シンクロナイズドモンスター | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
憧れのニューヨークで働いていたグロリアだったが、失業してからというもの酒浸りの日々を送っていた。ついには同棲中の彼氏ティムに家を追い出され、生まれ故郷の田舎町へと逃げ帰る。グロリアは幼馴染のオスカーが営むバーで働くことになるが、その時驚愕のニュースが世界を駆け巡る。韓国ソウルで突如巨大な怪獣が現れたというのだ。テレビに映し出された衝撃映像に皆が騒然とする中、グロリアはある異変に気付く。「この怪獣、私と全く同じ動きをする…?!」舞い上がったグロリアは、怪獣を操り世界をさらなる混乱へと陥れるが、そこに「新たなる存在」が立ちはだかる―!(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*ニューヨークで恋人ティムと同棲中のグロリアは、現在無職。彼女はアルコール依存症だがそれに向き合わず、自堕落な生活を送っている。連日飲み歩き、ティムが出勤すると仲間達を部屋に招き入れて騒いでいるのだ。ある朝、ティムは遂に怒りを爆発させて「漸く会えても君は二日酔いだ」と言う。「君の荷物をまとめておいたから、僕が戻る前に出て行ってくれ」
*現金も行く当てもなく、グロリアは故郷メインヘッドへ戻る。誰も住んでおらず家具は1つもないが、家は残っていてどうにか眠る事が出来る。翌日には幼馴染みの同級生オスカーと偶然再会し、彼が経営するバーで楽しく酒を呑むグロリア。オスカーの友人でお調子者のガースと、ちょっとハンサムなジョエルも一緒だ。オスカーは「課題でいつもグロリアに負けていた」と話す。グロリアが帰路に就く頃には朝になっている。公園を横切る時、通学途中の子供達の姿が見える。
*家に到着するとそのまま眠ってしまい、姉からの電話で目が覚める。姉は韓国での大事件について教えてくれる。ソウルに巨大怪獣が突如出現したと言うのだ。冗談かデマだろうと思ったが、幾つもの動画が残されていて多くの犠牲者が出ている。このニュースを共有したいと考えティムに電話をすると「僕も驚いたがそれは9時間前の話だろ、1日中何してたんだ?」と呆れられてしまう。
*グロリアはその日もオスカーのバーで呑み、深夜の公園を横切る。ベンチで休憩してそのまま眠ってしまい、目が覚めるとまた通学中の子供達が見える。この時間なら大丈夫だろうとティムに電話するが、出勤準備で忙しいらしく素気無く電話を切られてしまう。
*帰宅するとオスカーが大きなテレビを運んで来る。昨晩グロリア自身が頼んだらしいが記憶にはない。オスカーの話では昨日と同様朝8時5分に突如ソウルに巨大怪獣が現れて、間もなく消えたようだ。オスカーは「25年前と同じだ」と言い、インターネットで画像を見せてくれる。25年前にも同じ場所で同じ巨大怪獣が目撃されていたのだ。当時は悪戯だと思われて、残されている写真は1枚だけだ。
*テレビ以外についても昨晩の記憶が一切ないが、オスカーは「俺のバーで働く約束をした」と言う。素面の時には「休暇中」と嘘を吐いたが、酔って「無職で金がない」と白状したようだ。オスカーの店の客入りで求人が必要かは微妙だったが、グロリアは素直にその申し出に甘える事にする。
*巨大怪獣の動画を見ていたグロリアは、その仕草に心当たりがあると気付く。頭頂部を掻く癖や、電話を切られて携帯電話を投げ付けた動作。それは8時5分、公園の一画での自分の動きと同じなのだ。ソウルの地図を確認して被害の出ない立ち位置を決めると、グロリアは朝の公園にやって来る。左手を上げて静止、そして両手を挙げて静止。するとニュース番組に、その動きと全く同じ怪獣の映像が流れる。理由は分からないが、あの怪獣は自分とシンクロしている。
*夕方、ビデオ通話でティムと話をするグロリア。彼は先日の電話について「嫌味な態度だった」と詫びる。その時、オスカーとジョエルがソファを運んで来る。また自分が頼んだらしいが、今回も酔っていたせいで記憶にない。しかし買ったばかりのマットレスが駄目になっていたため、このソファで眠れる事は有難い。はしゃいだグロリアは繋がったままのビデオ通話を忘れて、そのまま出勤してしまう。
*閉店後にいつものように4人で呑んでいると、ティムから着信がある。酒を呑んでいる事が知られたら、また咎められるだろう。グロリアは電話に出ずに、オスカー達を公園に誘う。夜は明けていて子供達の通学時間、巨大怪獣の実況サイトを開いてから公園の敷地の中へ。それと同時にカメラの前に怪獣が出現する。踊ったり投げキスしたり、グロリアの動きに合わせて怪獣が動く。皆は驚き狼狽え、グロリアは皆の反応を面白がる。
*やがて身体に痛みを感じるグロリア。怪獣が攻撃される事で、僅かながらグロリアにもダメージがあるようだ。頭部に一際強い痛みがあり、ヘリコプターが怪獣に衝突したと知る。ヘリの乗務員は無事ではないだろう。戸惑い混乱するグロリアを宥めようとオスカーが接近するが、彼女は動転してバランスを崩し、転倒してしまう。
*ソファで目覚めるグロリア。オスカーが玄関マットの下の鍵を使って、家の中へ運び入れたようだ。自分が酔って馬鹿な真似をして、転倒した結果何人が死んだのか?グロリアは知りたがるが、オスカーは「騒ぎになっているが、原因は死者数のせいじゃない」と新聞を見せる。そこには巨大怪獣と並んだ巨大ロボットの画像が掲載されている。ロボットを指差しオスカーが言う。「これは多分俺なんだ」
*2人はダイナーで現状について話し合う。8時5分にだけ、公園とソウルがリンクするらしい。そしてグロリアと巨大怪獣が、オスカーと巨大ロボットがシンクロして出現する。原因は不明。幼い頃は学校へ向かっていた時間帯で、公園に用はなかった。オスカーは大人になってから朝の公園へ行く事はなかったし、グロリアは引越してしまった。自分達が子供の頃にはまだ公園はなく、工事現場だった事を覚えている。25年前に一度だけ、グロリアがその工事現場に立ち入ったと言う事なのか。彼女には思い出せない。
*警察に出頭しても信じてもらえないだろう。何か出来る事はないかと考えたグロリアは、朝を待って公園の地面に「ごめんなさい、もう二度としません」と謝罪文を書く。ハングル文字は他にも適当な文章を混ぜて、オスカーが馴染みの韓国人に頼んで教えてもらったものだ。ガースやジョエルにもそれを伝えて、4人で呑んで盛り上がる。
*幾らか気持ちが落ち着いたグロリアは、ジョエルに住所を訊いて家を訪ねる。一緒に朝を迎える2人。朝になりグロリアがベッドを抜け出すと、テレビでは巨大ロボットが暴れる映像が流れている。慌ててジョエルを起こして、2人で公園へ。ガースがタブレットで実況動画を確認して、オスカーが人々を揶揄うように足を踏み鳴らしている。グロリアが咎めると「注意して遊んでるだけだ、大勢を殺したのは君だろ?」と言うオスカー。グロリアがジョエルと一緒に現れた事で、オスカーは不機嫌になっている。「公園の外に出なさい」と指示しても取り合わないオスカーを、グロリアは平手打ちする。ソウルでは怪獣がロボットを平手打ちする。これにより、怪獣は街を守っていると捉えられたようだ。
*オスカーは閉店後だけではなく開店中も酒を呑むようになり、グロリアに対して威圧的な態度を取る。残業を強要し、ガースが手伝おうとすればそれを阻止。更にガースが店のトイレでコカインを吸引していると決め付け、怒ったガースは帰ってしまう。更にオスカーは、グロリアが数日前から止めている酒を呑むよう命令し「呑まないなら公園に歩きに行くぞ」と脅す。それでもグロリアが拒絶すると、ジョエルを助手席に乗せて公園へ向かおうとする。ジョエルはオスカーに辟易しているが何も言わない。グロリアが車の前に立ち塞がると、オスカーは「自分中心に世界が動いていると思うな。やっと俺にも主役が回って来たんだ、邪魔するな」と怒鳴る。
*オスカーとジョエルは車で公園へ。気圧されたグロリアはこれを止められず、走って公園を目指す。どうにか8時5分に間に合うグロリア。公園で対峙する2人。揉み合いになり、揃って転倒する。間もなく巨大怪獣と巨大ロボットはソウルから姿を消す。グロリアは「仕事は辞める」と言うが、オスカーは「辞めるなら明日の朝、一区画潰してやる」と言う。「阻止しに来るわ」と言うグロリアを「無駄だ、もう[良い人]は止めた」と突き倒すオスカー。力では適わない。ソウルの人々を人質に取られ、グロリアはオスカーに従うしかない。
*その後ジョエルが、1人でグロリアを訪ねて来る。「オスカーが反省して、君に全部あげるって言ってる」と、バンに積み込まれた家具を見せる。意図が分からず、ジョエルを残してオスカーの家を訪ねるグロリア。オスカーは今は酒が抜けているらしく、自分の言動を悔いているようだ。家具は叔父が残したものだと言う。「友達に戻れるかな」と言うオスカーに「それならもう閉店後には呑まずに、直ぐに帰宅して」と言うグロリア。オスカーはそれを了承する。家に戻るとジョエルがやったのだろう、家具が全て室内に配置されていてグロリアは困惑する。
*ティムから着信があり、ホテルへの呼出に応じるグロリア。彼は出張でこの町へ来たのだと言う。顧客は居らず、今までにこの町へ来た事はない。ビデオ通話を放り出して電話やメールにも反応しなかったため、ティムは見知らぬ誰かに嫉妬してこの町へ来たのだろうとグロリアは考える。ティムはそれを否定し、バーでの仕事についても極めて否定的な態度を取る。彼は丁度バイトの時間になるグロリアを、店まで送ると申し出る。
*バーではオスカーもティムの否定的な態度を感じ取り、険悪な雰囲気になる。オスカーは「この店で出来る一番馬鹿な行為は何だと思う?」と言い出す。そしてメキシコ土産の巨大な花火の筒を店の奥から持ち出して、バーの中で着火する。激しい火花が店内を行き交い、酒のボトルが倒され装飾品が燃え上がる。「俺はこの店で出来る一番馬鹿な事をしたが、彼女は残る」と言い放つオスカー。グロリアは不本意そうではあるが、積極的には否定しない。その理由が分からないまま「本当は君に会いに来た。明日の午後に帰る、一緒に行こう」と言い置いて立ち去るティム。
*公園に立ち寄り、暫く立ち尽くして帰宅すると家の中にオスカーが居た。先日は玄関マットの下の鍵を使った筈だが「親の代から預かってる」と鍵を見せる。グロリアは「鍵を置いて出て行って」と告げるがオスカーは取り合わない。憤りながらいつものように頭頂部を掻いていると、ふいに小学生の頃の事を思い出す。
*課題で作った都市のジオラマ。グロリアはソウルの街並みを抱えている。その時、急に暗雲が立ち込めて強風が吹き、ジオラマが飛ばされてしまう。高い木の枝に引っ掛かったジオラマを、オスカーが取りに行く。そこは現在公園になっている場所だ。ジオラマを手にしたオスカーは、グロリアが見ているとは気付かずにそれを踏み付けて壊してしまう。叫んで手を伸ばそうとした時、グロリアは雷に打たれる。次いでオスカーも。頭頂部から血を流すグロリア。2人がそれぞれ持っていた、怪獣とロボットのビニール人形が地面に転がる。
*「自分が嫌いなのね」とグロリアは言う。「私を自分のものにしたいとか、別の理由だと思ってた。でももっと単純な話ね」オスカーはグロリアが何を言い出したのか分からない。「自分が嫌いなのよ。自分のちっぽけな世界が大嫌いなのね。それだけの事だわ、悲しいわね」グロリアはオスカーを見据えたままティムに電話を掛けて「あなたと帰るわ」と告げる。
*もう夜が明けている。公園に向かおうとするオスカーと、阻止しようとするグロリア。椅子や本棚、大きなテレビ。オスカーから譲り受け、或いは押し付けられた物で攻撃する。オスカーは2階へ逃げて、枯葉で覆われて汚れたプールへ飛び込む。部屋の中とは違って、そこで動きを封じるのは難しい。オスカーはプールを抜け出し公園に到達、グロリアは凶行を止めようとするが、やはり腕力では相手にならない。右目周辺を殴られ倒れ込むグロリア。「ニューヨークに帰れば良い、毎日こうしてやる」と吐き捨て、公園の地面を踏み締めるオスカー。彼が去った後、残された足跡。この下で何人が死んだのか。グロリアは地面に転がったまま涙を流す。
*失意の内に帰宅して、今度は床に転がる。しかし逆さになった地図を眺めて、グロリアは立ち上がる。飛行機に乗るが隣にティムは居ない。目的地に着くとティムに電話を掛けて、一緒に帰れなかった事を詫びる。「事情を説明しろ」と不機嫌なティム。しかしグロリアには説明する事が出来ない。「私の事、滅茶苦茶だと言って部屋を追い出したでしょ?付き合いきれないって。今は更に滅茶苦茶よ」「何処に居るんだ?」
*グロリアは韓国に居た。故郷では朝、ソウルは夜。オスカーは1人で朝の公園に立っている。夜のソウルで雷鳴が響く。怪獣やロボットが出現する前兆だ。やがて巨大ロボットが現れて人々が逃げ惑う。右目の痣を隠すために掛けていたサングラスを外して、ただ1人ロボットの方へと進み出るグロリア。するとメインヘッドの公園に巨大怪獣が出現する。狼狽え逃げ出そうとするオスカー。ソウルのグロリアが距離を見計らって腕を伸ばすと、公園の怪獣がオスカーの捕獲に成功する。顔の位置まで持ち上げ咆哮するとオスカーは「頼む、降ろしてくれ」と泣いて懇願するが、程なく「降ろせ、このクソ女」と罵倒に変わる。グロリアが力の限り腕を振ると、ロボットは遥か彼方へと投げ飛ばされる。
*脅威が去ってソウルの人々は歓喜に包まれる。その様子を伝えるリポーターの背後には、一瞬グロリアの姿が映る。メインヘッドのダイナーで、テレビを通して様子を見守っていたジョエルも安堵の表情を浮かべる。あるバーに入るグロリア。「ロボットがどうなったかご覧になりました?」と声を掛けてくるバーテンダーに、感情が溢れて涙が出そうになるのを堪えて「凄い話を教えてあげる」と言う。「聞かせてください」との返事に笑顔になるが、続けて「お酒を飲みますか?」と尋ねられて笑顔が固まり、溜息を吐いた。

■雑感・メモ等
*映画『シンクロナイズドモンスター』

*レンタルにて鑑賞
*ナチョ・ビガロンド監督作品

*同監督では『TIME CRIMES タイム クライムス』が大好き。
*今作は設定からしてもっと軽くてコメディ寄りなのかと思ってたけど、意外と胸糞展開。依存やハラスメントが絡んで鬱屈とした時間が長い。巨大怪獣と巨大ロボットは酒で自分を見失うグロリアとオスカーそのものであり、離れた場所で力を振るう(こともある)ネット社会の姿のようにも見える。
*登場人物は誰もが難ありで男性陣は屑だらけなんだけど、ダン・スティーヴンスは恰好良い。
*理由は不明だけど、不思議な雷雲の影響で離れた空間が歪に繋がっているらしい。グロリアは落雷のせいで一定の記憶が消えているのかな?ジオラマを踏まれた事とかオスカーの母親の葬儀の事とか。
*グロリアの元の職業はライター。記事の中で駄洒落を書いて非難された事があり、その時点でのクビは免れたがリストラの際には真っ先に切られてしまったとのこと。
*「ウェス・アンダーソンの映画の中みたい」「挿入歌が良くない」との会話があるけど、特定の作品の話ではないのかな。