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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
イタリアでの休暇中、デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、オランダ人夫婦のパトリックとカリン、その息子のアーベルと出会い、同世代の子どもを持つ者同士で意気投合する。“お元気ですか?少し間があいてしまいましたが、我が家に遊びにきませんか?”後日、パトリック夫婦からの招待状を受け取ったビャアンは、家族を連れて人里離れた彼らの家を訪れる。オランダの田舎町。豊かな自然に囲まれたパトリックの家に到着し、再会を喜んだのも束の間、会話のなかで些細な誤解や違和感が生まれていき、それは段々と広がっていく。パトリックとカリンからの”おもてなし”に居心地の悪さと恐怖を覚えながらも、その好意をむげにできないビャアンとルイーセ。善良な一家は、週末が終わるまでの辛抱だと自分たちに言い聞かせるが ——。(公式サイトより)

■ネタバレ
*イタリア旅行中のデンマーク人夫婦ビャアンとルイーセ、その娘アウネス。彼等は旅先で、同じく旅行者でオランダ人夫婦のパトリックとカリン、息子アーベルと出会う。
*アウネスがうさぎのぬいぐるみのニヌスを何処かに置き忘れて、ビャアンが捜しに行くことに。道端で発見して妻子の元へ戻ると、パトリック達もその場に居合わせる。同年代の子供が居ることもあり、2家族はランチを共にする。その中でルイーセはベジタリアン(魚は食べるが肉は食べない)・パトリックは医師・アーベルには言語障害があると互いに伝わる。
*帰国後暫くすると、オランダ人夫婦から自宅への招待状が届く。ビャアンは乗り気だが、ルイーセは他人の家で週末を過ごすことに否定的だ。しかし、友人達との食事中に話題に上り「飛行機じゃなくて車で行ける」「断るのは少し失礼だよね」「何のリスクもないし」等と言われ、背中を押されることに。
*結局ある週末に、一家はオランダ人夫婦宅を訪れる。最初の食事で猪肉を出されて戸惑うルイーセ。彼女は断らず、我慢して肉を頬張る。ビャアンが1人で居るとアーベルがやって来て、自分の口を開いてみせる。彼には舌がないようだ。
*パトリックによれば、アーベルは先天性無舌症らしい。生まれつき舌がなかったり、小さかったりする病気だそうだ。少年は話すことが出来ないが、両親は息子の気持ちを勝手に代弁したり、乱暴な態度を見せたりする。そしてアウネスに用意された寝床は、アーベルの部屋の固い床の上だ。
*違和感や不快感が積み重なり、到着の翌日にはルイーセが「あの家族は厭な感じがする、帰りたい」と訴える状態に。ビャアンが言葉を濁していると、カリンからディナーに誘われる。郷土料理店への招待だ。「良い人達だ、あと1日半だから何とかなるよ」と言うビャアン。彼はオランダ人夫婦に好意的だ。
*日が暮れて食事に出掛けようとすると、ムハジドという男がやって来る。子供達も一緒に行くものだと思っていたのに、彼はベビーシッターだという。初対面の相手に娘を預けることを躊躇うルイーセ。とは言えアーベルも居るので、断ることも出来ず出発する。オランダ人夫婦は食事が始まるとルイーセがベジタリアンであることを揶揄し、人目を憚らずに抱き合う。そして支払いの際には、図々しい態度でビャアンに奢らせる。
*帰路の車中では酔ったパトリックが大音量で音楽を流し、シャワーの最中は人の気配がして落ち着かない。深夜にルイーセがアウネスの様子を見に行くと、アーベルの部屋ではなくオランダ人夫婦のベッドの片隅で眠っていると分かる。アウネスが「ママと一緒に寝たい」と愚図っていたのに、夫婦でセックスの最中だったため聞き流したせいかもしれない。それでも同じベッドでパトリックが裸で眠っていることは、ルイーセには許容出来ない。
*アウネスを抱きかかえ、夜明け前に「今直ぐに帰るわよ」とビャアンを起こすルイーセ。理由も説明されず、それでも静かに車に乗り込む夫と娘。暫く走ると、アウネスが「ニヌスが居ない」と言う。車内やトランクの中にもうさぎのぬいぐるみは見当たらず、ルイーセが「帰ってから新しいのを買ってあげる」と宥めても、アウネスは「私のニヌスとは違うもん」と駄々を捏ねる。
*アウネスを可哀想に思い、また黙って帰国することに罪悪感もあってか、夫はUターンしてオランダ人夫婦宅へ戻る。「ありがとう、パパ」と笑う娘。到着すると「2分で戻る」と言い、車に妻子を残して夫が家へ入る。するとシートの下から、アウネスがぬいぐるみを発見。呆れつつも娘をその場に残して、妻も家へ向かう。
*ルイーセが家に入ると、ビャアンがオランダ人夫婦から無言の帰宅について咎められている。「この2日間は楽しかったんだ、でも説明し難いけど色々あって」とビャアンが言い淀むと、パトリックが「色々って?」と追求する。助け船を請われたルイーセは、アウネスが床で寝るのを嫌がること・自分はベジタリアンなのに到着早々肉を出されたこと・レストランでも帰り路の車中でも居心地が悪かったこと等を並べ立てる。オランダ人夫婦は、肉は食べないと言えば済んだこと・豪邸ではないから広い部屋とベッドは用意出来ないことを詫びつつ言い訳する。
*ルイーセは遂に「特に許せないのは、パトリックが裸で眠るベッドにアウネスを連れて行ったことよ」と突き付けるが、カリンは「アウネスが泣いて呼んでいたのに、貴女は居なかったでしょ?」と返す。ルイーセはそれには答えることが出来ない。
*「どう釈明しても、気分を害してしまったことは変えられない。楽しんでもらえてなかったなんて」と落胆の表情を浮かべるパトリック。それでも「無理強いはしないが、残ってくれたら楽しませるよ。今日は最高の1日になる」と請け負って笑顔を見せる。ビャアンも、ルイーセも折れて当初の予定通り滞在することに。
*ボールを蹴り合う子供達。妻同士は庭仕事をしており、カリンが「ハサミが鈍ってて何も切れないわ」と笑う。
*夫達は買出しに出掛けている。昨夜、羽目を外してしまったことを詫びるパトリック。「時々、力強く荒ぶった魂の叫びを制御出来なくなる。でもその感覚が好きなんだ」と話すパトリックに、ビャアンは同意しつつ「僕の場合は、その叫びを必死で抑えて表に出さないようにしてる。ルールが多過ぎて、狭くて息苦しい[理想的な人間]って箱に閉じ込められているみたいだ」と吐露する。
*パトリックはビャアンを車外へ連れ出すと、大声で叫ばせる。そこは採石場跡のような場所で、周囲には何もなく誰も居ない。些か不安定だったビャアンは、声の限りに叫んだことで気分が晴れる。
*2家族の雰囲気はかなり改善されたと言える。しかし料理中にルイーセが怪我をして、ビャアンがパトリックに「看てやってくれ」と頼むと、彼は「医者じゃない、嘘を吐いたんだ」と言う。カリンは何でもないことのように「恰好つけただけよ」と口を挟む。戸惑いつつビャアンが職業を訊くと「仕事はしてない、雇われるのも働くのも御免だ」との返事。それならどうやって暮らしているのか?
*昼食が始まると、カリンが矢鱈とアウネスの世話を焼いたり、マナーを教えたりする。その態度が気に入らないルイーセ。「娘に指図しないで、母親は私よ」と強い口調で言うと、カリンは直ぐに詫びる。
*食事が済むと、アウネスとアーベルがダンスを披露する。一緒に練習したようだが、アーベルは上手く踊れない。それも微笑ましいのにパトリックは厳しい態度で、執拗に息子にやり直しをさせる。涙を見せるアーベル。「こんなやり方は間違ってる」と意見するビャアンとルイーセ。「教育方針が違うだけ」と取り合わないオランダ人夫婦。2家族の亀裂は決定的になる。
*家の中は不穏な空気になるが、明日には帰国だ。帰り支度をして就寝する親子。しかし何やら部屋の外が騒がしく、ビャアンは寝付けない。起き上がって、点けたままになっているテレビの電源を切る。すると、足を踏み入れたことのない離れに明かりが灯っているのを見付ける。覗いてみると、そこには多数のスーツケースやカメラが収納されている。1家族で所有するには異常な数だ。
*中の壁には、夥しい枚数の写真が貼られている。どれも2組の家族が映っているようだ。オランダ人家族と、それぞれ違う見知らぬ家族。その中の1枚を見て、ビャアンは戦慄する。オランダ人夫婦の方には息子ではなく娘らしき少女が並んでいて、見知らぬ家族の方の息子はアーベルだ。自分達は見たことがない、明るい表情で笑っている。
*どの写真でも、オランダ人夫婦と一緒に居る子供は一様に沈んだ表情を浮かべている。そして写真毎に、違う子供が映っている。何かの気配を感じてプールに接近すると、アーベルが息絶えて水面に浮いているのが見える。つまりオランダ人夫婦は、家に招いた家族から子供を奪い、取り替え続けているのだ。そして今、前任者だった少年が殺された。
*前日とは逆に、ビャアンがルイーセとアウネスを起こして「今直ぐに帰る」と告げる。闇夜を走りながら、ビャアンは他の車の気配に怯える。やがて運転操作を誤り車がスタック。車に妻子を残して、助けを求めて明かりの方へ向かうビャアン。しかしそこは民家ではなく何かの管理施設のようで、この時間帯は人の気配がない。
*空振りに終わったビャアンが車に戻ると、そこに妻子の姿はない。残されているニヌスを掴み、必死に2人の名前を呼ぶビャアン。当てもなく彷徨っていると、パトリックの車が接近。ルイーセとアウネスも乗っている。カリンに「来てくれて助かったわ、ありがとう」と謝意を伝えるルイーセ。ビャアンは絶望の表情を浮かべる。
*ビャアンも車に乗せられ、夜の道を進む。明らかにパトリックの家には向かっていない。次第にパトリックの口調は乱暴になり、ビャアンを殴り付ける。ルイーセも異変に気付いて、懸命にアウネスを守ろうとする。やがて車が停まると、パトリックが予め待ち構えていた車にパッシングして合図を送る。カリンがハサミを取り出して「その子を離して」と指示する。「何も切れない」という、あのガーデニング用のハサミ。
*待っていたのはムハジドで、彼がドアを開けてルイーセを押さえ込み、パトリックは何発もビャアンを殴る。2人が身動き出来ない内にパトリックとカリンとでアウネスの口を抉じ開けて、ハサミで少女の舌を切り取る。ムハジドはルイーセを解放し、アウネスを連れ去る。
*ビャアンとルイーセはそのまま、パトリックの車に乗せられて走る。ルイーセは泣き叫び、ビャアンは茫然としている。やがて辿り着いたのは、昼間にも来た採石場跡だ。「何故こんなことを?」と嗚咽するビャアンに、パトリックは「君が差し出した」と答える。「服を脱げ」と言われる夫婦。ビャアンは愕然としているが、ルイーセはもう観念したのか無言で無表情のまま裸になる。
*2人が全裸になると、すり鉢状の地面の底部分へ行くよう促される。「ごめんね」と言い合って、涙を流して抱き合う夫婦。それは僅かな時間で、上方から次々に、オランダ人夫婦が石を投げ込む。石が頭部に当たり倒れるルイーセ。庇おうとするが、ビャアンも程なく倒れ込む。容赦なく降り注ぐ石礫。それは2人が動かなくなるまで続く。
*翌朝、採石場跡に剥き出しで転がる2人の遺体。その場所には誰もやって来ない。アウネスはオランダ人夫婦の車の後部座席で、ニヌスを抱えて沈んだ表情を浮かべている。

■雑感・メモ等
*映画『胸騒ぎ』
*レンタルにて鑑賞
*デンマーク製スリラー
*『胸騒ぎ』、と言うか『胸糞が悪い』だろ。と誰もが思いそう。
*見返すと、母が娘に「大きな声を出さないで」と言ったり(声を出せている内は良かった)、オランダ人妻がベビーシッターについて「彼は安い上に子供の扱いが上手いの」と言ったり(どんな扱いなんだ)、細かい部分も何やら厭らしい。序盤で父が娘に読み聞かせる絵本が「アヒルはくちばしで髪を掴み、女の人をダムに引き摺り込みました。子供達は満足して帰りましたとさ。めでたしめでたし」なのも含みを感じる。
*[厭な感じ]のオンパレードだけど「このタイミングなら引き返せた」と思える場面が幾つかあるのもまた厭らしい。明確なのが「落ち着いてぬいぐるみを見付けていたら」なので(勿論理不尽で可哀想だけど)アレがなければなあ…という気持ちにもなる。あのぬいぐるみ、頻繁に見失ってたみたいだし。(ネタバレ文では端折っているけど)主人公はオランダ人夫に羨望を抱いていた風なので、それもまた救われない。
*招いた家族の両親を殺して、多少の金品は巻き上げるとして、それだけで暮らしていけるものなのかな。財産が手に入る訳ではないだろうし。他国の車は売買可能なのか。
***
*その後、リメイク版である『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』も鑑賞。登場人物の名前は次の通り。
・オリジナル:デンマーク人一家ビャアン・妻ルイーセ・娘アウネス、オランダ人一家パトリック・妻カリン・息子アーベル
・リメイク版:アメリカ人一家(イギリスへ移住)ベン・妻ルイーズ・娘アグネス、イギリス人一家パトリック・妻キアラ・息子アント
・オリジナルではベビーシッターが、リメイク版では料理店の店主が悪い夫婦の協力者。
*リメイク版は、開始1時間程度まではオリジナルと殆ど同じ展開。その後は別物へと変貌。先ずアントがアグネスにイギリス人夫婦の悪行を(写真や奪った物品を示しつつ)伝えて、それをアグネスが自分の両親に伝える。アントは後で助け出すことにして、穏便に帰宅しようとするが、秘密を知られたことを察したイギリス人夫婦が車をパンクさせたりうさぎのぬいぐるみを隠したり。最終的にはアメリカ人夫婦の車を見送りながら、アントを池に突き落とす。咄嗟に助けに戻るベン。その結果アメリカ人一家は拘束され、資産をイギリス人夫婦の口座へ送金させられる。ルイーズが隠し持っていたカッターナイフで反撃して、アメリカ人夫婦 vs. イギリス人夫婦の攻防へ突入。専ら妻の頑張りにより、イギリス人妻を撃退。イギリス人夫もアグネスが(元々自分に使われる筈だった注射器を隠し持っていて)身体の自由を奪う。アメリカ人一家はそのまま逃げようとするが、アントがイギリス人夫に馬乗りになり、石で頭を叩き潰す。イギリス人一家とアントは、忌まわしい家を脱出。(アントのアップがラストカット。)
*オリジナルでは「どうやって生計を立てているのか」と思ったけど、リメイク版ではその辺を少し描写している。でもあれでは流石に足が付かないかな。そして描写がない方が、得体の知れなさが際立って良かったかも。
*リメイク版からは「子供達を救いたい」という真っ当な心意気を感じるけど、オリジナルの方が如何せんパンチ力があるよね。