~第一話 溝の奥~
午後三時 松永町の歩道橋の上 ここちよい風
清涼飲料水を飲みながら車の流れを見ていた
「さて そろそろ帰って準備するか」
村上信也 30歳 会社員は今日の仕事はうまくいったらしく
ささいな言葉も口に出してしまう気分だった
いったん家に帰り同僚との飲み会の待ち合わせに出かける2時間前である
「きょうの居酒屋は末次が予約してるんだったよな あいつなら期待できる」
時勢はまん延していたウィルスが落ち着き世の中が活気ををとりもどしたころの物語
道中、道端を見ると 溝の横で小さな女の子があそんでいる
なんしとんじゃろか
?
少女は溝を棒でつついて遊んでいるようだ
「そんなとこで遊んでるとあぶないぞ」
と言いたいところだが熱心につついているので放っておいた
道の反対側にはお母さんと思われる人が井戸端会議を開いている
そのまま50mほど進むと今度は男の子が3人で遊んでいる
小学生3,4年くらいだろうか
またしても溝をつついてるではないか
さすがに気になったので
「なんがおるん?」
と声をかけながら覗き込んだ
アメリカザリガニだ
毎日通る道だが こんなのおったんじゃな
すこし笑みをうかべながら振り返り家路をたどった
シャワーをあび また同じスーツを身にまとい出発である
さきほどと同じ道を通り 松永駅南口から北口へ向かう
「村上さん!」
「おお末次 今日はなんの店じゃ」
「あたらしくできた鳥の店ですよ
香川では有名みたいで わたしも初めてで」
「まぁ おまえにまかせときゃ大丈夫じゃけぇのぉ」
等と話しながら店についた
気になったのは末次がやたらでかいBAGをもっていたことだが
サプライズでも用意してるのかとそっとしておいた
実はわたしもカバンの中に獣神ライガーのマスクを忍ばせていた
席に着き4人でささやかな宴会である
鳥料理はさすが末次のサーチ 絶品である
腹も満たされ口数も少なくなったころ
ムードメーカーである末次がトイレに向かった
店内のテレビは時間柄ニュース番組でいまいちもりあがらず眺めていた
《今日、3時ごろ松永駅南口の側溝で木下めろんさん(3歳)が溝にはまり亡くなりました》
ん?
え!?
もしかしてあの子ではないのか!
だとしたら責任を感じざるえない
一瞬でもあぶないぞと注意しかけたのだから
店内は近隣の事件なのでざわつきはじめている
あの子じゃないよな と願いながらニュースにくらいつく
《関連したニュースですがすぐ近くの同じ側溝付近で田中こうんくん(9歳)が行方不明になっており
付近にいた友人や住人からは スーツ姿の男性に声をかけられていたと証言があがっています》
私は箸を落とした
トイレから戻ってきた末次は ふなっしーの着ぐるみを着て戻ってきたが
笑えるわけがない
まてまて わしじゃないぞ
とにかく警察に行って説明せねば!
わたしはここまでの会計をすませ飛び出した























