Dr.林のこころと脳と病と健康 | 林公一 | 毎日新聞「医療プレミア」
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20170502/med/00m/010/003000c
私の祖母もそうだった。
同居している叔母を疑い、母を疑い。。。
叔母は、結婚当初から祖母とも同居し、
従弟が出来てからは仕事も辞め、
家の事や祖母の世話なんかもとても頑張ってくれていた。
祖母も、年がいった叔父に嫁に来てくれたこと、
同居して家庭を支えてくれていることを本当に喜んでいた。
なのに、ある頃から
「ものが無くなった。」
「○○(叔母)が盗んだ」
と言うようになった。
警察を呼んでしまったことも何度もある
祖母が物を片した場所を忘れるのは、昔からだった。
大掃除の手伝いをしているときに、
お金の入った封筒が出てくるなんてことも何度かあった。
家の鍵がなくなったり、メガネがなくなったり、財布がなくなったり、TVのリモコンがなくなったり(笑)
そのため、祖母とも話し合って、
通帳や大事なものは、近所に住んでいた母が預かることになった。
銀行などに行くときは、足の悪い祖母は一人で行けないため、母が連れて行っていたから・・・
そうすると今度は、母が祖母を騙して通帳を取り上げたということになってしまい、
すごい剣幕で母のもとに電話をかけてきたらしい。
その後、1年ほど、
母は祖母と会うことができず、祖母宅へも出入り禁止になってしまった。
認知の症状が出ているとき、祖母は別人のようだった。
穏やかだった祖母が、イライラして杖で床やベッドのふちを叩いたり、
ぶつぶつと怖いことをずっと呟いていたり etc・・・
でも、数年前から介護施設に入所した祖母は、
穏やかさは取り戻したものの、
ずっと車いすで、歩くことも立つことすらもしなくなってしまった。
話をすることも、声を出すことも減ってしまった。
記憶がどんどん薄れていき、
初めの頃は頻繁に言っていた「連れて帰って」と言うこともなくなった。
施設を自分の家だと思っているようだ。
私の名前が出てこない。
まだ、私自身を忘れているわけではないのが、せめてもの救いだ。
以前は、外出もできていたので、月に1度程度はショッピングに行ったり、
温泉に行ったりしていたが、それもできなくなってしまった。
でも、私の結婚式に、
民間の介護サービスの方の協力を得て、出席してくれてことは覚えているようだ。
あのとき、多少無理してでも来てもらって良かった。
私自身の事情も変わって、
前ほど実家にも祖母の所にも行けなくなってしまった
今度はいつ、
おばあちゃんに会いに行けるかな?