We have no past


We won't reach back


Keep with me forward all through the night


私たちに過去はない


振り返らない


夜通し先に進み続けよう


(シンディ・ローパー「オール・スルー・ザ・ナイト」より/江本訳)



奇抜な髪型にハスキーボイス。


個性を爆発させた、というような印象だ。


仮に目の前に現れたとしたら、


(何を話せばいいんだろ?)

 

と悩みそうな感じでもある。


シンディ・ローパーを聴き始めたのは兄の影響だったと思うが、僕にとってはそれが初めての洋楽だった。


シンディ・ローパーは子どもの頃、学校に馴染めず、授業を受けるかわりに、絵を描いたり、歌を歌って過ごしたらしい。


17歳の時に家を出た。


持っていたのは、歯ブラシと着替えの下着、オノ・ヨーコの書いた「グレープフルーツ」という本。


それから愛犬を連れていたという。


「グレープフルーツ」は彼女にとって芸術を通じて人を見るための窓であったらしい。


それからいろんな仕事をしながら、バンドに入り歌い始める。


しかし無理をして喉を潰してしまう。


彼女は若くして売れたわけではない。


だから、世に出てきた時には、あんなしゃがれ声をしていたのだ、と今になって思う。


ここにシンディ・ローパーが出てきたのは、(シンディ・ローパーが満天の星空に似合いそうな歌を歌っていたな)と思い出したからだ。


曲名を「オール・スルー・ザ・ナイト」という。


実はこの曲にはオリジナルがある。


原曲はフォークとロックとレゲエを混ぜたような牧歌的な感じのするものだ。


シンディ・ローパーが「振り返らない」と歌う時、そこに少々の切なさが加味される。


その切なさがこの曲を深遠な方向に導いているようにも思うのだ。


シンディ・ローパーがこの曲を歌い終えると最後にスキャットが流れる。


スキャットとは声を楽器に見立てて即興的に歌うことだ。


たとえば「シャバダバ」のように発声に意味はない。


そのスキャットの声がとってもきれいで、フェイドアウトしていくのがもったいないような感じなのだ。


そのスキャットも、シンディ・ローパー自身の声であるらしいことは最近になって知った。


最後に、この記事が奇抜な髪型と夜ふかしを推奨しているものではないことは、一応ここでお断りしておく。



今日もご訪問いただき、ありがとうございます。