■あらすじ
2022年、フィリピン マニラ。現地で逮捕された犯罪者たちを乗せた貨物船“フロンティア・タイタン号”が釜山港に向けて出航した。長年、凶悪犯罪を担当してきたベテラン刑事の約20人が護送官として乗船。釜山では、海上交通管制センターで海洋監視システムを設置。万全な体制により、韓比共同護送計画(プロジェクト名:オオカミ狩り)が進められた。監獄化した貨物船には、13名に対する殺人および殺人教唆、強姦罪に問われ第一級殺人犯として国際手配されたジョンドゥ(ソ・イングク)、特殊暴行17件で赤手配者のドイル(チャン・ドンユン)など極悪非道な犯罪者たちが収容されていた。その夜、密かに脱走を企てていたジョンドゥと刑事として紛れ込んでいたジョンドゥの一味により暴動が勃発。船上は武器を手にした犯罪者たちで溢れかえる。仲間以外は誰であろうと容赦なく殺める犯罪者たちと彼らに立ち向かう警察。そこに、眠っていた“怪人”が目を覚まし、熾烈な戦いが幕を開ける。地獄の航海から生き残るのは誰か……。(公式サイトより)
■ネタバレ
*2016年にフィリピンと捜査共助が締結された韓国。1年後に初の犯罪者引渡しが行われた。犯行後フィリピンへ逃亡した容疑者47名が、チャーター機で送還されたのだ。しかし犯人の1人に恨みを抱く男が自爆事件を起こし、7人が死亡し30人が負傷する大惨事になった。
*2022年9月12日、今度は貨物船での護送が行われる。一般市民は接近出来ない貨物ターミナルを利用し、5万トン級のフロンティア・タイタン号に乗船。ベテラン刑事約20人が護送官となる。乗船前から挑発的な態度のパク・ジョンドゥを殴り倒すイ・ソグ班長。医師と看護師も帯同する。
*航行を管理する釜山海上交通管制センターは、海洋特殊救助団の一群に占拠され、保安業務と管制業務は彼等の担当となる。
*韓比共同の護送計画は『狼狩り』と名付けられていた。犯罪者達は1区間に数人ずつに分かれて、手錠で繋がれる。食事は1日2回(護衛官達が犯罪者達の食事作りも担当)・トイレは1回・安全のため歯ブラシは支給なし、といったルールが犯罪者達に告げられ、17時に出航。3日間の旅が始まる。
*医師は極秘で渡された艦内図を辿り、船底へ。そこにはチューブ類に繋がれた1人の受刑者が居る。皮膚は焼け爛れており、口を開くと中には蛆虫が見える。医師は戸惑うが、その受刑者の監視をしている男は「睡眠薬の投与だけしてくれれば良い」と言う。
*ジョンドゥは隠し持っていた針金で、手錠の鍵を外す。外れていない振りをしておいて、同じ区間に繋がれていた犯罪者にも針金を投げてやる。
*一方、作業員として潜り込んでいた男達が行動を開始。銃を携えているところに遭遇した乗組員達を、その場で殺害。ブリッジへ移動し、船長を始め船員達を次々に射殺。通信機器も壊し、僅かな船員に操船させる。
*通信が途絶したことに気付いたイ・ダヨンは班長を探しに行くことにする。海洋特殊救助団も異変を察知する。
*手錠を外したことを気付かれたジョンドゥは、護送官を殺害。艦内の他の場所でも、護送官達が次々に殺害されていく。逆に次々に解放されていく犯罪者達。潜入者はジョンドゥの身内や仲間だ。拘束されていた犯罪者の中には、イ・ドイルも居た。ジョンドゥは「ナイフ使い、寡黙な色男。10年振りか?全然老けてないな」と声を掛ける。「何をするつもりだ?」「逃げるんだよ、人間らしく生きるためにな」
*一方、通信用ケーブルを斧で切断している男を発見した護衛官達は、男を追ってブリッジへ。侵入者との銃撃戦になり、再びブリッジが血塗れになる。護衛官にも犠牲が出たが、その場の敵は一掃。瀕死の船員から、機関室には衛星電話があると聞く。
*医師が医務室に帰り着いた頃、離れた場所から銃声が聞こえる。怯えて警戒する医師。看護師は食堂で入手したビールを呷り「つまらない人ね」と呆れている。
*船底には、上階で流れた血がダクトを伝って滴り落ちてくる。その血が繋がれた男を覚醒させてしまう。
*ジョンドゥは犯罪者達を引き連れて機関室へ。機関士達を殺しつつ、衛星電話を壊す。「自分が死ねば船が止まる」と主張する機関士長も斬り付けようとするジョンドゥ、制止するドイル。
*一触即発の中、護衛官達も機関室に到着。撃ち合い・刺し合いで騒然となる機関室。そこへ船底に繋がれていた受刑者が出現。まぶたを縫い閉じられた異様な姿で、歩けば鋼鉄のように重々しい音が響く。男は敵味方関係なく、居合わせた者達を次々に血祭りに。男に殴られたら拳の一撃だけで、血塗れで沈むことになる。ジョンドゥは退避しつつ、仲間諸共男を倒そうと銃を乱射。しかし男は倒れず、ジョンドゥに向かってくる。男は手にしたハンマーで、ジョンドゥの手足を殴打。最後には頭部を、原型を留めずに叩き潰す。
*機関士長の話は嘘ではなかったようで、やがて船は止まり艦内の照明も暗くなる。身を隠していた護衛官と犯罪者の一部は生き延びている。老いた犯罪者は「地獄に違いない…ここは地獄だ」と呻く。男は攻撃の手を緩めず、班長の頸に手を掛ける。ドイルが立ち向かうが、男の胸の焼き印を目にして動きを止める。
*老人が見付けた出入口から逃げ出す面々。残っているのは班長・ダヨン・老人・ドイルだ。老人は「男が着ているのは随分古い囚人服だ。俺は30年獄中に居たから分かる」と話す。
*海洋特殊救助団が漸く犯罪者達の悪事を察知した頃、海洋特殊救助団のチーム長オ・デウンにピョ理事から着信がある。連絡すると、チーム長自ら船に乗り込み[アルファ]を連れて来るよう指示される。アルファとは、あの古い囚人服の男だ。「そもそもアルファだけを運ぶ筈が、犯罪者達を乗せたために面倒なことになっている」と主張するチーム長。しかしピョ理事は、言いたいことだけ告げると電話を切ってしまう。チーム長は立腹するが、逆らうことは出来ない。ピョ理事にはアルファと同じ焼き印があり、チーム長の左目は人工的な光を放つ。
*医務室では窓越しに看護師が喉を掻き切られ、逃げ出した医師がドイル達と合流。アルファについて医師を問い詰めると「製薬会社イオン・ジェネティクス社から、6時間置きに睡眠剤を投与するよう依頼された」と言う。しかし正体は知らないようだ。医師が置いてきた薬品を求めて、医師と怪我をしている老人は船底へ。ダヨンにも付き添うよう指示し、班長は仲間の生き残りを単身探しに行く。
*船底には監視員達の惨殺死体や、日本語で書かれた古い資料が残されている。読める資料を探すと「キム・ハンギュ(1911年生まれ)1943年、朝鮮総督府に徴兵され日本のフィリピン戦に参加。腕を切断する重傷を負う。その後、ミンダナオ島西部の日本軍捕虜収容所へ。人間兵器[ケモノ・プロジェクト]の実験体で、最も完成形に近いAAレベルに判定される。実験体アルファの無差別的で並外れた暴力性の原因は、脳の外科手術の副作用。そして極度の苦痛による心的外傷後ストレス障害と思われる。アルファはヒトの体温と加虐的行動にのみ反応する。狼の遺伝形質を持ち、音や血の臭いに敏感。ヒトと比較して約5倍の力を持っている。実験体アルファの細胞のタンパク質に老化現象が起こらないことから、アルファは人類を不老長寿という、進化の新しい段階に導くと考えられる」とある。「癌細胞と同じだ」と呟く医師。
*ジョンドゥの仲間で、自分の夫と義父母を殺害した女囚チェ・ミョンジュにもアルファが接近する。見張りをしていた男達・同じエリアに繋がれていた手下・捕らえていた女刑事が次々と犠牲に。ミョンジュは仲間の1人のゴンベとその場から逃げ出す。
*ミョンジュとゴンベはエレベーターに乗り込み階層を移動するが、籠上部にアルファが着地。天井を蹴り破り、開けた穴からゴンベの肩を掴んで吊り上げる。班長が駆け付けてミョンジュをエレベーターから引っ張り出す。ゴンベは放り出されて床に落下、アルファも籠の中へ。ミョンジュだけでも逃がそうと、アルファの足に縋り付くゴンベ。そんなゴンベを振り払い、繰り返し足蹴にするアルファ。その衝撃でエレベーターのケーブルが切断され、籠が最下部まで落下する。班長が覗き込むと、アルファはまだ立っている。ミョンジュを連れ、慌ててその場を離れる。
*エレベーターが落下した衝撃はドイル達の居る場所にも届き、様子を見に行くとゴンベの死体だけが残されている。班長はミョンジュを連れて厨房へ。厚い扉の付いた冷蔵室へミョンジュを隠そうとすると、そこには死体の山が。ジョンドゥの仲間達が船を制圧するまでの間に殺した死体を、一時的に隠すために放り込まれていたのだ。
*班長は単身アルファを迎え撃つ。銃も効かず腕力もアルファが圧倒的だが、班長はアルファの右腕に食らい付いて噛み千切る。「片腕くらいは奪わないと、先に逝った部下達に顔向けできない」と血塗れで笑う班長。班長を蹴り殺した後、ミョンジュの気配に気付いたアルファは冷蔵室へ。死体の振りをするミョンジュ。冷蔵室内では体温を判別出来ず、アルファはミョンジュを攻撃するに到らない。
*そこへチーム長率いるヘリ部隊が到着。アルファはミョンジュを残してヘリの方へと移動する。艦内を捜索するヘリ部隊。隊員は何らかの薬剤を注射しており、左目がチーム長同様に人工的な光を放っている。冷蔵室を出て逃げ出したミョンジュが、ヘリ部隊の一群と遭遇。「バケモノのような奴が、犯罪者も刑事も無関係に殺した。あいつはイカれてる」とチーム長に訴えるミョンジュ。チーム長は構わずミョンジュの額を撃ち抜く。
*船底にもヘリの音が届く。「通信が途絶したため、韓国側には連絡出来ていない筈」と訝かるダヨン。分かれて行動中の班長が連絡手段を見付けたのだろうか。彼女等は部隊の気配がする方へ向かう。やがて武装した男達に遭遇。足元に転がるミョンジュの死体。アルファの餌食になったのとは様子が違って見える。部隊へ銃口を向け「警察だ」と威嚇するダヨン。チーム長はダヨンを射殺。そして「警察官なのが自慢なのか?ちゃんと仕事しろ」と罵声を浴びせる。面倒な任務になって、チーム長は苛立っている。
*更にドイル達にも銃口を向けるチーム長。ドイルは素早い動きで兵士達を捻じ伏せる。その隙に隠れる医師と老人。ドイルはチーム長の頸にも手を掛けるが、チーム長は余裕の表情だ。「何者だ?」とドイルのシャツを破くと、そこにはアルファやピョ理事と同じ焼き印がある。「アルファを船に乗せて韓国へ渡ることで俺達を捜そうとした…そのためにピョ理事は俺をここに送り込んだのか」とチーム長。2人は過去に会っており、ドイルは「説明しろ、何故あんなことを?」とチーム長に問い掛ける。「ゴミ同然の奴らを拾って、リサイクルしただけだ」と言うチーム長。
*過去の出来事。倉庫内は死体の山。そこへチーム長が、死体や生き残りを回収しにやって来る。彼等は焼き印を押され、実験材料にされた。ドイルは実験の失敗作として他の死体と共に豚の餌になるところだったが、実は生きており、組織の人間を殺して逃げる。やがて妻子を持つが、組織に見付かり妻子は殺されてしまう。妻子を殺したのがチーム長だ。
*アルファが出現。チーム長はひとまずドイルを放置し、アルファへ照準を合わせる。「首だけ持ち帰るぞ」と部下に射殺を命じる。アルファは手近な鉄扉を剥ぎ取り盾にして突進、兵士達を薙ぎ倒す。ドイルも周囲の兵士達を無力化していく。チーム長以外の兵士が倒されると、アルファとチーム長が対峙。チーム長がアルファを圧倒。「殺すのは惜しいが」と言いながら、アルファの足首を切り裂く。大量に出血するアルファ。
*一方医師と老人は、ダヨンの銃を拾い上げて船の甲板へ。そこにはヘリが停まっている。操縦士を銃で脅して離陸させようとするも、燃料がないと言う。嘘を吐く操縦士に「いいから離陸させろ」と怒鳴るが、医師と操縦士は撃ち合いに。老人も流れ弾が当たり、3人共絶命してしまう。
*チーム長と相対するドイル。足元にはアルファが転がっている。「こいつは死ぬが、お前を連れ帰ればメンツが立つ」とチーム長が言う。彼は「獣のくせに、ヒトの真似をしたら駄目だ」と笑いながらアルファの首を切り裂く。互いにナイフを手にして、ドイルとチーム長は激しい乱闘になる。闘いはやがて艦内から雨の甲板へ。「暴れる姿を見て思い出した、「パパ」と叫ぶお前のガキの顔をな」と笑うチーム長。怒りを爆発させたドイルがチーム長の腹部を刺すが、自分も同様に腹部を刺される。それでも渾身の力で蹴り飛ばすと、チーム長の身体は柵を突き破って空中へ。水面へと落下していくチーム長を追って、ドイルも飛ぶ。闇の中で、ナイフを振り下ろす音と、チーム長の呻き声が聞こえる。
*「移動が大変なので、韓国よりここで作業する方が良さそうです。彼等は攻撃的で管理が大変、費用も掛かります」と視察者へ語るピョ理事。そこへ通路に並ぶドアの1つから、窓の鉄格子を突き破って腕が伸びる。腕が肩を掴むが、軽く捻じ上げてしまうピョ理事。檻の1つには少年が居る。チーム長がドイルの赤ん坊を刺し殺そうとしたとき、左目が青く輝くのを見て殺すのを止めていた。檻の中の少年は、ドイルの子なのだ。
*海に落下したドイルは生きており、ある海岸に流れ着く。呆然と歩き始めるが、彼の闘いは終わっていない。
■雑感・メモ等
*映画『オオカミ狩り』
*レンタルにて鑑賞
*韓国製血塗れサバイバルアクション
*思わぬ方向へ展開し、結構威勢良く血が流れる。登場人物概ね死ぬ。
*簡単まとめ:極悪犯罪者・警察が、船底から現れた怪人[アルファ]により壊滅状態に。そこへ(黒幕的な)ピョ理事からの指令により、海洋特殊救助団のチーム長が飛来。チーム長がアルファを倒し、次いで囚人の1人ドイルと対峙。ドイルがチーム長を倒して生き残る。(ドイルは息子が殺されたと思っているが、実はピョ理事に捕まっている。)
*設定に分からない部分があったので、ちょっと細かく書き出してみたけど結局分からなかった。ドイル・アルファ・ピョ理事には同じ焼き印があり、同じ実験の材料にされたと思われる。同等の力を持つであろうチーム長は何らかの薬剤を使用しており、目が青く光る。焼き印の3人には目が光る場面がないけど、ドイルの息子の目は光る。つまりどういうことなの。