叔父は詳しい説明を医師から受けていないようだった
いや、受けていてもわからなかったのかもしれない
ストーマを煩わしいと文句を言っていた

退院後の週末にバーベキューをしようと叔父が言った
肉を食べる元気があるなんてと思った
叔父は一口も食べなかった
みんなへの感謝の気持ちだったんだろう

付き合いの長い叔父の友人の勧めで免疫療法を受ける
1回30万
保険適用外

叔父はそれで癌が治ると信じていた

私たちも元気そうな叔父の様子を見て、治るんじゃないかと思っていた


個室1日7500円、2週間で約10万
高いと思ったけど、2週間の金額が今なら安く感じる
叔父は母の弟
結婚もしていないし、子供もいない
2歳で父親(私の祖父)が亡くなり、母親(私の祖母)が娘と息子を育てた
そんな私の祖母も93歳で特養に入所中

独り身の叔父のサポートができるのは私と私の妹しかいない

波瀾万丈な人生を送る叔父

私たちの知らないことはたくさんあった
面会はもちろんできない

洗濯物を持っていく毎日

どんな状態なのか、医師からの連絡もない

叔父は時々電話してきて、食事が食べられるようになったことを教えてくれた

汁が3品

食事のうちに入らんと文句を言っていた

叔父は本当のことを聞いたのだろうか?

気になったが聞けなかった

数日後には柔らかいものが食べられるようになったが、元料理人の叔父には病院食はまずいらしく、いらないものは残す

差し入れをしてもらってちょこちょこ食べていた

2週間の入院で済んだ

これから恐怖の抗がん剤の日々が待っていることを数日後に聞かされるなんて思ってもいなかった

退院の日は、叔父が行きつけのうなぎ屋さんで鰻丼を食べた

大食の叔父がご飯を残していたのが少し気になった