業者さんの「あれっ?」という声に振り向くと、蜜柑号のドアの前に立ち尽くす業者さんの姿が。
「どうしたんですか?」
「ドアが開かない・・・」
「キーは?」
「2本とも車の中です」
あー、やっちゃったんだ。蜜柑号のキーを僕から受け取った業者さんは一旦車に乗って、キーを2本とも車内に置いたまま、また外に出てドアを閉めてしまったらしい。
蜜柑号はセキュリティシステムの関係で、外から開錠して一定時間が経過すると自動的にドアロックがかかるようになっている。窓越しにキーは見えているのに、ドアノブを何度開閉しても蜜柑号のドアはびくともしない。
業者さんは困り果てて、どこかの鍵屋さんに電話してたけど断られたみたいで、結局JAFを呼ぶことにしたもよう。最初はまだ夕方で明るかったけど、日も暮れてだんだん寒くなってきた。
JAFの到着まで40分かかることがわかり、薄着で出てきた僕は長期戦を覚悟し上着を取りに自宅へ歩いて戻る。現場に戻る途中で、業者さんのためにホットの缶コーヒーを買いました。
再度現場に着くと、業者さんの同僚も車で駆けつけていた。缶コーヒー、1本しか買ってなかった・・結局1本だけ渡すわけにもいかず、ポケットの中でカイロ代わり。
ようやくJAFの隊員さんが到着してピッキングの道具を使って作業を始めたけど、かなり苦戦している様子。30分後、ギブアップした隊員さんは本部に応援を要請。
応援が来たのはさらに40分後。もう大丈夫と思いきや、JAFのエース(?)でも容易には開けられない様子。とうとう、エースさんから「窓の隙間に針金入れてもいいですか?」と尋ねられた。
それって車に傷がつきませんかと聞くと、たぶん入りますねぇと明快なお答え。もちろん、丁重にお断りしました。
昔を思い出します。大学生の頃、よく自分でキー閉じ込みをやらかして、さしがねとか、針金ハンガーを伸ばしてフック状にしたものとかで、窓の隙間に差し入れてガシガシやっていました。
慣れると、結構簡単に開くもんです。でも、さすがにBMWは針金では開かんやろ。
なんだかんだで、ようやく鍵が開いたのが3時間後。一時はどうなることかと思った。もちろん、JAFの作業料金は業者さんが支払い。
唯一の収穫は、BMW車の鍵のセキュリティが専門業者でも手を焼くほど強固だということが図らずも判明したこと・・かな。
こうして蜜柑号は、九州福岡から遠く本州の地へ旅立っていったのでした。
この時点では、僕は新たな車に乗り換えることになるのか、再び蜜柑号が戻ってきて乗り続けることになるのか、確率は50:50だと思っていました。
続きは次回に。