リアル模型の世界で帆船模型はめちゃくちゃ難しいと聞いた事がありますが、
SLの世界で物作りをしない私には実はよくわかりません。


が、ただわかっている事は、この方が作った帆船は素晴らしい、
そして物凄くレベルの高いクリエイターであるという事で、
SLの世界でここまで迫力ある、そして芸術度の高い作品を作る方は、
それほど多くはないのではないでしょうか。


本日は中世をイメージした帆船、海賊船を手がけるKyomKyom Yaseotokoさんに
お話をお伺いしました。
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emo8889 Xeno: SLを始めたきっかけを教えてください。


KyomKyom Yaseotoko: 4gamer というゲーム情報サイトに、
記事が載っていたのを偶然見かけたのがキッカケですね。
それまでは漠然と噂を聞いたのみで、SecondLifeというタイトルすら知りませんでした。
それで記事を見たと同時に公式サイトを探していたって感じになります(笑


「物を作っている時間を他の人と共有できるのが、

楽しくてたまりませんでした」

emo8889 Xeno: 最初は何をして遊んでたんですか?


KyomKyom Yaseotoko: 始めたのはRLの友人と2人で始めたんですが、
誰もいない土地に二人で山小屋を建てて遊んでいました。
ゲーム上で物が作れるっていうのは凄い衝撃で、
その物を作っている時間を他の人と共有できるのが、楽しくてたまりませんでしたね。


…後で知ったんですが、その土地はJPGといって本来クローズされた場所だったんです(笑
その後Makiko Lindenに怒られてます(笑


emo8889 Xeno: JPGの時からいきなり船を作ってたんですか?


KyomKyom Yaseotoko: JPG時代は3日ぐらいで、
建物や体につけるアクセサリなどをメインで作ってましたね。
そこへmakiko lindenが現れて、あんたら何をしてるのと(笑


emo8889 Xeno: 追い出されて辿り着いた先は?w


KyomKyom Yaseotoko: JPGを追い出されてからは(笑)
桃源郷という当時日本人が集まる場所で活動してました。
その頃はとりあえず物さえ作ってれば楽しかったので、ほぼ毎日スタジアムで物を作ってましたね。
今でも交友が深いのは、やはりその時に知り合った方ばかりです。


それにその頃はスタジアムで物を作る人がほぼ皆無で、
誰にも邪魔されず我が物顔で作れていたのが大きいです。


emo8889 Xeno: 当時は今ほど人が多くなかったんですよね。


KyomKyom Yaseotoko: ただ当時の桃源郷は村社会だったので噂が広まるのも早く(笑
同じ日本人で船職人のShun Kukulcanさんと意気投合して、
作った帆船をお店に置かせて貰うようになりました。


この方が海の男らしく気前の良い人で、土地代も払わずお店を置かせてもらってました。
最初はただ単に数点の船を置かせてもらってる、ゲスト的な存在だったんですが、
次第に独立した店舗になり、今ではSIM半分の土地を自由に使わせてもらってます。




emo8889 Xeno: では改めてお店の紹介をお願いします。


KyomKyom Yaseotoko: お店の名前はAhoy!と申しまして、
主にうちとKyomuKyomu LipoというRL友人の作った帆船を扱っています。
以前は個人的な趣味で、甲冑やモビルスーツアバターを作っていたりしたんですが、
Ahoyに関しては、船に限らず海賊関連の総合的なお店に出来ればいいなと妄想してます!





http://slurl.com/secondlife/Sea%20breeze/66/174/28


お店はここと、それからここのオーナーの旧土地に1個、
それからメタバのモールに1個あるぐらいです。


emo8889 Xeno: 海賊関連って聞くとなぜかウキウキしますねw


KyomKyom Yaseotoko: 具体的には、帽子や服、それに部屋に飾る小物…
この帆船の時代に合う様な物全般を取り扱えればいいな~と思ってます。
色々と見所のある方に声をかけたりしてるんですが、あまり仲間が出来ず悲しい感じですが!(笑


emo8889 Xeno: ちなみに元々船が好きなんですか?


KyomKyom Yaseotoko: よく誤解されるんですが、船に関してはド素人ですし、
元々そこまで好きっていう訳でもなかったです(笑
友人がじゃあ船を作ろうぜって言ったのが始めで、模型写真を観ながら似せようと作っていました。
それから段々と船体の持つ曲線の再現の難しさに魅せられたり、
再現できた時の迫力に感動したりしてると、いつのまにか船好きになってたんです。


emo8889 Xeno: では多種多様な船の中で何故帆船を?


KyomKyom Yaseotoko: まず自分が好きな時代というのが、中世ヨーロッパだった事が大きいです。




それに根っからのゲーム好きなので、やはり帆船の持つ魅力は誰でも、
わかってもらえるだろうという気持ちでしたね。


「船の場合は出来上がった時の達成感が違います」

emo8889 Xeno: それにしても凄い精密で、凄いプリム量ですよね。


KyomKyom Yaseotoko: 自分の中でプリム量が多いのは、そこまで気になるところじゃなかったんですね。
というのも砂場だとプリム数なんて気にせずに作れるんで、どんどんあれもこれもと細かく作ってしまう。
それで自然にプリム数が多くなってしまいがちになります。

プリムが多いのは路線として選んだわけじゃなく、
理想はやっぱり少ないプリムで仕上げる職人技が理想だと思っています(笑


emo8889 Xeno: ただ少ないプリムですと、妥協が増えてきたりしませんか?


KyomKyom Yaseotoko: そうですね。ただやっぱり許せるラインと許せないラインというのはあるので、
そこをカバーするのが腕の見せ所だと思います。
SLはどうしてもプリム数っていう呪縛みたいなものがあるんで、少ないに越した事がありません。


emo8889 Xeno: 許せるラインと許せないラインって?


KyomKyom Yaseotoko: 例えば船には3つ目滑車という、ロープを縛っておくものがあるんですが、
それをプリムで表現してる船って、俺が作る前は全てテクスチャ1枚の表現だったんですね。
でもそこはプリムじゃないと見栄えがだいぶ違う部分なので、

敢えてプリムで表現するという選択をとりました。


具体的な所と言われると難しいですけど、

こうゆう事って感性で決めちゃう部分かもしれないですね(笑


emo8889 Xeno: では船作りのポリシーとコダワリを教えてください。


KyomKyom Yaseotoko: こだわりは、あくまで一つ上のレベルを目指す所にあります。
それまでの帆船モデルがおもちゃ過ぎたって所もありますけど、
どうせなら、観た人が これはSLじゃないみたい、って思えるような物を作るのがポリシーですね。


emo8889 Xeno: それはリアリティという意味で?


KyomKyom Yaseotoko: いえ、それもありますが、今のSLのグラフィックじゃ無理そうなので、
別のゲームみたい、ぐらいが嬉しい褒め言葉になります(笑


emo8889 Xeno: kyomkyomさんは船作り凄く楽しんでらっしゃる感じがしますね。


KyomKyom Yaseotoko: 船に限ったことではなく、物を作る事そのものが楽しいですが、
船の場合は出来上がった時の達成感が違います。


船というのは直線の部分なんてどこにもなくて、ほとんど曲線だし、
それを自分なりでも表現出来た時の喜びというのは、
本当に帆船模型を作ったみたいで、そこが楽しみですね(笑


emo8889 Xeno: そう聞くと船製作は難しそうにも感じます。


KyomKyom Yaseotoko: 難しいところは、まず作る場所がないというところです(笑
それから、やはり大きな物になってしまうので大雑把になりがちです。
そしてやはり一番の問題は、最初から用意されているプリミティブでは
完全に再現は不可能だってところでしょうか。


船体の話ですが、みかけによらず本当に複雑な曲線になっているんで、
膨大なプリム数を使わない限りは単純なプリムの形で再現できないんですね
でも完全に再現出来ないからこそ やり甲斐はあります(笑


emo8889 Xeno: 具体的にはどんな製作工程で進められるですか?


KyomKyom Yaseotoko: 船は下から作っていくのが鉄則なので、まず竜骨といって船の背骨を作り、
そこからhullといって外板を作っていきます。
その後マストを立て、帆を張り、ロープを張る。実際の船作りとかわらないですね(笑


デザインはなんといっても、それまで帆船の構造すら知らなかったんで、
やっぱり模型や実際の写真を参考にしながら作ってます。
実在した帆船を作ろうともしてますよ:D


emo8889 Xeno: ちなみに今まで作った中で一番の大作はどれですか?


KyomKyom Yaseotoko: 今まで作った中で大作は…うーん。やはり今見えている この大きな船ですね。



ちなみに製作期間は1日3時間程度かけて1週間で完成しました、プリム数は850程度になります。
プリム数と大きさはもう決まっていたので、さくさくと進みました。

ただ毎度作るときは満足して作っているので、一番新しい物が自分の中での大作になります(笑

emo8889 Xeno: なるほど、では今思うSLの印象を教えてください。


KyomKyom Yaseotoko: 昔は誰も彼もが物を作るスキルを持っていて、
そのスキルを見せ合う場だった感じがします。
MODコミュニティに近い感じでしょうか。
今はある程度日本人にも整った場所が提供されて、階段がエスカレーターになったというか、
物を作るにはいい環境になった…と思います(笑


emo8889 Xeno: 今後はどのような活動を予定していますか?


KyomKyom Yaseotoko: 積極的に活動できる時間が無いというのが本音なんですが、
自分の好きな分野の物を作っていきます。


前々からゴリアンをターゲットにした服と、アイテムを作りたいと思っていたんで、
実現できればいいなと思います。それにこの海賊島は、また作り直ししたいですね(笑


emo8889 Xeno: 作り直しってどんな感じに?


KyomKyom Yaseotoko: 実はこの島はとあるゲームのデザインを元にして作ったところがあって、
作り終えてから手直ししたい部分が沢山出てきました。
それで今度は完全に自分でしたい様に作ってしまえ、という気持ちです(笑



「出会いは一期一会で、大事にして下さい:D」

emo8889 Xeno: では最後に読者の方にメッセージをお願いします。


KyomKyom Yaseotoko: SLでは色んな人と知り合えるチャンスがあります。
自分がSL内でどういった方向に進むかは、正直知り合った方に左右されると思います。
一期一会で、大事にして下さい:D


emo8889 Xeno: ありがとうございました!
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KyomKyomさんの帆船作りに対するコダワリや愛情が物凄く伝わってくる内容になりました。
お伺いするとやはり、SLにおいても船作りは非常にレベルの高い製作で
これほどの作品を製作する技術力には舌を巻く思いです。


また海に停泊している作品を見ると、SLの世界ではこのような素晴らしい物が
再現できるという事を、改めて認識する機会になり、

また、SLの芸術性について、今までで一番考えさせられた取材になりました。


みなさんもそのSLの世界で再現された、帆船を是非ごらんくださいませ、
その圧倒的な迫力と、細部の表現力にきっと驚く事でしょう!