杞憂と咲 -7ページ目

杞憂と咲

「えほん」 ではなく 「えもと」 とよみます。
吐き出しブログです。
言いたいこと、せめて文字に出来ますように。

つめを噛むのは自傷行為。
これも最近知った。
物理的な痛みはなくても、自傷行為になる。

変な癖だけれど、私は髪の毛を噛む癖がある。痛くないけれど、これも自傷行為になり得るのだろうか。
長いからつい毛束を口先に運んで、やってしまう。毛束をつかんではかみ付く。
美容院にいくと毛先の傷みがひどいと言われる。
巻いたりとかするんですか?アイロンは使います?
いつも言われる。
そして、はい、時々巻いたり伸ばしたりしてるんですよね。益々傷んじゃって、なんて言う。
ロングヘアだから毛先の傷みは仕方ないと付け加えて。
それにしても酷い傷みだなあとわたしも美容師さんも思っている。
ぼろぼろになっていく毛先。
この癖は10代の頃からなおらない。
絵本さんは髪触るのが癖なんですね。とよく言われる。長いから、つい触ってしまうと言う。
本当はそのまま口もとに運んで、かみ付いてしまいたい。

舌を噛む癖もある。眠りながら舌を噛み、傷みを感じて起きることもしばしば。
中途覚醒に加えてこれだ。
噛むだけではなくて、舌の表明にある味蕾(つぶつぶした突起)をつめで剥がしていく。噛みとったりもする。
舌先はほとんど味覚をかんじない。これも10代のときにはやっていて、今もなおらない。
気付いたら口もとからぽたぽた血が流れていたりする。
これにはもちろん痛みはあるけど、痛くない。
舌を噛んでいると思考が止まる。
それが、安心できるのだと思う。


小学生の頃仲の良かった友達が、中学生になったときに引きこもりがちになってしまい、しだいに登校しなくなる。
3年生のときに同じクラスになったけれど、最後まで顔を見ることはほぼなかった。
ゆびで数えられるくらいは登校していたような気がする。記憶があいまいだ。
小学生の頃からすこし不安定だったmちゃん。

覚えているのは、mちゃんが久々に登校してきたとき、クラスの少し癖のある、下ネタが好きな男の子になにか言われたようで、突然カッターを握りしめて走って教室を出て行った出来事。
あまりに衝動的で、教室にいた周りの友人たちは私を含めて呆然と立ち尽くしてしまう。
後を追いかけていった友達が、mちゃんトイレにこもってしまったどうしよう、と息を切らしながら教師の入り口で叫んだ。
わたしは追いかけることも、mちゃんに声をかけることも出来なかった。



高校生になり、駅でmちゃんを見かける。
まるで今まで普通に接してきた友達のように、久しぶり、と声をかけてきたので驚いた。
上下スウェット姿で、捲り上げた腕にはびっしりと自傷のあとが目立っていた。

リストカットは、引っ掻き傷のような細い線だと思っていたけど、その時知ったのだ。あんなに太く、ながく、抉ったような傷をはじめて知った。
縫ってあってもおかしくないくらい、深くてふとい傷跡だった。
その時、とてもこわくなってしまったのだ。
mちゃんともういちど仲良くしたいと思っていたけれど、どう接したらいいのかわからないと思った。

後悔しても仕方がないけれど、中学生にあがって、mちゃんに新しい友達ができて、わたしは少しやきもちを妬いていた。
新しい友達ができたのはわたしもおなじだけれど、その子の中の友人関係に、わたしは勝手に順位をつけてしまう。
自分はいつも最下位で、mちゃんに新しい友達ができたら、自分はもう不要なんだと。
なぜそんなに卑屈だったのかはわからない。
そういう自分を思い出しては、悔やむ。

部活やクラスが違うことで、mちゃん以外の仲の良かった友達とも段々話さなくなっていったからだろうか。
もう何年も前のことなのに、いまでも時々思い出す。

他の子はどうだろう。
過去のことを同じように思い出したり、引きずったりしているだろうか。
わたしの言動が、誰かのトラウマになったりしてないだろうか。

mちゃんにはなかの良かったころ、たくさんひどいことも言ったのだ。
だから、それがmちゃんのトラウマになって、時々思い出させては苦しめてはいないだろうか。
わたしなんかが、ひとの記憶の一部になるのも烏滸がましいか。

mちゃんの自傷のあとは、たぶん一生、消えないだろう。
今でも残る傷跡をみつめて、なにを思っているんだろう。


今年の初夏、とあるバンドのライブ会場のなか、彼女をみつけた。
メイクも濃くなく、顔立ちが変わっていなかったのでわかった。
そういえば、おなじバンドがすきだったな。わたしも彼女も、今もそのバンドがすきなんだなと。嬉しいなと。
もちろん、声はかけられなかったけれど。

mちゃんはまっ黒な服を着ていた。
彼女に駅で声をかけられたときのようにまた、わたしにはなしかけてくれないだろうかと、すこし期待していた。
こちらに気付く様子はなかったし、わたしはバイト先の同期に会ってしまい一緒にいたので、声をかけられる雰囲気ではなかったとおもうけれど、それでもすこし期待してたとおもう。


彼女はちゃんと生きていて、なにかを思いながら日々を過ごしている。
未だ、からだを傷付けているのだろうか。

わたしのくせも未だなおらない。
彼女はなおせただろうか。
おなじだろうか。


過去を悔やむことは痛みをともなう。
痛いのに、それでも何度も、つらいことを思い出して塞ぎこむのはなぜだろう。
これも、自傷行為になり得るだろうか。