このPeople of Second Lifeも沢山の人を取材してきました。
とても高い志を持たれ、SLを楽しまれ、そして実績を残されている方ばかりだと思います。
そんな方々から良く聞くお名前がこの方で、過去に取材した人達からの取材リクエストが
一番多かったのもこの方です。


Second Lifeの中で、日本人ながら世界的に有名でもあり、
世界をまたにかけて活躍するクリエイター。
本日は「Kru's Boutique」のオーナーKru Flanさんにお話をお伺いしました。
http://kru.blog.shinobi.jp/
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emo8889 Xeno: まずSL始めたきっかけを教えてください。


Kru Flan: Hot wired news というメールマガジンの記事にたびたびSLの記事が載っていたんです。
世界のすべてを自分で何でも作れるというシステムに興味を持ち、
クリエイターマインドに火がついたというのかな? すぐに飛びつきました。

emo8889 Xeno: なるほど。で、SL始めてみて最初の感想はどうでしたか?


Kru Flan: えーとですね、何と言うか、本当の外国を歩いている気分を感じたんです、
見るもの触るものすべてが・・・大雑把で派手な彩色で^^;
そして、出会う人すべてが外国人。
まるで本当の異国に彷徨いこんだのではないかと錯覚を覚えるほどでした。


「最初は手渡しで販売をスタートしました」
emo8889 Xeno: それからはどのような活動を?


Kru Flan: まず、始めて3日後くらいに洋服を作り出しました。
服飾デザイナーの人が作る洋服を見てですね、
こういうデザインなら自分でも出来るんじゃないかって思っていたので
セカンドライフで試しに作ってみようと思っていたんです。

そして、一週間ほどかけて作りこんで洋服を完成させました。
その洋服を売ろうと思ったのですが、始めたばかりなので売り方もわからず
とりあえずOfficial SL Forums で宣伝してですね、
手渡しで販売をスタートしたんです。


emo8889 Xeno: 地道な活動からスタートだったんですね。


Kru Flan: ええ、1日に2件くらいIMをいただいて、そこそこ売る事ができました。
ちなみにその時のForumはコメントがつけられるようになっていたんです。
その時に”素晴らしい洋服だ!”、”継ぎ目が無い!”、”世のデザイナーは全員この服を買うべきだ!”
などとコメントをいただきました、はは。
お客さんよりも、デザイナーの人に名前が少し知れるようになった感じがします。


emo8889 Xeno: それ、大絶賛じゃないですか。


Kru Flan: そして、その記事を見ていたストロベリーさんという方に、
私のモールでお店を出さないかって誘われて、モールの片隅に小さなお店を開いたんです。
きちんとレンタル料取られましたが、はは。

その後、二作目、三作目を作って行ったのですが、 作るたびに物凄く褒められるんです。
なので、前作以上に凄い物を作らないといけないというプレッシャーがかかってしまって、
ちょっとだけ作るのが欝になりました・・・。


emo8889 Xeno: そのプレッシャーを乗り越えて次の作品ですね。


Kru Flan: ええ、そして出来上がった三作目がゴシックロリータの服だったんです。




これは漫画やアニメに出てくるいかにもな服じゃなくて、
現実のファッションをモチーフにして作ったんです。
2005年の時点で、SLにゴスロリというジャンルはほぼ無かったんですね。
なので、ゴス好きの人が沢山買っていってくれたんです。
検索ワードでlolitaというワードも設定している人が一人もいなくて、当時は私の独壇場だったんですよ、はは。


emo8889 Xeno: 日本人との出会いはそれまでなかったんですか?


Kru Flan: それから、桃源郷にいる方がforumで記事を見ていたらしくてIMをくれて、
そこで、Tonkotsu Nicoさん、Seagel Nevilleさんなどの人と知り合いました。
今までずーっと英語の世界だったので、日本人に会うとほっとしました。


当時は日本人自体が本当に少なくて、まったく出会うことが無かったんです。
見知らぬ外国で日本の人に会ってほっとするような感覚でしょうか?


emo8889 Xeno: 当時の桃源郷でも活動を?


Kru Flan: たまに桃源郷などに出向いては、新人さんにSLを案内をしたりとかですね。
一緒に遊んでいたりしたのですが、爆発物や銃などが好きなので、危険人物と目されていました^^;
入ったばかりの新人さんに必ずプレゼントしていた物があるんです。
クマのペットなんですが、これを地面に置いてみてください!
物凄い勢いで襲ってきます。ははは。


emo8889 Xeno: 襲ってきますね・・・w


Kru Flan: その後、プレミアムアカウントに移行し、ファーストランドを購入、お店を建設し
本腰を入れて洋服屋さんとしての活動を開始しました。そして現在に至るという感じです。


emo8889 Xeno: ではそのkruさんのお店の紹介をお願いします。


http://slurl.com/secondlife/Missauke/179/205/92


Kru Flan: お店の名前をつけるのはすごく難儀しました。
結局、洒落た名前が思いつかなかったので、自分の名前+ブティックで
「Kru's Boutique」という感じで適当に名づけました。


コンセプトは自分が作りたいものを作る、作りたくないものは作らない、です。
SLは仕事では無く、完全に趣味でやっていこうと思っていたので、
自分がイヤな事は一切しないと決めて活動しています。


emo8889 Xeno: イヤな事って?


Kru Flan: 例えばですね、洋服のオーダーの要望や
ファッションショーやモデルの申し出なども受けるのですが、
自分が好きでは無いジャンルの洋服などの制作などは、絶対に引き受けないようにしているんです。


emo8889 Xeno: その中でデザインのコダワリみたいなものはありますか?

Kru Flan: 私はプロのグラフィックデザイナーなので、プロらしい物を作ろうと心がけています。
自分の作った物に責任持てるように、という感じかな。
ただ、なんとなく作りましたというような物は商品としては絶対に作りません。


気に入らない作品だと、完成しても破棄してしまう事も多いです。
とにかく自分が気に入らない、認められないような物を人前に出すのはやめようと決めています。


emo8889 Xeno: 商品のジャンルは比較的バラバラですね。


Kru Flan: ええ、私のお店にジャンルはありません。
その時の気分で作りたいものを作っているからなんです。
作りたいって思った時に作っているからかもしれませんが、
逆に言えば、作りたい物が無い場合はまったく作りません。


というわけで、ジャンルとかは考えないようにしているんです。
なので、ブティックと名づけられながらも、戦車から家具まで色んな物が売っています^^;


emo8889 Xeno: ちなみに今は何店舗くらい出店を?


Kru Flan: えーと、自分のお店は1店舗です。
その他に、SIMのオーナーさんから出店して欲しいという要望を頂いて
商売というよりも、景観の一部として出店しているお店が6店舗くらいあります。


emo8889 Xeno: これからもどんどん出店するんですか?


Kru Flan: ビジネス的に考えると、店舗数を増やすことにあまり魅力を感じないんです
今のSLの流れでいくとですね、一点集中がトレンドなんです。
2005年頃はモールでのビジネスが主流な感じだったので、1ブランドで多店舗が普通だったのですが、
ダイレクトでテレポート出来るようになってから事情が変わりまして、
各ブランドがきちんとした拠点を作って、そこで活動するようになっていった感があるんです。


emo8889 Xeno: 当時そんな変更があったんですか。


Kru Flan: 今までは、お店に行こうとしても、一番近いテレポートポイントに飛ばされるという仕組みでした。
遠い時では3SIMくらい離れた場所に出たんです。
なので、お店にたどり着く前に、お客さんが違う場所に行ってしまうという事があったんですね。
そのために、人の集まりそうな場所に支店を開く事が流行っていました。
直接テレポートできるようになってからは
その周囲をふらふら散策して、お店に入ってくるという人が減ってしまって、
店舗を増やしても、そこに人が来なくなってしまったんです。


「愛情をかけてきちんと作った物は、魅力的に写るはず」
emo8889 Xeno: SIMオーナーさんから出店依頼があったと仰いましたが、出店してる場所が凄いですよね。


「MaHoRoBa」 http://slurl.com/secondlife/Shaka/115/162/25
「Nakama」 http://slurl.com/secondlife/Nakama/169/136/22
「Endicott(the Block)」 http://slurl.com/secondlife/Endicott/202/98/511
「the Block」 http://slurl.com/secondlife/The%20Block/105/212/24
「Zephyr Heights」 http://slurl.com/secondlife/Zephyr%20Heights/184/169/24


ズバリ、成功のコツみたいなのはありますでしょうか?


Kru Flan: はは、ありがとうございます!
自分が好きな物は、そうで無い物に比べて沢山の知識があると思うんですね。
詳しくない物を作るより、詳しい物、好きな物を作るほうが魅力的な物が生まれると思います。


自分が愛情をかけてきちんと作った物は、他の人から見ても魅力的に写るはずです。
自分が納得いくまで作りこんで、自分だけの物を作ってみてください。
成功などは後からついてくるおまけみたいな物です!


emo8889 Xeno: しかしこんな有名SIMに出店する過程って?


Kru Flan: 特に何の接点も無い人からいきなり誘われることが多いです・・・。
あなたのファンです。モールをやってるんだけど、出店してもらえませんか?というIMをよくいただきます。
そのIMがきっかけでお店を出させてもらう事が多いです。


emo8889 Xeno: すごっ・・・。ちなみにNakamaへの出店のきっかけは?


Kru Flan: えーと、PixelDollsという有名なお店があるんですが
そこのオーナーの旦那さんが日本のアニメとかをモチーフにした街を作ったから、
良かったら出店しませんか? というIMが来ました・・・。
特に接点はありません><


emo8889 Xeno: 意外とあっさりしてますね。


Kru Flan: 日本の人がほとんどいない状況で、日本のデザインっぽいものを作っていたので
印象に残っていたのかもしれません・・・。
まさに早い者勝ちみたいな、ははは。


emo8889 Xeno: でもSL日本人クリエイターのパイオニアですもんね。


Kru Flan: うーん・・・先に始めたという意味ではそうかもしれません。
ただ、後とか先とか関係なくに、良い物を作る人は認められます。
その辺りの自由な感じがSLなんじゃないかっていう気がします。

emo8889 Xeno: 海外の方によく知られているようですが、その秘密は?


Kru Flan: forumで宣伝していたからでは無いでしょうか。
どんなに凄くても、目の留まらなければそれは誰も知ることができません。
沢山の人の目の触れる場所に色々書いたほうが、色んな人に知ってもらえますよ!
日本の人が海外進出がどうのとかいう前に、そういうの書いてみればいいのにと思います。
そうすれば、あっという間に世界に進出できます!


emo8889 Xeno: ちなみにkruさんが捉えるSLの服飾ってどうでしょうか?


Kru Flan: SLは3Dの描画性能が貧弱なので、洋服の素材感などを上手く表現することが難しいんですね。
現実のデザインをそのまま持ってきても、チープな物に見えちゃって・・・
だから、現実の洋服のように素材感で見せるやり方が通用しないと思うんです。


SLできちんと映えるようなデザイン、CG的なアプローチが必要なんじゃないかなって思っています。
リアルな事にこだわりすぎるのではなくて、どこかで嘘をエッセンスとして入れないと、
面白い物はできないと思っています。


emo8889 Xeno: 嘘をエッセンスって?


Kru Flan: わかりやすく言えば、洋服の陰影などです。
洋服の陰影って、画像で見ると、ただ汚れてるだけですよね、
ただ、SLには陰影の処理がほとんど無いので、それっぽく見えます。
むしろ、それが無い場合はどこか嘘っぽい色合いになってしまうんです。


「誰が上手とか下手とか、そんな事は気にしないで!」
emo8889 Xeno: そんなkruさんにとってSLの魅力って何でしょうか?


Kru Flan: SLはですね、物を作る人にとっては天国みたいなところです。
自分で作ったものを発表して、しかもみんなに見せびらかすことができる!
作る事が好きな人にはやめられないゲームだと思います。
あとライブ感というのかな?ネットと違って、その場で見せることができるというのが
直接に相手の意見などが聞けて、気持ちいいんだと思います。


emo8889 Xeno: 最後に読者の方にメッセージとお願いします!


Kru Flan: えーとですね、何かしなければいけないとか誰が上手とか下手とか、
そんな事は気にしないで自分が好きな事をするようにしてください。
あとですね、物を作るだけがセカンドライフではありません。とにかく楽しく遊びましょう!


emo8889 Xeno: ありがとうございました!
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Kruさんは日本人でも数少ないアパレル系の成功者で、クリエイター達の憧れの的でもあります。
しかしインタビューでKruさんから、聞こえてくるのは特別な事ではなく、
好きな物、作りたい物を愛情を込めて一生懸命に作る姿勢です。


もちろんKruさんには、超素晴らしい天才的な才能が備わっていますが、
その基本的な姿勢は、これからSLで活躍しようとする新人クリエイターさん達にも
必ず参考になると思います。
是非、読者のみなさん「Kru's Boutique」に訪れて、その実力、魅力を確認してください!