2023年1月18日(水)
クラーク博士といえば、札幌農学校、今の北海道大学でかつて教師をしていたアメリカ人だが、当時のその学校の教師は全員が外国から招へいされた外国人だったので、授業もすべて英語で行われたようだ。
クラーク博士の生徒の一人に新渡戸稲造という人物がいて、のちに『武士道』という本を書いた。
彼はそれを英語で書いたため、最初に海外でベストセラーになり、13番目の言語として日本語に翻訳された。
彼はその著書の中で日本人に対する多くの誤解を解消した。
例えば、なぜ日本人は人から贈り物をもらうときのお礼として、「すみません」という謝罪ともとれる言葉を使うのか。
なぜ、日本人は人にものを送るときに、それに価値はないとでもいうように「つまらないものですが」というのか。
それは、自分に贈り物を渡すことのために相手に骨を折らせてしまったことへの気遣いであり、また、自分が渡そうとしているものは、それがどんなに価値があっても、相手の高潔な人格には及ぶことがないという気持ちを伝えるため、ということだ。
彼は武士の家系の出であり、大刀小刀を差していた時代もあった。
外国人は「ハラキリ」などと言って現実から逃げるような意味合いを持ってみることもあった「切腹」については、武士にとって命以上に名誉・尊厳を守ることが大切であり、自らの命を以てそれを贖うことだと説明した。
盛岡市出身、米国でアメリカ人と結婚。今の国連が設立される以前にあった国際連盟の事務次長も務め、旧五千円の肖像でも知られる彼は、今から約160年前の1862年に生まれ、1933年まで生きた。
この人こそ人物である、と思える人々の中の一人である。