マヤは、紅天女の後継者に指名され
真澄は、紫織を専門病院に入院させるために婚約を継続したものの、事業提携を解消し
正気に戻った紫織と婚約を解消した。
真澄は、大都芸能から株式会社大都の総帥に就任が決まり仕事に忙殺されていた。
 
真澄とマヤは紅天女の試演後も会うこともなく
マヤは真澄の婚約解消をニュースで知った。
 
 
 
マヤはオーディションを受けた帰り、
大都芸能の近くのカフェでアルバイトの面接を受けていた。
 
紅天女の後継者になったといっても
次の舞台も決まっていない。
生活のためにアルバイトをしなければならなかった
 
「来週から来れる?
麗から頼まれてるし、舞台が決まったらスケジュールを調整して、、
朝早いけど大丈夫?」店長が今後のことを話している
 
 
「じゃぁよろしくね」店長がマヤに笑顔を見せる。
 
「あ、はい
よろしくお願いします」ペコリと頭を下げた。
 
 
コーヒーのいい香り、8時少し前のカフェ
「いらっしゃいませ」元気なマヤの声が通る。
 
「は、、速水さん」
 
「奇遇だな、ここでアルバイトしてるのか」
 
お水を運び、注文をきく
 
「ホットと、、あゝ、モーニングセットを」
 
速水さん、、、私がバイトしてるって知ってて来たのかなぁ、それとも偶然?
 
それから、毎朝真澄はカフェに現れた。
コーヒーを飲み、タブレットで何かを見ている。
 
速水さん、メガネ、、格好いいなぁ
 
「ごちそうさま」
「660円です」
 
真澄はいつも千円札を出す
お釣りを渡すとき、真澄の手を受けるようにマヤの左手が少し触れる。
 
「ポイントカード作りました、10個スタンプ貯まるとコーヒー1杯無料で
30個貯まると、ランチが無料なんです」
 
「ありがとう、ポイントカードか、、、」
 
「もしかして、ポイント貯めない派ですか」
 
「いや、、ポイントカードは初めてなんだ。
貯めさせてもらうよ」
 
「ポイントカード初めて?!変なの」
 
 
 
毎朝、一言二言話す
 
ある日は、
「今日もお仕事忙しいんですか」
「そうだな」
 
ある日は、
「次の舞台は決まったのか?」
「はい、もうじき稽古が始まるんです」
「そうか、稽古が始まったら、アルバイトはお休みか」
「朝のシフト入れて貰ってるので
稽古の前にバイトに入れるんです」
「そうか、無理をしないようにな」
 
昨日は、
「その怪我どうしたんだ」
真澄がマヤの指に巻かれた絆創膏に気づく。
 
「今朝、、、段ボール片付けてて、ちょっと」
 
「ちゃんと消毒したか、段ボールの傷は深いからちゃんと手当てを」
 
「え、、あ、はい。」
 
 
「ありがとうございました」の後
店を出る真澄に「行ってらっしゃい」と言う
 
ただそれだけの毎日だった。
 
「マヤちゃん、あの人の知り合いでしょ」
 
「ええ、まぁ、昔から」
 
「あの人、どこかの社長?」
店長がマヤに聞いてくる。
 
「あのタイプの人には珍しいよなぁ」
 
「何がですか?」
 
「支払が現金ってところ
うちも電子決済対応なんだけど気づいてないのかなぁ」
 
 
「いらっしゃいませ」
 
いつも通りのマヤの声
いつもと同じ席に座る真澄
 
「いらっしゃ、、、」マヤの声が止まったことで
真澄の視線は、店に入ってきた客に向けられた
 
「里美さん」