前職の企業がベンチャー・キャピタルに買収された、と聞いた。買収されるのではないかという、その要素はいろいろなところに見られたが、まさか実際にそうなるとは思ってもいなかったため、正直かなり驚いている。

海外をメインとした宿泊予約の出来る会社だが、自社の在庫は持たず、全てベンダーから仕入れ、ベンダーの代販を請け負っている形になっている。システムは全て自社製、要員も自社に多数抱えている。ベンダーは「ビジネスパートナー」と位置づけられ、他の同業よりもベンダーを大切にする社風がある。

一時期Googleで旅行の取り扱いが盛り上がった時に、かなり期待した。というのは、システム連携による業務提携を持ちかけられないかと思っていたためだ。Googleはその時はKayak ( >> http://www.jp.kayak.com/ )の買収かシステム連携に躍起になっていた。3年くらい前の話だったと思う。

Google Mapで、都市名+「ホテル」、で検索すると、左の画像のようにホテルの一覧が出てくる。本日基準で宿泊代金まで出てくるのだが、残念ながらこの会社は、ここに表示されているようなベンダーから仕入れている「二次販売」であるために、連携する意味は無い。直接ベンダーから仕入れてしまえばもっと安くであがるからだ。

日本のホテルはほとんど楽天トラベルに総なめされているし、もともと日本のホテルが得意な会社でもない。

残念ながら、私の希望は消え去っていた。

私はどうしても、海外での販売(セールス活動)をやってみたかったのだが、その施策は固まらず、どうするのだろうかと会社が右往左往している中、1年ほど前に海外販売を一時停止するという会社発表があった。私はさらに意気消沈し、結局は退職の道を選んだ。今年の5月の事だった。

そして半年。この話を聞いたのが一週間前くらいであるにもかかわらず、もやもやしている。

ベンチャーキャピタルに買収された後の会社の行く末はみじめな話ばかりしか聞かない。最近だとサーベラス・キャピタル・マネジメントが大株主である西武鉄道の話が耳に新しい。ただ私は、日本の企業の話を聞いてくれるだけでも、彼らは優しい方だと思う。サッポロホールディングスのスティール・パートナーズ、ソニーのサードポイントも記憶に新しいと思う。

経営がうまくいかず、なかなか業績を上げることが出来ないソニーに対して、経営提案が受け入れられないとして全株式を売却している。

ベンチャーキャピタルは企業を「金儲けの道具」としてしか見ておらず、人件費、社会貢献や顧客満足を得るための投資、マーケティング・フィー含めたプロモーションのための投資など、経営に関する「無駄」な部分にメスを入れられ、次々と削られていってしまう。

私の前職の会社は、前副社長が社長になり、ベンチャーキャピタルから来た副社長が就任している。そう考えると、決定権という部分においてはまだ緩いのかもしれないが、株式の100%が買収されており、株主はベンチャーキャピタルになる。下手をすると経営陣は全てベンチャーキャピタルの人間で固められ、今まで行ってきた昔ながらの経営方法が全く通らず、全て「金儲け」のために会社が変えられてしまう可能性も十分にある。

前社長は賢く、株式を売ったら辞任してしまった。噂では10から100億単位の金を手にしたとも聞いている。今まで20年以上も身も心も削って会社に尽くしてきた社長は、どのような思いで自分の会社を手放したのだろうか・・・。それも気になる。

一緒に仕事をした人たちは、元気で今でも仕事が出来ているのだろうか?「新しい未来をつかんだ」と現社長にたぶらかされて、今でも仕事をしているのだろうか?

もし私が、そのような境遇に置かれたら、いずれにせよ退職の道を選んでいたと思う。

ちなみにこの会社には、退職金制度は、無い。