SLの日本人ユーザーが、どんどん増えて定着していく理由の1つとして、
日本語でサービスを受けれる居住スペースが、安定して提供されている事があると思いますが
実は2006年末まで、あまりそういった居住区は多くありませんでした。


しかしMagSL の登場により状況は一変し、誰でも簡単に土地を借り、
そして店舗を構え、各種コミュニティーに参加できるようになりました。
MagSLがSLの日本人社会を変えて、いや、作り上げてしまったのです。


そして本日はその我々のSL社会の中心とも言える
MagSL代表、Neko Linkさんにお話をお伺いしました!
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emo8889 Xeno: 最初にSL始められたきっかけをお願いします。


Neko Link: 私はMMORPGのヘビーユーザーで、特に欧米の物を好みます。
それで去年の9月、WOWに飽きて新しいゲームを探していた所、SLの情報を見つけました。


emo8889 Xeno: 始めてみて最初のSLの印象はどうでしたか?


Neko Link: なんだこのクソゲーは!です。
イントロダクションがなくて、あまりにプレイヤー軽視というか。
「ここどこ?初心者ゾーン?」みたいな、そんな感じで初日は終わりました。


その後、またSLのニュースが出続けていたので、
1ヵ月後にまた登録しなおして入ったのが、このNeko Linkのアカウントです。


emo8889 Xeno: この時から活動を開始されたんですね。


Neko Link: 2回目の時は、もう少しビジネス的な興味として見始めました。
1週間ほど気合を入れて、徹底的に見てまわったり、WEBで調べたり、
日本人と会話したりして、やっと壮大な計画のプラットフォームであることを理解しました。
そしてすぐビジネスとしてスタートすることを決めました。


emo8889 Xeno: ここで出発されたんですね。


Neko Link: 10月末にSIMを発注、今のMirai SIMですが

http://slurl.com/secondlife/Mirai/128/128/0
当時から日本人がSLを理解するための初心者ゾーンをイメージしていました。


SIMが届くまで当時は時間がかかったので、まず模型を作ってみたのですが、
なにしろ大きな建物など作った事がないし、SIMの広さの感覚がわからないので
もっと大きな土地を借りて作ってみようということになり、12000sqmを借りました。


emo8889 Xeno: 借りてみてどうでしたか?


Neko Link: ところが作り始めてみたら、意外と狭くて 45000sqmに引越しw
今のMiraiの城の大きさのものを作ろうとしているのですから、当たり前なのですがw
更にその頃には、1SIMでは計画に足りない事に気づき、
また、どうやっても採算がとれないことにも気づきました。


emo8889 Xeno: 計画というのは初心者ゾーン?


Neko Link: ええ、日本人向けの初心者島を作る計画です。

ニュービーランドというか、慣れるまで過ごせるエリアで、チュートリアル島とは違います。


bemo8889 Xeno: なるほど。


Neko Link: そして45000sqmの土地を借りた直後、SIMが届いてしまい、
開発は届いたSIMの方でやる事になって、45000sqmの土地があまりました。
んじゃ、ここは新たな形態で町作りのテストをしようということで。
レンタルを始めてみました。12月の初頭のことです。


emo8889 Xeno: レンタルは反響ありましたか?


Neko Link: はい、20区画がすぐに埋まってしまったので
じゃあ住むことができる初心者島にして、さらに企業も誘致してしまおうと、
今のMagSL TOKYO構想になりました。


emo8889 Xeno: 一気に行動したんですね。


Neko Link: 実は2004年にスターウォーズギャラクシーズというゲームで、
日本サービス開始直後に、日本人初の最高ランクの町作り競争があったのですが、
それで勝利した経験がありました。


だから私にとって日本初のプレイヤータウン構築は2度目です。
MagSLが始まるまでは、ざっとそんな感じでしょうか。


「多くのユーザーにSLを体感してもらえる土地を目指していました」

emo8889 Xeno: では改めてMagSL のご紹介をお願いします。



Neko Link: MagSLは初心者ゾーンとしてデザインされています。
海外とつながったMMORPGをやっているとわかるのですが、
日本人は言葉や民族性のためか、日本人同士が固まっていく習性があります。
自分が何をやりたいかよりも、周りが何をやっているかを気にします。


emo8889 Xeno: このブログがまさにそうですねw


Neko Link: だから日本でSLがブレイクするためには
日本人が沢山あつまれる場所が必要です。
そこは治安が良く、安心感がなくてはなりません。
そこでPGエリアしか許さない、しかも企業が入ってくる、今のMagSLの形を作りました。


emo8889 Xeno: 当時の展望はどうだったんですか?


Neko Link: 当時、ベテランユーザー達からは、


「そんな重たい、初心者ばかりになる広大な土地で、
しかも日本人だけが集まる閉鎖的な空間は意味がない」


という意見も沢山貰いましたが、私は永住して貰う事よりも、
最初の数ヶ月をここで学んでもらって、出来るだけ多くのユーザーに
Second Lifeを体感してもらえる土地を目指していました。


MagSLのデメリットが理解出来るようになってくれて、
他の土地に出て行ってくれるようになれば、目的は達成だと思っていました。
それに初心者はどんどん来ますしねw


emo8889 Xeno: 土地レンタル事業以外にはどのような事を考えていますか?


Neko Link: Second Lifeというのは、本来、リアルタイムコミュニケーションを行うための
ツールという要素が一番強いのです。


その部分は人が集まりさえすれば、問題なく成長するので、
他の要素、例えばビジネスプラットフォームである部分とか、
体験型のコンテンツを提供できるであるとか、
そういう部分を底上げすることが大切だと考えています。


emo8889 Xeno: 一般ユーザーが楽しめるコンテンツですね。


Neko Link: クリエイター達は土地さえあれば、あとは動きますから、
クリエイターではない、一般ユーザーたちに主眼を置いています。
Second Lifeでは、コンテンツはユーザーが作るものですが、全員が作れる訳ではありません。
それはユーザーは受身の人がほとんどで、全員がクリエイティブなモチベーションを
持っているわけではないんです。


emo8889 Xeno: 確かに消費者の方が多い。


Neko Link: 初期に登録している人たちは、アーリーアダプターなので積極的ですが、
後から入ってくるのは一般人ですから、受け身な訳です。
その人たちはコンテンツを作らず、消費するだけです。


そしてそのコンテンツは作ったり、維持したりするのにコストがかかるので、
個人負担では必要なコンテンツ量を供給できません。


emo8889 Xeno: そこにMagaSLの役割が出てくるわけですね。


Neko Link: ですから、企業からスポンサーをとり、
それでコンテンツを作るサイクルが必要で、我々自身がそういった活動を目指しています。
例えば、レースウェイを作ったりイベントスペースとしてのMiraiを提供したり、
今、チュートリアルゾーン(日本語登録)や遊園地などを作っていますし、
バトルゾーンも計画しています。




emo8889 Xeno: そのようなコンテンツを利用するユーザーは、どんどん増えていく?


Neko Link: ええ、増えると思いますし、コンテンツ量に応じてしか、入ってこないとも言えます。
今SLの人口が700万になっているにも関わらず、アクティブユーザーが少ない理由は、
PCスペックの問題と、面白さを理解する所までたどり着けない、という問題の2点です。


PCスペックについては、OSがMEやXPが、Vistaにリプレースされていくに従って
解決しますから、時間の問題です。
コンテンツにたどり着けない問題は、チュートリアルの改善、
攻略本的な書籍や雑誌の発行、コンテンツを増やすことによって改善されます。


今アクティブユーザーは700万人のうちの数パーセントですが、
これらの問題を解決していけば、おそらく数10%にはなりますから
消費者がもっと極端に増えていくでしょう。


「まだまだ序の口、今の100倍の人口が

住めるようにしなければなりません」

emo8889 Xeno: ではSL自体はこれからが本番?


Neko Link: まだまだ序の口です。
今の100倍の人口が住めるようにしなければなりません。


emo8889 Xeno: ええっ!100倍!!


Neko Link: 今、土地を借りている人は何人ぐらいでしょう、
マグスルで500人が借りていますので、だからきっと1000人ぐらいかな。
登録者数700万人のうち日本人の割合は約4%。つまり20万人。
日本人が20万人のうち、1000人が土地を持っているわけで、0.5%です。


これから日本人が200万人になったとして、土地所有率を5%にすれば100倍ですね。
もしくは3年かかって、2000万人になって、0.5%でもかまいません。


いずれも現在の100倍の土地の需要があります。
まあ大半は、無料土地サービスが持って行くのかもしれませんがw


emo8889 Xeno: ユーザーを増やすために、特に法人ユーザーはどのような視点であるべきで しょう?


Neko Link: 法人ユーザーはSecond Lifeを3次元のホームページだという、
誤った認識を捨てなければなりません。
大企業はSL内で製品情報が並んだホームページを作り、そこから物が売れてくれることを祈っています。
でも売れませんw


emo8889 Xeno: SLをどう考えるかですね。


Neko Link: そもそも広告というのは、人がいる所に出さなければならず、
人を集めてきて、広告を見せるのは非効率です。


SLでは、人は一箇所には集まりきれませんので、
効果的な広告をするためには、もっと広く広告の場所を確保し
短時間で商品価値を理解できる場所をつくってそこに集めるか
もしくは、集まらなくても商品価値がわかるようなものを流通させるか、です。


emo8889 Xeno: そういった事も踏まえて、今後どういった活動を計画していますか?


Neko Link: 企業とプレイヤー達の接点を作りたいです。
例をあげますが、小さいところだと今、マグスルの主要なCafeに、東芝犬というのが設置されています。
東芝の携帯のプロモーションなんですが、Cafeのオーナーに設置料をお支払いして、
プロモーションに参加してもらっています。




まだ企業側が、MagSLに、と指定してきているのですが
今後は、他の居住区の人気店にも置かせてもらいたいです。
人が集まっているところに広告を出す、これが最低限の基本ですから。
それでCafeオーナーが収入になっていけば、良い循環が生まれます。


emo8889 Xeno: 確かにSLで人を集めているのはCafeですよね。
しかし今のカフェの盛況ぶり凄いですね。


Neko Link: 最初に池袋を作ったのですが
その時に広場に直営店としてaCafeというのを作りました。



http://slurl.com/secondlife/Ikebukuro/123/123/22


んで、Poipoiさんが渋谷にCafeを作ってくれて
次にAkibaにメイドカフェができてという具合に、みなさんの連鎖が始まったのです。
まぁ足湯に直営店の客を全部持っていかれたのは、誤算でしたw


Cafeに人が集まるのはSLがコミュニケーションツールだからですよ。
mixiのコミュニティと同じ機能をカフェが持っているからです。
コミュの3次元版ですね


emo8889 Xeno: なるほど。
次にNekoさん自身が感じるSLの魅力というのを教えてください。


Neko Link: これだけ初期の段階で、未発達な部分が多いにもかかわらず
多岐にわたるジャンルの方が可能性を感じていて、
人それぞれが魅力を感じている部分が違っていることです。
つまり、ポテンシャルですね。


emo8889 Xeno: といいますと?


Neko Link: 私は広大な更地を用意し、勝手にAkibaとかShibuyaとか名前つけただけなのに
なぜかみなさんは、原宿に住みたいとか、上野に土地がありませんか、とか
そこに何かのイメージを感じて、コミュニティを形成しています。


emo8889 Xeno: なるほど、独自の文化が形成されている部分ですね。


Neko Link: 原宿を売り出した初日のことでしたが、
まだ誰も借りていなくて、建物も何もない、まっさらな土地の

真ん中の地図の前で、私はお客さんを待っていて、
そこに来た、二人組がこういう話をしていました。


「原宿借りる?」
「いやー、うちらには原宿は敷居が高くね?」
「んじゃ、神田にする?」
「そうしよ」


不思議でしょ、まだ更地なんですよw


emo8889 Xeno: では逆にNekoさんが受身のユーザーとして
SLでこんな遊び方が面白い!とかありますでしょうか?


Neko Link: 最近、遊ぶ時間がなくて・・・かなり世間知らずです。
でもSLで知り合った仲間と他のゲームで遊びたいですw
SLはそういう目的で使うのがいいと思いますよ。


例えば4人いたとしますね、ゴルフしよっかとなって、SLでゴルフ出来る所を探しても
SLはゲームを作る為に作られていないので、結局限界あるわけですよ。
だったら、4人ですかっとパンヤ!(無料オンラインゴルフ)すればいいじゃないですか。
んで終わったら戻ってくればいい。


なんでもかんでもSLの中で完結させる必要ないですよ。
ヤフーゲームズがしょぼいからヤフーが使えないとか、考えないでしょう。


emo8889 Xeno: コミュニティとしてSL楽しんでらっしゃるんですね。


Neko Link: SLは楽しいですね。いろいろな人達がMagSLを卒業して
凄いSIMを作ったり、大きなコミュニティを作ったり、
他の居住区の発展のためにお店が誘致されたり。


その度に、すまなそうに「MagSLで学ばせていただいたのに、居住区を始めてしまいました」とかって、
謝りに来られるのですが、「卒業おめでとうございます!」、って声をかけてます。
それだけSLが盛り上がっていくわけだし。
それに数百万人も私1人で面倒みるのやだもんw


emo8889 Xeno: ちなみにNekoさんの活動というのは、SL以外の仮想空間にも広がるんですか ?


Neko Link: ええ、許されるなら他の仮想空間にも参入します。
そしてプレイヤーたちが行ったり来たりすることを支援したいです。


「自分のアイデアを信じて、形にしてください」

emo8889 Xeno: 「これからは仮想空間だ!」みたいな声多いですけど、どう思われますか?


Neko Link: 必然です。100%そうです。
よく、そこの部分がわからない人に話すんですが、
僕らの子供達はゲームばっかりしてますよね。


子供達の遊んでいるゲームはほとんど3次元で、
「どうぶつの森」で仮想空間で友達と通信して過ごし、
ゲームセンターやデパートで「ラブ&ベリー」のアバターに着せ替えをさせて
その衣装を自分でも着るために、ねだります。


emo8889 Xeno: うん、確かに仰る通りですね。


Neko Link: 大人が、ディズニーランドという仮想空間で時間をすごし、
自分の部屋にぬいぐるみを買って帰るのも同じ心理なんですが、
だから、今の子供達が大人になって、Webが3次元の仮想空間であることは
当たり前ではないですかね。


そのニーズにWebが答えられずに、今のままであるとしたら、
ラジオのようにきっと廃れてしまうでしょう。
ラジオはテレビに成りきれなかった名残だとも言えるのではないでしょうか。


emo8889 Xeno: なるほど。
では最後に読者の方にメッセージをおねがいします!


Neko Link: 「Your World, Your Imagination」と「Second Life」
この2つの言葉にこの世界のとてつもない可能性のヒントがあります。
あなたの想像力が、あなたの第2の人生を作ります。
自分のアイデアを信じて、形にしてください。


emo8889 Xeno: ありがとうございました!
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残念ながらNekoさん及びMagSLの活動は、このインタビューでは収まりきりません。
細かい事業内容は「MagSL.net」 を参照していただければ幸いです。


SLに文化があり、そこには当然歴史というものが生まれ、
その歴史の変換点がMagSLの登場だったと改めて感じる事ができました。


そしてSeconde Lifeというツールの特性を熟知し、しっかりと仮想世界の未来を見据え、
ユーザーに対して、素晴らしいコンテンツをどんどん提供し続けてくれるNekoさんの活動は
我々のSL生活に直結するもので、決して目を離す事が出来ません。


その為には「MagSL.net」というWebマガジンを日々チェックして、
みなさんも素晴らしいSLライフをエンジョイしてください!