真澄は、その場所でマヤを想った。
マヤの紅天女は、一真を愛していた。
巫女である能力、家族、愛してくれた村人
神をもすてて、一真を愛した。
全てを捨てても、結ばれることはない愛に生き、
別々の道へ進み、それでもその魂を求めた。
「マヤ」
風が冷たい
真澄の足元に何かがコツンっと落ちてきた。
何だ?
真澄はかがみ、足元のそれを指で摘んだ
冷たい風が吹く中、ふわりと温かい風が自分を押した。
ガシャ
何が起きたか分からなかった。
足元の何かを拾おうとした真澄は、何かに押されて2、3歩前に進み、膝をついた。
何がおきた?
立ち上がりながら、振り返る。
自分のつま先に近づく黒い液体
ゆっくりと近づいてくる、生き物のように
震えが止まらない手をそれに伸ばす
まるで体が動かない。
時間が止めれたのかもしれない。
永遠に止められたのかもしれない。
「マ、、、マヤ」
マヤの名前を呟いた瞬間、時間は動き出した。
「マヤ!!!」力の限り叫び
照明機器の残骸をマヤの体から引き剥がした。
大きな音に驚いた舞台関係者が駆けつけ悲鳴をあげる。
「救急車!救急車をよんで!!!」
人形のように力のなくなったマヤの体をマ真澄は半狂乱になって掻き抱いた。
真澄がその場所にいたのは偶然だった。
足元に落ちてきたのは、小さなボルト。
そして、落ちてきたのは100キロ以上ある照明機器だった。
真澄がそこにいるとは知らず、
紅天女の試演も、自分が後継者に選ばれたことも
実感がなく、マヤはふらふらとその場所へ行った。
そこに真澄を見て、マヤはそれが幻かと想った。
幻でもいい、そばに行きたい
コツンと音がして、視界の端で何か動いた。
何も考えず、考えられず体が動いた