彼はただ、まっすぐ私を見ていた。
そのキレイな瞳はずっとこちらを向いていた。

ただ、まっすぐ立って。


タージ・マハルを対岸から見て、写真撮影をしていると、有刺鉄線が張り巡らされた向こうに3人の子どもが頭に荷物を乗せ、家の方に向かっているようだった。

友達は近寄った。

すると、『Money』と、
大きくも小さくもない、
元気でも、しゅんとしてるわけでもない声で言ってきた。


友達は何枚かお札をあげた。

どれだけあげたのかは分からない。

私も出そうとしたけど、友達が『もういいよ!』
と言ったので、バッグを開けようとした手を止めた。

彼らはそれを見ていたが何も言わなかった。
悪かったかな~と思いつつ、仕方がないこと。

友達があげたし。と言い聞かせた。



そして、タージ・マハル見学が終わり、私達はタクシーに戻った。

後部座席に乗り、ふと外を見ると、さっきの子どもとは別の、男の子が立っていた。

ただ、そこに立っていた。

手を出してもいない。

こちらをじっと見ていただけ。

でも、何かを訴えているのは感じた。

『Money』かなと思った。

彼のTシャツから左腕はなかった。
右腕はそのまま下に下ろしたまま。


一瞬、バッグを開けようとした。
その時タクシーは動き出した。

悩んだけど、いっか。と思った。

タクシーがその場でゆっくりUターンしてる間も、その男の子が気になって、目で追っていた。

そしたら、さっきなかったはずの左手で、鼻をほじっていた。


。。。


彼は左腕をTシャツの中に隠していたみたい。

瞬間的に、お金あげなくてよかった、と思った。
そして、小さい怒りが起こった。

友達に『見た?腕隠してたし!!』

て言った。

けど、その怒りはすぐに治まり、複雑な気持ちになった。

"腕がないふり"って、そうゆう障害を持っている人から見たらスゴく、悔しいし、切ないことだと思う。

バカにしてるのかとさえ思うかも。

でも、彼は彼なりの生きる為の手段なのかもしれない。

今までそれでお金を少しでも多くもらえたのかもしれない。


そう考えると彼がしてたことは、悪いこととは言い切れないし、
生きていくための知恵なのか…?

考えれば考えるほど、何とも言えない気持ちになる。

あそこでお金はあげなくてよかったのか、でも、あげたところで生活が一変するわけでもない。


夕日が落ちるタクシーの中、彼のまっすぐな目と、左手を動かす姿が忘れられなかった。


この怒りでもない、同情でもない、発展途上の国の、現実を見てしまったとゆう感情。
どーゆう言葉で表したらいいか、言葉を知らない私は分からなくて、ただモヤモヤしている。