人目を避け、後ろを気にしながら
それでも互いを見る目は嬉しそうに走る
アパート近くの公園につき
ベンチにマヤを座らせ、周囲を確認する真澄
「喉、、乾いたか?何か買ってくる」
「いや!離れないで!」
マヤが真澄に縋り付く。
無言でマヤの頭を撫でる真澄を見上げ
「そうだ、今日もやってるかも」
真澄の手をひき歩き出す。
住宅街の細い道を進むと、おでんの屋台の赤提灯が見えた。
「現代の東京とは、思えないな」
少し笑いながら、暖簾をくぐる。
「いらっしゃい」野太い亭主の声
温かい湯気、お出汁のいい香り
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
盛大に空腹を告げたマヤのお腹の虫に真澄の笑いが止まらない。
「君は、なかなかの大物だ」
おうどんを啜るままの顔で真澄を睨みつけるが
大好きな真澄の優しい顔にマヤは赤面する。
「オヤジ、そのペットボトルの水を分けてくれないか」
お腹が満たされた真澄とマヤは
6本のペットボトルを両手にかかえ
「サービスしてくれるのはありがたい。
が、、、、持ち運びがしにくいな」
「何言ってるんですか、お水があればだいたい大丈夫!多いに越したことないですよ」
「だいたい大丈夫って、、、
水じゃ、腹は膨らまないぞ?」
「いつもお腹が空いてるわけじゃありません」
「そうか?知らなかった」
こんな時でも小競り合いを楽しみながら2人は歩く。
公園に戻ろうとして2人は、アパートの近くを通った。
「あれ?今日はどこも電気がついてない」
「君は知らなかったのか、
君がハジメさんの家に泊まった日にアパートは取り壊しが決まってね。
住民は引っ越したよ。
安心しろ。ハジメさんは、住民に手厚い補償もしてる。」
「取り壊し、、もう誰もいないの?」
2人は同時にニカっと笑いアパートへ向かった。
「ちびちゃん」
「何?」
「鍵を忘れた時のために植木鉢の下に鍵を隠すというのは、非常に危険なんだ。
泥棒に入って下さいって言っているだけでなく、寝ているところに押し入られたらどうするんだ」
お小言を言う真澄に鍵を開けながら
「もぉーーー今日はこれで助かったんだからいいじゃないですか」
「確かに、、取り壊しが決まっていても
鍵を壊して侵入するのは、気が引けるしな。
まぁ、、、いい」