SLでインタビュー活動をやっていると、色んなSIMを探検する時間がとれません。
最近の国内SIMの発展も素晴らしいですが、SLが先行して広がった海外のSIMには
驚くくらい素晴らしい場所があります。


そういった場所の情報収集で私がチェックしてるブログの1つが「セカンドな日常」です。
ここでエントリーされた記事は、本当に面白く、紹介されている場所に行ってみるだけでも
結構な観光気分に浸れたりします。


本日はその「セカンドな日常」の作者、Nock Foragerさんにお話をお伺いしました。



http://blog.livedoor.jp/nockme/
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emo8889 Xeno: SLを始めたきっかけを教えてください。


Nock Forager: どこのサイトだったかは忘れてしまったんですが
「CopyBot」の記事を読んだのがきっかけです。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20318207,00.htm


ゲーム?の中なのに、そういった著作権などを守るシステムが存在していて、
かつそれを破るものが出てきた時に、ユーザー達が集会まで開いて抗議をしたり運動をしたりしてる。
え、それってどういうことなの?という興味を持ちました。


emo8889 Xeno: 確かに今までのゲーム感覚では考えにくい。


Nock Forager: 基本的に色々調べるのは得意なので、
Second Lifeに関係するあちこちのサイトを調べているうちに、
どうも色々面白い場所なんかもあるし、色々出来たりするみたいだというところに惹かれて、
実際にやってみようとなったわけです。


「最初はカジノとアダルトばっかりだなぁという印象」

emo8889 Xeno: 始めてみてどうでしたか?


Nock Forager: 典型的ですけどカジノとアダルトばっかりだなぁという印象でした(笑。
ただ、事前に色々調べていたので、いわゆる有名な観光ポイントや 、
FreeDoveや NCIなどといった場所は知っていたので、途方にくれるということはありませんでした。


emo8889 Xeno: それからも観光がメイン?


Nock Forager: 2006/11~12 初ログイン - ひたすら観光。
2007/01~ ブログを始める。だらだらすごす。。。


http://blog.livedoor.jp/nockme/


活動と言う活動をしてるわけではないです。
ブログの流れを見てみてもらっても分かりますが
毎日の生活が続いてるだけという気がします。
個人的には見返してみると服の趣味の遍歴が自分でもオモシロカッタリ。


emo8889 Xeno: エントリーの数凄いですもんね。


Nock Forager: 実は昨日、自分のブログを改めて見直したりして
ああ、こんなこともあったなぁって自分でも思うことがいくつかあって、
書き始めてたった8ヶ月なんですけど、けっこう忘れてるんですね。


あえて古いことを思い出すとすると…、最初は土地を買ったことでしょうか。
多分、他の人も土地を始めて買ったとき、所有したときは良く憶えてるんじゃないかと思います。
「ああ、ここは自分でいろいろ好きなようにいじったりできるんだ!」って感じで。
まぁ、実際は大した事するわけでもなかったんですが、
私の場合は、できることがずいぶん増えたように感じたかなぁ。


emo8889 Xeno: SLの土地弄りは面白いですからね。


Nock Forager: あと、スクリプトで「Natural Smile」というのを作ったんです。
これは野良サンドボックスでコモって作ったんですけど、
仕組みは単純で、アバターがときどき笑う、というもの。




あるお店で同じようなものはフリーで配っていたんですが、
3秒ごとくらいに笑うのを繰り返すので、それは笑いすぎでしょ!って

友達が言ってたのを聞いて作ってみたものです。
それまでも習作な感じのスクリプトはやってましたけど、
ちゃんと使えるものを作ったのはこれが最初だったと思います。


emo8889 Xeno: 今使ってるやつがそうですね。


Nock Forager: 土地を買ったら そこは定番で「近所づきあい」ができて、
境目の高さを相談してあわせてみたり、島と島の間は橋をかけてみたり、
SIMの動作でわからない事をお互いに相談しあったり、
今はその当時の人たちもだいぶ引越してしまいましたけど、
やっぱり人付き合いというのは面白いなぁと感じたのは、あの段階かな。


そのあとは、大なり小なりイベント的なものはあるけど
さっきの2つのステップのように、段階を超えた!と感じるようなのはないかな。


emo8889 Xeno: でもあのブログの面白さが今回の取材のきっかけに繋がったわけで。
凄く深い読み物ですよ。


Nock Forager: 深いのかどうかよくわかりませんが、さっき一番初めのエントリーを見てみたら
「日記&メモ代わりにブログを作ってみました。紹介系の記事はあちこちにいっぱいあるので省略。
個人的なことばかり書いてみようかなーと思っています。」と書いてありますね(笑


よく初めてあった人と話しをしていると「どこか面白いところない?」とか聞かれる事が多かったので、
だったらブログにしておけば自分でも検索できるし、
日本人相手ならURL渡せばいいしラクチンだ~と思ったのが始まりだったように思います。


emo8889 Xeno: 4:4とかのエントリーとかは、知って良かったと思いました。


Nock Forager: 4:4は、友達の Juria Yoshikawaさん(http://memespelunk.org/blog/

がやっているアート展示ですね。
普段リアルではそういった関係はあまり興味がない、というか、
見ようと思っても、たとえば美術館に行こう!って思うまでではない程度なんですが、
彼女の作品は、たまたま買い物に行ったモールの隣で展示会をしていて、
そこで興味を持って、作者を調べて展示を見て回ったのがきっかけです。



http://slurl.com/secondlife/IBM%201/220/9/36


emo8889 Xeno: 今でもIBM SIMで期間限定でやってますが、ほんとに綺麗ですよね。


Nock Forager: たまたま行った先の展示の一箇所に彼女が居て、話しをしてお友達になって、
以来、新しいことをすると「こんなのやるよー」ってお知らせをくれるようになった感じです。

多分リアルであまりアート?という人でも、SLの体感・自分参加・自由視点な動的アート?は
楽しめるんじゃないかなぁと思いますね。
SLだとアバターが飛べるだけに「浮遊感」を使った空間表現は、SLならではじゃないかなと思います。


emo8889 Xeno: SLの中で、他には凄いと思った場所ありますか?


Nock Forager: ESC(Electric Sheep Company )の建築関係は凄いといつも思います。

http://www.electricsheepcompany.com/


建物そのものだけでなくてSIM運営も含めての話しですが、
例えば今朝も STA TravelというSIMに行ってたんですけど、


http://slurl.com/secondlife/STA%20Travel/128/128/0


企業SIMなのに、比較的小さなクイズイベントやライブを催したり、
それを greeterの方がこまめに対応していて、
なおかつファンを作って、ファンが協力したりプランに参加したりするように
気を使って運営しているあたりが凄い。


もちろん造形的にも影テクスチャの使い方とか、アバターの動線の考慮とか
その辺りもおそらく SLでトップレベルじゃないかと思いますが。


emo8889 Xeno: なるほど。


Nock Forager: 他に素直に「うわ、すごい!」って思ったのはSvargaかな。


http://slurl.com/secondlife/Svarga/128/128/0


定番スポットなんで 皆さん同じような感想だとは思いますが、
ジャングル系のシム内レイアウトや、ambipotなどの体感系 プラネタリウムのような施設とか
一言で言えば「没入できて体感できて参加できる」ところが凄い。


emo8889 Xeno: 僕も始めていった時はビックリしました。


Nock Forager: 最近の人はあまりそういう所、行ったことがないかもしれないですけど、
1回覗いてみて損はないというか、テーマで作りこまれた素晴らしいSIMが、
いくつもあることは知ってほしいかなぁ。
まぁ、でも自分で発見するのが楽しいんですけど。


emo8889 Xeno: Nockさんは色々なイベント情報とかどこで手に入れてるんですか?


Nock Forager: でも、まだ 826シム程度ですよ。訪問数w
情報は色んなニュース系のブログとかですね。
国内だと定番の SL Watch !さん、
海外では Second Life Insider とか New World Notes あたり。


あと、サイドバーで flickrの「Second Life」タグを表示するようにしているので、
面白い画像が目に止まったら、チェックするようにしてます。
海外系は英語なんで みなさんあまり見ないというだけだと思いますよ。


「キッカケになったり軽く楽しんだりするには、十分すぎる体験ができる」

emo8889 Xeno: 色々見てきて今のSLの感想は?


Nock Forager: 基本的にはRLと同じ、ですが、
何をするにしても障害というかハードルが低いように思います。


実際にそれで生活をしよう!とかそういうレベルはもちろん別の話になりますが、
例えばお店を開いてみよう!ブラジルに行ってみよう!
フラメンコギターのライブが聴きたい!とか
リアルであれば恐ろしく時間やお金がかかったり、
調整が必要だったりする事が、SLでは比較的容易に出来てしまう。


emo8889 Xeno: それはほんとに大きな魅力ですよね。


Nock Forager: それはもちろんリアルでする体験には及ばないのかもしれないんですが、
キッカケになったり軽く楽しんだりするには、十分すぎる体験ができる。
そこでした体験が今度はリアルにフィードバックされたりもする。
結局はその人の生活が広がったり、違う形で表現されたりするだけなのかなぁと思ったりもします。


emo8889 Xeno: そんなNockさんが予想するSLの未来像は?


Nock Forager: 未来…きっともっともっと広くなって、まぁ、今でも十分広いですけど、
とてもどこで何をしているかなんて、分からなくなるんでしょうね。
「以前は、in-worldの詳しいやつに聞けば、いま何がホットかわかったけど、今はもうムリ」って、
とあるリンデンさんも言ってました。
色々な所でさまざまなことが起きる。リアルっぽさが増えるということでしょうか。


emo8889 Xeno: リアルっぽさが増えるって?


Nock Forager: うん。例えば今リアルの世界では、雑誌を買ってくるとかしないと
どこで何をやってるとか把握以前に調べようもないとか、
人によってホントに違う世界を持ってるわけで。


SLは黎明期では 1つのイベントに集中だったのが、色々な場所や時間に分散してってますよね。
まぁ、簡単に言うと、週末イベント多すぎて全部行けなくて選ぶの大変みたいなw
実際、日本人街のイベントは私はホトンド行けていません。
色々行っているように見えるのは、単に行っている場所がズレてるだけかもしれませんね。


emo8889 Xeno: 逆にNockさんが感じるSLの問題点をありますか?


Nock Forager: やっぱりダウンタイムと安定性かなぁ。
以前、ブログにも全訳を載せた、オープンレタープロジェクトというのがあったんです。
http://blog.livedoor.jp/nockme/archives/54058656.html
内容的にはVoiceとか Windlightとか sculptiesとかやる前に、
SL自体のお金取引の精度向上、ダウンタイムの最小化、クライアントの安定性向上、
この辺をやらないとビジネスとして、レジデンツとして信頼をもった生活ができない!って
意見書をまとめて署名運動があったんですね。


emo8889 Xeno: 本当に大きな問題点ですよね。


Nock Forager: 実際みなさん慣れちゃってますけど、持ち物が消えるとか、
買い物ができないとか、TPできないとか、
そういう基本的なところをちゃんとしないと、
基盤として信頼できないよねっていう、そういう署名です。


emo8889 Xeno: 結果としてはどうなったんですか?


Nock Forager: で、この署名を受けて 4SIM境界上のホールで、
タウンホールミーティングが行われて、
それぞれの項目について対応が発表されたんですが、
未だに改善されたとは言いがたいという、そんな状況です。


emo8889 Xeno: でも冷静に考えると企業参入の動きも、実は結構怖いですよね。


Nock Forager: ああ、でも今の参入企業さんたちは、
そんなにクリティカルなことをしてないから、
せいぜい 100m走を計ってもタイムがオカシイよ!くらい?ではないかと(笑


emo8889 Xeno: それ結構重要な話じゃないですか?w


Nock Forager: むしろ、お店をやってる人には
「買ったのに品物がこない!」とか恐怖だと思いますよ。
結構あるそうですが、それが自分のミスなのかシステムの問題なのかわからない。
安心できないところでトラブルに巻き込まれたりしたら、
やってらんないって感じにもなりますよね。


そういう意味で、きちっと生活をしてる人達にとってこそ
このオープンレターの内容は大事な項目なんですよ。
多分パビリオン的な施設を作っている企業さんには、あまり関係がないと思います。


emo8889 Xeno: ちなみに今後はどのような活動をしていきたいですか?


Nock Forager: SLを初めて買い物ばっかりしていた頃に初めてあった人と、
服の話しをしていて、こんなお店があるよとあちこち案内をしてもらったことがあるんですが、
そのときに記念にといって shiny thingsのベルトをプレゼントしてもらったことがあるんですね。


当時はまだカード登録も迷ってたころだったのでお金もあまりなかったし
そんな親切な人が!ってすごく感動したんです。実は SLって凄く親切な人が多くて、
迷ってる人を案内したり操作を根気強く教えている風景を良く見かけるんです。
そんなインプリンティング体験をしたせいか そういうのを恩返しできるようなことができれば
いいなぁと思ったりしています。


emo8889 Xeno: それは良い話じゃないですか。


Nock Forager: あとは短期的ですが最近 Lindenさんのbug triageや
office hour meetingに出席するようにしています。


これはリンデンさん達と SLのクライアントの不具合や仕様について、
こうしたらいいんじゃないかとか、それよりもこっちのほうが重要だね、等の話しをしたり、
特定のテーマ「SLでのビジネスとそのあるべき指標」などについて、
雑談したりするんですが、ほとんどが英語での開催なので、
なかなか日本人には敷居が高い。


「リアルとの境目がシームレスになっているような気がします」

emo8889 Xeno: 英語力が結構必要?


Nock Forager: 私も正直に言って、口語でかつ話題がポンポン飛ぶような複数人の会話には
付いていくのがイッパイイッパイなんですが
そこから日本語圏の方にも知っておくべき情報がでてきたり、
逆にリンデン側に伝えるべき話があったりするのではないかと思っています。


まぁ、個人的に興味があって聞いてて楽しいから行ってるだけなんですけど(笑。

ちなみに Chiyo Lindenさんのミーティングは
水・金、日本時間で 20:30-21:30、日本語化で行われています。
興味がある方は一度参加してみると面白いかもしれません。


http://slurl.com/secondlife/Hawkshead/70/224/22

emo8889 Xeno: そんなNockさんにとってSLとは何ですか?


Nock Forager: 生活の一部。ですね。
どんどんリアルとの境目がシームレスになっているような気がします。
SLプレイするぞ!今日は何するぞ!って感じじゃなくて、
もう普通の生活の中でログインして、だらだらしてるというか。
伝わりにくいけど「生活」してます、という感じです。。
このフツウの生活感ってやってない人にはわかんないんですよね~。


emo8889 Xeno: では読者の方にメッセージをお願いします。


Nock Forager: よく言われることですが Second Lifeは人の数だけ楽しみ方があります。
チャットばっかりするのもいいし、買い物しまくるのもいいし、
ひきこもって物作りに没頭するのもアリ。


少し不親切かもしれないですが何でも色々試してみて自分で楽しい!と思える事を見つけてみましょう。
そのうち色々な人との交流が出来たりして、普通の生活の一部になっている事に気がつくと思います。


emo8889 Xeno: ありがとうございました!
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Nockさんのおっしゃるように、今のSLは色んな所で週末イベントが開催され、
全部回るのは絶対不可能なくらい人が溢れ、コミュニティーが形成されています。


そんな中でNockさんがブログに書き綴るイベントや情報は
海外を中心にSL世界の流れを非常に映し出しているものばかり。


SLの世界はとてつもなく広い世界です。本当に色々な出来事が起きています。
その広い世界を少しでも体験する為に、是非Nockさんのブログ、
セカンドな日常をご覧ください!