楽しい時間は、すぐに過ぎてしまう

 

いつの間にか食事が終わり

目の前の真澄は、ワインを飲んでる

 

私は、デザートプレートのシャーベットを崩して

少しずつ、ゆっくり食べる

 

「それで? 内見した部屋で

青木君とさやか君は、気に入ったのか?」

 

「そう!さやかがね、団長と結婚するって!

付き合ってたのは、もちろん知ってたんだけど」

 

内見中にあったことを、身振り手振りで話し出す私を

速水さんは、優しい目で頷きながら聞いてくれる

 

「では、ファミリータイプの部屋を用意しないとな」

 

「さやかがね、そんなに甘えていいのかなぁって言ってて

私も麗も、独り暮らしじゃなくていいし

なんか、申し訳なくて」

 

「遠慮することはない、君たちの事務所の必要経費だ

それで?君は気に入った部屋はあったのか?」

 

うーーん、、、シャーベットが上手くすくえない

「独りには、広すぎて、、独りは、、その」

 

「寂しいか」

グラスを置いて、速水さんの手が私の左手の指先をとる

 

 

俯いて、小さく頷く

 

「青木君に今日は泊まると言ってきたか?」

 

小さく頷くマヤにフッと笑みを浮かべる真澄

 

付き合い始めたばかりのころ、部屋に誘っても

麗に言ってない、麗に何て言おうっと

何度か断られたことがあった

 

そんなことも可愛いと思う

 

「ルームサービスで、何かとってやるから、行くぞ」

 

その先を想像してか、マヤは俯いて

ぶつぶつ言いながら、イチゴをパクリっと食べる

 

「ほら、、」

「あとちょっと、、、ね、最後にとっておいたんだもん」

 

今夜は、一緒に暮らす話を進める

そう思い真澄は、マヤを見ながらワインを飲み干した