歌の話。2 | Proof of...

Proof of...

祈る神を持たない僕は、ただ言葉の力を信じている。全ての言葉に僕の意味を。

歌の話の続き。

歌は下手でも、僕はソコソコ頭のサイズがでかかったおかげで、評定は別としても、テストの点はよかった。高校も地元の公立に無事受かったわけだ。


その高校でひとつ、衝撃的な出会いがあった。僕が初めて女の子とお付き合いを始めた頃の話だ。


仲の良い先輩が「これ好きなんだよ」とイヤホンを片方差し出して来た。
放課後の教室で二人、肩がほんのチョッピリ触れるくらいの距離で一緒にその曲を聴いた。
なんだこれ!ドラマみたいだ!青春だ!
目を閉じて曲を聴いている先輩の横顔は、艶々しい黒髪が風に揺れ、睫毛は長くて、鼻が小さくて、淡い色の唇は吸い寄せられるようで。僕は










まて。待て。違う。奴は男だった。それもどっちかってと芋っぽい。そんな青春は俺には無かった。
妄想だった。
でもそんな青春欲しかった。
正直、今でも欲しい。




現実。
「これ好きなんだよ」ぽいと投げて寄越されたのは、今は亡きMD。ラベルにはBUMP OF CHICKENの文字。鶏肉?
「とっておきの歌が入ってるから。聴いてみ」と言う。
とっておきのうたという言い回しが気に入り、帰ってから早速聴いてみる。
なんとなく、今まで聴いてきた歌とは違ったもののように思える。
曲もそうだけど、詞が。詞が綺麗だと思った。これが詩的表現か。



僕は花を摘んで
君に似合う花なんだろうか?なんて
本気で首傾げたりして



その歌のタイトルは『とっておきの唄』。
ああ、いいな。こんな風に人を好きになれたらいいな、と素直に感動した。歌で感動したのなんて初めてだ。歌って凄いんだな。もっと色んな歌を聴いてみたい。

高校一年の秋口、僕はやっと歌が好きになったのだった。
そしてついでに日本語の美しさに気付き、ノートの端に言葉を連ね始めた。


サイト設営編へ続く。