午後8時の訪問者 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

若き女医ジェニー。まもなく、大きな病院に好待遇で迎えられる予定だ。今は知人の老医者の代わりに小さな診療所を診ている。今度、勤める病院から歓迎パーティーの連絡電話を受けているときに鳴ったドアベル。しかし、時間は午後8時過ぎ、診療時間はとっくに過ぎていた。応じようとする研修医をジェニーは止める。翌日、警察がやってきて、診療所の近くで身元不明の少女の遺体が見つかったと聞く。午後8時過ぎにドアホンを押している姿が監視カメラに収められた少女こそ、遺体となって発見された少女だった。ジェニーは罪悪感から少女の顔写真を携帯のカメラに残し、時間を見つけては少女の名前を聞いてまわる。彼女の名前は何? 何のためにドアホンを押したのか? なぜ死んでしまったのか?…あふれかえる疑問の中、少女のかけらを拾い集めるジェニー。ある日、患者のひとりを診察中に少女の写真を見せると、脈が急激に早まったことに気づく。そこから少女の目撃情報を得ていくジェニー。少しずつ少女に迫っていけるように思えたその時、ジェニーは襲われ「この件に近づくな」と脅される。そして、警察からは名前がわかった、という連絡が入る。すべては解決し、これから元の生活に戻るかに思われたその時、意外な真実が発覚する――。(公式サイトより)

 

■ネタバレ

*女医のジェニー・ダヴァンは、ベルギーの小さな診療所に勤務している。彼女はアブラン医師の代診を務めており、診療と並行して研修医ジュリアンの面倒をみている。ジュリアンの研修期間は終了間際だが、ある日2人は険悪な雰囲気になる。患者である少年が待合室で発作を起こした時、ジュリアンは動揺して身動き出来なかった。それ以降、彼の様子がおかしいのだ。ジェニーとまともに会話をしなくなり、話し掛けてもキーボードを叩く手を止めない。
*ジュリアンの態度の理由が分からないまま、診療終了後に直すべき点として「患者の痛みに反応し過ぎる」と指摘するジェニー。話の途中で玄関のベルが鳴るが、終了時間を1時間も過ぎている。「対応しなくて良いわ」とジェニーは指示をする。急患であればもっと鳴らすだろうが、ベルは1度きりでその後は何も動きがない。「あなたの診断と同じ、患者に振り回されては駄目よ」しかし何を言ってもジュリアンの態度は硬く、話の途中だと言うのに身支度を整えてそのまま帰ってしまう。
*その後、ジェニーは新しい職場の歓迎会に出席。彼女は近々医療センターに勤務する事が決まっている。離職した前任者に代わる候補者は23人居たが、ジェニーが後任の座を勝ち取ったのだ。既に彼女の名前が掲げられた診察室が用意されていて、同僚となる人々も温かく迎えてくれる。
*歓迎会の途中で患者から連絡が入る。痛みが続いていると言うので往診してみると、患者の少年とその兄が自作の歌で出迎えてくれる。診療所を辞めるジェニーに別れを言いたくて、両親共々芝居をしたらしい。笑顔を浮かべ、涙を零すジェニー。折角だからと診察をして、センターへ転職しても主治医を続ける事を約束する。
*翌日、ジェニーを訪ねてマムッドとベルカロと言う2人の刑事がやって来る。診療所入口に設置された監視カメラの映像を預かりたいと言う用件だ。河岸の工事現場で女性の遺体が発見されたのだと言う。刑事達に対応し、やがて診察開始直前になるがジュリアンは姿を見せない。ジェニーは留守電に、昨晩の事を詫びるメッセージを残す。
*その日は1人で診療を続けるジェニー。中には不法入国者も居る。「パスポート提示を求められるから」と病院へ行く事を拒んでいるが、ジェニーは「医者には守秘義務があるから警察にも届けない」と言い、病院へ行くように念押しする。
*刑事からの連絡で、ジェニーは診療後に警察署へ出向く。監視カメラの映像には午後8時5分にベルを押す姿が映っていて、それが死体で発見された女性だったのだと言う。自分が「出なくて良い」と制止したあのベルだ。衝撃を受け、涙を流すジェニー。遺体には身分証も携帯電話も残されておらず、身元不明だ。頭蓋骨を骨折しているが殴打の痕跡はなく、事故とも事件とも断定出来ない。単に足を滑らせたのかもしれないし、誰かに押されたのかもしれない。何故診療所のベルを鳴らしたのかも不明だった。映像を見せられるが、患者として診た記憶はない。助けを求めるように診療所の中を窺い、ベルを鳴らしドアを叩く。しかし、直ぐに諦めて立ち去ってしまう。アフリカ系移民の恐らく未成年、派手な上着にピンクのスカート。
*じっとして居られずに、ジェニーは死体の発見場所である工事現場を訪ねる。クレーンの操作員が朝6時半に死体を見付けたのだと言う。頭部にはコンクリートの欠片が付着していたようだ。作業員は具体的な発見場所を教えてくれるが、今はもう何の痕跡も残されていない。川沿いの寂しい場所。
*夜になり、ジュリアンを訪ねて被害者の画像を見せるジェニー。周囲の人にも見せたいとマムッド刑事に頼んで、携帯に保存したものだ。ジュリアンも少女を知らず、バス停や市街地でも見た記憶はないと言う。「あの時、私もドアを開けたかった。でも止めてしまったわ。自分と研修医であるあなたとの力関係を示そうとしたの」正直に気持ちを話すが、ジュリアンは医者になる事を諦めてしまったようだ。引越の準備をしていて、田舎に帰るのだと言う。それはジェニーの批判とは関係のない事だと。
*ジェニーはアブラン先生を訪ねて、身元不明の少女の画像を見てもらう。アブランは体調を崩して、現在は車椅子の生活だ。アブランも彼女を診た記憶はない。診療所を利用していたアフリカ系は40家族程度は居たため、成長前の幼い頃に受診していたなら確実ではないが。アブランから刑事に名簿を渡す許可を取り付けるジェニー。
*診療所の患者で、新しい主治医を決めたのは未だ20人程度。残りの患者はやはりアブラン先生が良いと言っている。アブランは「大学の掲示板に、診療所の後継者を募るメモを掲示して欲しい」とジェニーに頼む。開業を望む医師が居るかもしれない。ジェニーは「自分がドアを開けていれば彼女は助かった」と悔やんでいて、あの場所で患者を救うべきだと言う気持ちを強くしている。アブランに「診療所を継ぎます」と告げるジェニー。「私は嬉しいが、保険診療の患者が多いぞ」と心配するアブラン。儲かる仕事ではなく、医療センターの方が条件は良い。しかし、その診療所で長く勤務していたのはアブラン自身なのだ。
*マムッド刑事に名簿を渡せる旨の連絡を入れて、解剖の結果を尋ねる。すると、争った痕跡が見付かったと言う。両手首に皮下出血痕があったのだ。逃がさないように掴んだのか、握って倒したのか。性交渉の痕跡はなし。ジェニーは「葬儀の日時が決まったら教えて欲しい」とマムッドに頼む。氏名不詳で埋葬されてしまったら、彼女の墓とは家族にも分からなくなる。
*アブランが心配していたように、診療所には質の悪い患者もやって来る。例えば仕事をサボるために虚偽の診断書を望む者。拒否すれば高圧的な態度で、腹いせに物を奪おうともする。一方で医療センターの担当者も診療所を訪ねて来て「再度考えて欲しい」と言ってくれる。気持ちは有難く迷惑を掛けて申し訳ないが、ジェニーはもう診療所を続ける事を決めてしまっている。
*診療所で診察をして、往診もする。カフェの店主である患者は、遺体の少女の画像を客に見せると言ってくれる。次いで高校生のブライアンの家へ。彼の両親は別居中で、父親は一緒に住んでいない。母親は間もなく出勤時間になる。
*帰り道でマムッド刑事に電話をして公開捜査の成果を訊いてみるが、イタズラ電話くらいしか反応がないと言う。マムッドは葬儀の連絡を忘れていたと詫びる。「今日の午後だったが、忙しくてうっかりしてしまった」と。思わず言葉を失うジェニー。ひとまず墓地の場所を教えてもらう。
*その後、ジェニーは「体温計を忘れた」とブライアンの家へ戻る。それは嘘で、母親の居ない時間帯にブライアンと話をする事が目的だった。先刻往診した時、死んでしまった少女の画像を見せた後で脈拍が倍増したのだ。彼女を知っているのだろう。名前を聞こうと必死に説得するが、ブライアンは「知らない」の一点張りだ。それでも「話したくなったら会いに来て」と言い置いて、彼の家を後にする。
*ジェニーはその晩、寝具等を診療所に持ち込む。これからはここで寝泊まりして、極力患者に対応しようと言うのだ。翌日は少女が埋葬された墓地を訪ねる。今は訪れる人の居ない無縁墓地に埋められているが、もっと良い場所へ移動させて10年分の料金420ユーロを支払う。
*高校教師に引率されて、ブライアンが診療所に現れる。彼は話をしたくてやって来たのだと感じ取るジェニー。胃が痛いと言い、トイレで嘔吐するブライアンに「緊張感のせいよ、話せば楽になる」と促す。ブライアンは少女について「トレーラーハウスで老人にフェラしていたのを覗いた」と言う。友人も一緒に居たが、少女が車外へ出るより前に逃げ出した。彼女についても老人についても、名前等は知らないらしい。
*ジェニーはトレーラーハウスの場所を聞いて、持ち主の男を訪ねる。彼の母親が転倒した時にジェニーが診察したが、その後入院を経て彼女は死亡したのだと言う。男はジェニーに好意的な態度で、購入希望なのだと思いトレーラーハウスについてあれこれ説明してくれる。しかし「買いたい訳ではないの」と事情を話すと、態度を硬化させる。非難している訳ではなく彼女の身元を知りたいだけだと説明しても、聞き入れられずその場を追い出される。
*ジェニーは次いで男の父親ランベールを訪ねる。施設に入所しているが「奥さんの主治医だったのでご挨拶を」と面会を申し出ると、特に警戒もされずランベールと面会する事が出来る。しかし、既に息子から口止めされているようだ。「秘密は守ります」と訴え、持病の発作を起こしたランベールに薬を飲ませると、彼の態度が軟化する。息子が時々娼婦を連れて来る事・少女はフランス語を話していたが何も語らず、名前は知らない事を話す。息子が送り届ける筈だったが事故を起こして送れなかった。歩道で客待ちをするのではなく、電話が出来る店で待機している。「ネットカフェ?」「そうだと思う」そこまで話したところで、部屋に息子がやって来る。息子を宥めようとする父親に手を上げるのを制して、自分が平手打ちされるジェニー。それでも自分より遥かに上背のある男と揉み合いになるが、どうにかその場は収めて施設を後にする。
*もう深夜だが、ランベールが教えてくれた通りを目指す間にも患者から電話が入る。処方箋を欲しがる相手と1時間後に会う約束をしてネットカフェへ。ジュリアンの留守電に「村を訪ねたい」と伝言を残す。「国内への電話なら携帯電話の方が安いのに」と言う受付の女性に「いつも圏外で」と返事をして、少女の画像を見せてみる。彼女もアフリカ系で、もしかしたら見覚えがあるかもしれない。「ここから国際電話を掛けたかと思って」「街にネットカフェは多いから」断りを入れて客の男達にも画像を見せてみるが、反応は素っ気ない。
*まだ薄暗い明け方、ブライアンの父親が訪ねてくる。息子がジェニーに話をしたと知ったためだ。友達と一緒だと言ったのは嘘で、恐らく罪悪感が薄くなると思ってそんな話をしたのだろう。警察が別の少年を探す必要はない。そんな話をされなくても、ジェニーはブライアンの件を警察に伝えるつもりはなかった。安堵する父親に少女の画像を見せようとするが「新聞で見たが知らない子だ」と言う。
*ジュリアンの故郷を訪ねるジェニー。留守電に対して返事はなかったが、それは訪ねても問題ないと言う事だろうと判断した。彼は実家の林業を手伝っている。コーヒーとサンドイッチを一緒に食べながら、少女の件を伝える。そしてジュリアン自身の話も。5年も勉強して必要な研修は残り1週間程度。試験まではまだ時間も残っている。きっと医者になれると言うジェニー。ジュリアンは発作を起こした少年に自分を重ねていた。父親から殴られてばかりだった自分。そう言う人を助けたくて医者を志したが、あの少年を見て父を思い出してしまった。もう父について考えたくない。
*街外れを走っていると、ネットカフェで画像を見せた2人組の男達に強引に車を止められる。車から降りてきた男達に窓を開けるよう促されて拒絶するが、バールで車体を叩かれて已む無く従う。「写真を持ってうろつくな、目障りなんだよ」と言う。「ただ名前を知りたかったの」「[病人]を診療所に送り込もうか?」
*脅されて了承するしかないジェニー。男達が去った後も恐怖に動けずにいたが、その横をブライアンがバイクで走って行くのが見える。慌てて追い掛けると、廃墟の中に消えてしまう。大声で呼び掛けると友人と共に姿を見せるブライアン。「彼が一緒に居た友達ね?写真を見せたいの」と頼むが「僕1人だった、彼は居なかった」と突き飛ばされて、敷地に掘られた穴に落ちてしまう。「逃げよう」「良いのか」「親父を奪った女だ」と言う少年達の会話が聞こえる。穴の深さは身長よりも高く、自力で出るのは難しい。「ここから出して」と叫ぶと、流石にそのままでは不味いと思ったのかブライアンが戻って来て、近くにあった金網を足場に出来るように投げ込んでくれる。「話だけでもさせて」と言っても、ブライアンはそのまま走り去ってしまう。
*帰宅後、考え直したジュリアンが電話をくれる。再び医者を目指すのだ。大変な1日だったが笑顔になるジェニー。そこへブライアンの両親が揃って診療所にやって来る。またブライアンから話を聞いたらしく「少女の件で息子を悩ませるな」とジェニーを責める。ブライアンはまた胃が痛むらしい。「息子に二度と近付くな」「主治医は代えさせてもらうわ」と言い捨てて、2人は帰って行く。
*深夜、ジェニーはブライアンの父親から呼び出される。椎間板がズレたようで、自力での移動は困難そうなので往診する。先刻は頑なな態度だったが、こんな時間に往診してくれる医者は他に居ないのだろう。救急車を呼んだ方が良さそうだが、それは拒否される。以前に同じ状態になった時に、アブラン先生もジェニー同様モルヒネの注射を打ってくれたから大丈夫だと言う。救急車を繰り返し拒絶する態度に違和感を覚えるジェニー。息子ブライアンと同じではないのだろうか。「少女を知ってるわね?」「金を払うから財布を取ってくれ」「今度で良いわ」「駄目だ、財布を」「話すために呼んだの?話すつもりだったのに気が変わった?」「払ったら帰ってくれ」
*警察署に出向くと、マムッド刑事に聞き込みについて咎められる。ネットカフェで写真を見せた2人は麻薬捜査に必要な存在なのだそうだ。被害者については身元が判明したと言う。セレナ・エヌドング、1995年7月3日ガボンのリーブルヴィル生まれ。判事がガボンに確認中との事で、10日以内には結果が分かるだろう。死因の詳細については「我々に任せてくれ」と教えてくれない。
*診療所に戻ると、ブライアンの父が声を掛けてくる。戻って来るのを待っていたようだ。診療所に入ると、彼は前置きなく話し始める。自分を見ないようにと、ジェニーをドアの方に向かせて。「家に帰る途中、高速道路の脇に彼女が居た。娼婦だと直ぐに分かった。俺はUターンして…それを息子達が見た。友達の証言を恐れ、1人だった事にしようとした。息子は俺の車に気付いて友達を残し、信号で停まった俺に近付いた。俺は車を降り彼女を誘ったが、彼女は走って逃げた。俺は車で追い掛けた。息子が俺を呼んでたら追わなかったのに…。一度診療所の辺りで見失ったが、バス停に向かう彼女の姿が見えた。俺は車を止め近付いた。彼女を誘うと車の中では嫌だと言う。それで川沿いの道へ…。興奮した俺は、川の方へと逃げる彼女を追った。工事現場で何かに躓いたようで、川岸へ落ちた」
*「解剖所見では手首に掴んだ痕があった」とジェニーが告げると「掴んだのは逃げる前だ、俺の要求を断ったから…金の話は付いていたのに」と言う。「彼女は川岸で動かなかった」「下りてみたの?」「いや…気絶しただけだと思った」「所見ではショック死ではなく意識喪失中の失血死だと」「俺が殺したと言うのか?」ブライアンの父はジェニーの胸倉を掴んで「見損なうな」と怒声を上げる。我に返って詫びると椅子に座り込むが、まだ不安定なのか今度は「偉そうなんだよ」と罵る。「顔が頭から離れない。先生が扉を開けていれば…」「私もあの顔が離れない。…鎮静剤を飲む?」「まだ医者面をするのか?要らねえ」
*「告白したと言う、息子に聞かれたら事実だと言え」「私は秘密を守る。あなたが自首するの」ブライアンの父はそれを拒絶する。刑務所に入る事になり、全てを失ってしまう。「女房に家へ戻ると誓ったんだ。自首なんて…破滅させる気か」「彼女の声よ」「死人じゃないか」「私達の中で生きてる」暫く考え込むと、彼は診療所のトイレを借りる。胸倉を掴まれた時に弾け飛んだコートのボタンを拾うジェニー。やがて中から大きな音がする。彼がフックにベルトを掛けて、首を吊ろうとしたのだ。しかしフックが壊れて失敗に終わった。彼は「警察を呼んでくれ」と言うが、ジェニーはあくまで「自分で呼んで」と促す。
*診療所の日常が戻って来る。その日は診察の合間に、ネットカフェ受付の女性がやって来る。彼女は「警察に行く前に、お店で写真を見せてくれた先生にお礼が言いたかった」と言う。少女は彼女の妹だった。「先生が来てくれたから警察に行く決心が付いた。体を売れと男に言われるのが怖くて…その男がフェリシを偽造書類で働かせていたの。まだ未成年だったのに」フェリシ・クンバが少女の本当の名前だった。市営墓地に埋葬されている事を伝えると「後の事は自分が全てやります」と言う。「妹に売春させないでと男に頼む事も出来た。でも妹への嫉妬があった。3人で暮らす内に、男の気持ちは妹に移ったから。妹が失踪して安堵したの」ジェニーは黙って話を聞いていたが、2人は別れ際に抱き合う。そしてジェニーは、次の患者を診察室へ迎え入れる。

■雑感・メモ等
*映画『午後8時の訪問者』

*レンタルにて鑑賞

*ベルギー製ミステリー
*あらすじを読んで結末が気になってレンタル。何も情報を知らずに借りたんだけど、初めてダルデンヌ兄弟の作品を見たです。初めてなのにこんな事を言うのもなんだけど、ダルデンヌ兄弟の作品の中ではかなり見易い部類に入りそうな気がする。音楽はなく、主人公を中心に据えて寄り添うかのようなカメラワーク。
*自分はミステリーかと思って見始めたから随分地味で厳しく感じたけど、ジャンルとしては殆どドラマ寄りだよね。ドアを開けるか開けないか、移民問題そのものも問い掛けているよう。
*ジェニーはいつも人のために必死になっていて、自分ならこんな風には出来ないと感じる。彼女自身が何故医者になったのかは語られないけど、こんな人だから医者になったんだろうなと思わせる。表情の起伏に乏しくて、だからこそ意思の強さが伝わってくる。主演のアデル・エネルは笑うと可愛い。
*劇中には食べ物がよく出てくる。カフェの店主はコーヒーを振る舞ってくれて、ブライアンの家では手作りのワッフルをごちそうになる。別の家では「菓子パンを忘れたわ」と窓から箱を落としてもらって、診療所で料理も作る。ジュリアンを訪ねればジェニーは遠慮なくチーズのサンドイッチを食べるよ。