歩客の下船路であろう。
 9時00分ぴったり金谷港着。
 船内放送でJR浜金谷駅まで7~8分かかりますとは聞こえたがそのあとが聴き取れず、停船した後に立ち上がって、下船した。2~3分は余裕があるはずだ。
 ところが白い柵内の狭い通路の真ん中を、大きなトランクを右手で引っ張るおっさんがゆったりと歩き、ターミナルの外へ出るまで追い抜けない。
 ターミナルを出ると急いで歩いて、間の悪いことに国道127号で信号ストップを食らい、JR浜金谷駅に着いたのが9時10分ちょうど、無人駅である。改札のなかを見ると乗ろうと思っていた電車がまさに入線してきた。

 急いでパスモでジャッ、改札を入ると同時に「ドアが閉まります」と車内放送が聞こえてきて、跨線橋の階段を上ろうしたら下車客が階段の幅いっぱいに広がって下りでくるので万事窮す。電車は出て行く煙も出ない。
 
 ラッキーなことに、30分後に特急があるのだが、この列車はジョルダンで検索できない季節列車らしい。

 館山まで連れていかれては堪らないのだが、情報がとれない。

   ちょうど駅の掃除などのために職員が姿を現したので訊くと、岩井にも停まる、特急料金は車内で車掌に精算してくれと。
 9時41分JR東日本特急さざなみ号館山行き浜金谷駅発、9時52分岩井駅着。30分遅れで皆さんと合流を果たすことができました。 (つづく)