真澄は、マヤに手を差し伸べ
マヤはその手を取った。

マヤから、情事の匂がする。
乱れたマヤの姿を見て、真澄は何があったのかを悟たった。

真澄は、何も言わずマヤを抱きしめる。

エレベーターの扉が閉まる時
庭の向こうにハジメが見えた


「このエレベーター、行き先を決められるのハジメさんだけなの」

「どうかな、まだ6秒だ」

扉が開いたのは、ホテルに併設されたイベント会場だった。
今夜、イベント会場では何かが開催されて、今、会場内から多くの人々が出口に移動していくところだった。

真澄はマヤを自分の上着で庇い、人混みに紛れる。
「マヤ、顔を上げるな。
監視カメラに映るとまずい」


複数のモニターが並び、その中央のPCを操作するハジメ
「どこだ、、、」

ハジメは真澄がマヤを奪いにくると想定し、早い時間にマヤをベットに呼んだ。
ハジメとマヤが愛しあう、その場を見れば真澄は逃げ出す筈だ。
だから真澄の前にエレベーターは現れた。
まさか、マヤが逃げ出すとは

監視カメラ映像が人々の顔をスキャンする。
歩き方から判別しようと動く画像、
スーツを着た男性達がインカムで報告する音声

「どこにいる」


地下鉄の入り口で真澄とマヤの姿を捉えた映像
2分も前のものだ。

「地下鉄ねぇ、、、」


真澄とマヤは、地下鉄の入り口で監視カメラに自分達が捉えられたと気づき、その場で真澄は自分のスマホを捨てた。地上のビルの植え込みを通り路地裏にいた。

「大丈夫か?」


ここまで逃げて来たが、マヤを守れるだろうか
マヤはまだ走れるだろうか

マヤの足元を見ると靴ではない室内履のそれは
雨水を吸い、彼女の足はひどく汚れていた。

「監視カメラ、、、ないところ知ってます。
うちのアパートのおばさん言ってた、駅からの道も暗いし、古い町工場ばかりだから
何かあった時のために区に監視カメラの設置をお願いしてるって。公園は年明けに監視カメラ設置するって、だから」

辿々しいマヤの話に優しい目で真澄が微笑む。

「頼もしいな、ちびちゃん!行こう!」

2人は手をとり、走った。