マヤが台本を読みはじめると
ハジメは、マヤを愛おしそうに見つめる。

ブツブツと言いながら芝居の中にいるマヤ

そろそろだな

マヤが芝居から現実に戻りはじめると
ハジメは、紅茶とスコーンを彼女の元へ運んだ。

「わーいい匂い!バターたっぷり」
スコーンに手を出したマヤは、それが手作りだと気付く

「ちょっと作ってみたんだ。
メイプルシロップより、この蜂蜜がおすすめ!」

ドンっと目の前に置かれた蜂蜜の瓶
幸せいっぱいの笑顔でマヤが礼を言う。

そうだよ、マヤ
僕は君のその笑顔の為ならなんでもする。

「さあ、頂こう!」

2人で出来立てのスコーンに蜂蜜をつけ
溢れた蜂蜜に悲鳴をあげ、笑い転げ
食べ終わる頃には、疲れたマヤはソファーでうとうとし始めた。

マヤの前髪にそっと触れ、自分も隣で眠りについた。

ハジメが目を覚ましたのは深夜3時を過ぎた頃だった。
「マヤちゃん?」
ソファーで眠ったはずのマヤがいない。

マヤの寝室も空だ。

そうかっと庭に出ると、ブランコを揺らすマヤを見つける。

室内庭園であるが外気温と同じように少し肌寒い。
星が輝き、都会ではなく、田舎に来たかのような設定の星空

「マヤちゃん、ここにいたのか」

ハジメが最初、真澄に見えた。
速水さんと言いかけて、口を閉ざし
勢いよくブランコを漕ぐ

「ハジメさん、私ね、恋してるんです!」
ポンっとブランコから飛び降り、上を仰ぐマヤ

「その人、事情があって今は離れているけど
迎えに来てくれるって約束してて
だから、私、、、彼のこと信じて待ってるの」

ハジメがマヤと真澄の関係を知らないと思っているマヤは、誰かにに自分が恋をしていると言いたかった。
誰にも言えない恋、ハジメを信じているから
ハジメを兄のように慕い始めた親密さから
それを言った。


「マヤちゃん、僕も恋をしてるんだ」

「え!ハジメさんも?! 私の知ってる人?
あ、共通の知り合いなんて、麗と速水さんしかいない」
テヘヘと笑うマヤに真剣な眼差しのハジメは近づく。

夜の照明で見るハジメは、恐ろしく美しかった。
麗も美形であるが、いつもボサボサの頭で気さくな雰囲気だから、麗を見慣れているマヤはその時までハジメの美しさに気づかなかった。

「僕は、君に恋してるんだ」

時間がとまった。

今まで、庭、、、外だと思っていた空間を
急に屋内だと感じた。
造られた空、造られた星、造られた温度

「マヤちゃん、僕を選べば僕達は必ず幸せになる。
今は、その彼が迎えに来てくれるのを夢見ていればいい。その恋を続けていればいい。
僕は待つ、待ってるから
君を心から愛してる。
君を守り、君と幸せになるのは僕だ。」

言葉を失うマヤにもう一度ハジメが言う


「僕は、君に恋してる」